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スバル「360」に投入された飛行機や船舶造りの知見とは? 12年に及ぶ「小さな巨人」の歴史を振り返る

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 芝 修/Auto Messe Web編集部

大型船舶の内装デザイナーが作りあげた愛おしい丸みを帯びた特徴的なボディ

 百瀬とともにスバル360を語る上で欠かせない人物が工業デザイナーの佐々木達三である。大型船舶の内装デザイナーとして名を知られていたが、自動車をデザインするのは初めてだった。だが、研ぎ澄まされたデザイン感覚の持ち主で、小さなサイズでありながら情感あふれるフォルムを生み出している。前下がりのボンネットから一気にキャビンへと立ち上がり、ルーフから斜めに切り下げた造形は秀逸だ。

 全長2990mm、全幅1300mmと、今の軽自動車よりはるかに小さいが、ふくよかな立体感と抑揚が強い個性を生み出した。初期モデルの分割式フロントバンパーは合理化から2年足らずで長い1本バンパーに変更。スリットがヒゲのように見えて愛らしい顔は、1968年前期モデルまで続いた。盛り上がったフロントフードの中には、スペアタイヤや工具、バッテリーなどを収めている。

 サイドビューでの見どころは後ろヒンジで前から大きく開くドアだ。リヤフェンダー上にはエンジン冷却用のエアダクトグリルを設けている。これも最初は左側だけで右側はダミーだった。リヤビューは、左右に配した小さなリヤコンビネーションランプとスリットを刻んだエンジンカバーが個性を主張する。

 デビューから1年半後の1959年夏、ルーフをキャンバストップに変えた「コンバーチブル」を仲間に加えた。これは巻き取り式のルーフを備え、開放感あふれるオープン・エア・モータリングを楽しめる。同年12月には、荷物を出し入れしやすいようにリヤクオーターパネルが外側に倒れるように改造した、商用の「コマーシャル」を設定。これ以降も積極的にバリエーションを拡大し、商用車の「カスタム」や軽4輪トラックの「サンバー」を生み出した。スバル360の運転席

 初期モデルのインテリアは、驚くほどシンプルだ。必要にして十分な情報を提供するだけにとどめ、ドライバーの前にはオドメーターを内蔵した丸型のスピードメーターだけを設置している。1963年3月にはインテリアを一新し、角型メーターを採用した。

 ホイールベースが短い軽自動車は、ホイールハウスが車内に出っ張りペダル配置が制約される。そこで百瀬晋六はブリヂストンに掛け合い、10インチタイヤを開発してもらい、その出っ張りを軽減。足もとは広々としている。初期モデルのドアのウインドウは、三角窓にスライド式ガラスの組み合わせだった。

12
  • スバル360のフロントスタイル
  • スバル360のサイドビュー
  • スバル360の運転席
  • スバル360のフロントシート
  • EK31型強制空冷2気筒2ストロークエンジン
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