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ハイグリップ路で「曲がらない」は過去の話! いまどきの4WDがサーキットで「速い」ワケ

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Auto Messe Web編集部

昔と比べてデフのセッティングが良くなった

 今でこそ日産GT-Rを筆頭に、スバルのWRXやトヨタのGRヤリス、三菱のランエボなどサーキットを得意とする4WDは珍しくなくなった。だが、かつての4WDはラリー車用で、舗装路ではアドバンテージはないといわれていた。

 4WDのメリットはトラクションで、パワーをかけると強力なトラクションが発生するが、真っ直ぐ進もうとする力が強い分、ハンドルを切っても曲がらないという宿命にあった。筑波の最終コーナーを駆けるスバル・インプレッサWRX

 しかも4WDにするためにFFやFRよりも部品点数が多くなり、80~100kgほど車重が重くなる。当然、重くなれば慣性がつくため、クルマはますます曲がらなくなり、とくにFFベースの4WDは、前後の重量バランスがフロントヘビーになるので、コーナリングは苦手になる。

 このように直進安定性のいいクルマは、基本的に曲がりにくいという物理的な特性があるので、4WDは本来、アンダーステアが強い傾向がある。にもかかわらず、今どきの4WDスポーツは、サーキットで速く、コーナリングも得意といわれるのはなぜなのか?

理由はいくつか考えられる。具体例を挙げると

・タイヤのキャパシティが向上した
・車体の軽量化と前後の重量バランスの改善
・ボディ剛性のアップ
・フロントサスペンションの高剛性化
・ジオメトリー、アライメントの最適化
・電子制御技術の進歩
・効果的な空力パーツ

こういったところが、“曲がる4WD”を支える技術だが、一番要といえるのは、デフのセッティングだろう。

4WD車には三つのデフが備わっている

 4WD車には、フロントとリア、さらにセンターデフが加わり三つのデフが備わっている。GT-RではトルクスプリットのアテーサE-TSを採用し、ターンインではほぼFR状態で曲がれるようにし、ランエボのACDもコーナリング中はセンターデフの拘束を弱めて回頭性を上げている。

 最新のスポーツ4WD、GRヤリスは、前後トルク配分をノーマルモード(フロント60、リア40)、スポーツモード(フロント30、リア70)、トラックモード(フロント50、リア50)の3モードをボタンひとつで切り替えられるアクティブトルクスプリット4WDが大きな特徴になっていて、スポーツモードを選べば、4WDとは思えないほどよく曲がって気持ちがいい。

 ただし、サーキットでタイムを出そうとすると話は別で、気持ちよさよりタイムを優先するなら、トラックモード(前後50:50)を選んで、FF車のようにフロントで引っ張るような走り方をした方が効率的。

 立ち上がりで大きなトルクをかけると、アンダーステアが出やすいので、GRヤリスのように低速トルクに余裕があるクルマなら、ひとつ高いギアをチョイスして、最大舵角は大きく切って曲がった方が、タイムを出しやすいということを覚えておこう。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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