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日産「S14シルビア」の不人気だった理由を再検証! ファンに「NO!」を突きつけられたデザインになったワケとは

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: 日産自動車/Auto Messe Web編集部

機械的にはポジティブな進化を遂げていた

 振り返ってみると、日産は1987年3月期決算で上場以来初の営業赤字に転落している。バブル期はシーマなどの高級車が売れてひと息つき持ち直すが、バブル崩壊後は不動産や株式を売却したり、デザイン部のリストラを進めた……。

 つまりデザイン部門が弱体化し、技術畑より経営系、あるいは外部の銀行などの発言力が増してきた時期と重なってくる。その結果がまさに形になって表れたのが、S14シルビアともいえるが、そのスタイルはともかく、機械的にはポジティブな進化を遂げていた。

 シャシーもエンジンも、基本的には先代のS13からキャリーオーバーしたものだが、ボディ剛性は大きく向上。S13に比べ、曲げ剛性で約200%、捻り剛性で約150%と大幅に強化され、全体的な安定感が段違いに。

 サスペンションも形式こそ、フロント=ストラット、リヤ=マルチリンクとS13と同じだが、サスペンションストロークは増えていて、ジオメトリーも改良。とくにリヤサスペンションは大きく見直され、動きがよくなり、接地性が向上している。FRスポーツの命ともいえるトラクション性能もワンランク上になった。日産シルビア(S14)

 エンジンは、S13の後期型と同じくSR20が搭載されたが、S14からは、NAにもターボにも可変バルブタイミングシステムのNVCSを採用。低速から高速まで全域でトルクが大きくなり、ドライバビリティが向上している。

 ターボエンジンは、レスポンスのいいボールベアリングタービンになり、コンプレッサーハウジングも最適化されたことで、パワーがプラス15psの220psにアップ。マフラーも大容量化されている。

 またNAもハイオク仕様になり、最高出力が20psもアップ(160ps)している。そのほか過給圧電子制御システムや、8カウンターウエイトシャフト、ベアリングビームアルミディープスカートブロックなども新たに採用。エンジンの剛性自体も高まった。ブレーキ容量もアップされ、ターボ車には対向ピストンキャリパーも標準化した。

 このようにハードだけ見ると、モデルチェンジ効果はプラスが大きく目立つのだが、スポーツカーはデザインも命という視点が欠けていたのが、S14シルビアの残念なところ。マイナーチェンジでライトをツリ目にして、少しワイルドさを加えたが、メイク(化粧)でごまかされるユーザーは少なく、そうこうしているうちに時代はRVブームに……。

 今思うと、S13からS15に一気にジャンプしていれば、シルビアファンを引き留めることができていたかもしれない。

 なお日産は、1998年には約2兆円もの有利子負債を抱え経営危機になり、1999年3月にルノーと資本提携。カルロス・ゴーンがCEOとして送り込まれたのはご存じの通り。S14はそうした日産最大のピンチの時期に生まれたクルマだったわけだが、クルマとしてのできは決して悪くはない。デザインの方向性さえ間違えなければ、名車と呼ばれる資格があった一台だったはずだ。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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