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日産「R35 GT-R」は走行20万キロオーバー! クラッシュを乗り越え12年半の歩みを一挙公開

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TEXT: GT-R Magazine 野田航也  PHOTO: 澤田優樹/小林 健(本誌)/増田貴広(本誌)

  • GT-Rマガジン編集部のR35GT-Rイメージ

  • 納車直後のR35GT-R
  • S1エンジン
  • 修復中のR35GT-R
  • トランスミッション異常表示
  • GT-Rマガジン編集部のR35GT-Rイメージ

「初期型を進化させる歓び」細かいトラブルこそあれど性能は一線級

 BNR34の生産終了後、空白の5年間を経て2007年12月に発売された「R35日産GT-R」。新世代GT-Rとして、専用設計のプラットフォームやパワートレインで一新し、何もかもが生まれ変わった第3世代のRと過ごした12年半を振り返る。

(初出:GT-R Magazine 153号)

ノーマルの性能は想像を遥かに超えていた

 R34GT-Rは排ガス規制の影響を受ける形でデビューから3年半で生産を終了してしまった。対して、R35GT-Rは発売から12年以上経過した今も現行モデルとして生き続けている。

 第2世代GT-RはRB26DETTやシャシーなどの基本骨格を変えることなく、R32/R33/R34と13年間にわたってじっくりと熟成させていった。一方、R35は“制約”から解放されたことで、R34までとはまったく異なる手法で開発。スカイラインをベースとするのではなく、GT-R専用のプラットフォームをイチから設計し、直6からV6に、そして3ペダルのMTから2ペダルのDCTへと、新しい姿に生まれ変わった。

 メーカーとしてさまざまな制約がある中、初めから「GT-Rを作る」ことを目的に開発されたR35は、それまでのスカイラインGT-Rとは存在そのものが一線を画していると言えるだろう。

デビュー翌日に納車されたR35のグレードはあえて標準車を選択

 2007年12月7日、正式発売の翌日に本誌R35は納車された。社有車として購入したのはダークメタルグレーの標準車である。当初は姉妹誌『CARトップ』のスタッフカーとして稼働しており、同誌の看板企画である新車サーキットテストの「筑波アタック」では、慣らしを終えたばかりの状態で「1分2秒143」という歴代最速タイムを記録している。

納車直後のR35GT-R

 ちなみに、ブラックエディションやプレミアムエディションではなく、あえて標準グレードを選んだのは、この筑波テストを見据えたというのも理由の一つだった。当時はR35の新車標準装着タイヤとしてBS(ブリヂストン)とDL(ダンロップ)2メーカーのランフラットが設定されており(現在はDLのみ)、サーキットでのタイムアタックには後者のほうが適しているという情報を事前に得ていた。R35の発売当時、DLが標準装着されるのは標準車のみ。よって、タイムアタックのことも考慮してグレードを決定したという経緯がある。

 納車以降は基本的に走行12万kmまでフルノーマルを維持。それは、デビュー当初に蔓延していた「R35のチューニングは御法度」という世間の空気を読んだからではない。そもそもノーマル状態で国産車離れした十分な性能を持っているし、長期運行車として各部の消耗や劣化をレポートしていく上で、少なくとも新車特別保証が切れる10万kmまでは手を加えないほうが読者の皆さんに有益な情報を提供できると考えたからだ。

 納車から2年目、3万5000kmを走行した’09年12月に本誌の3台目のスタッフカーとして加わり、Gマガ号として現在まででちょうど20万kmを走行してきた。その過程で大小含めてトラブルも経験してきたが、あらためて感じるのはパフォーマンスだけではなく“持ち”も素晴らしいということ。通常、走行20万kmともなるとボディのヤレを感じるもの。しかし、ことR35に関してはいまだにシッカリ感を維持しており、とても23万km走行しているとは思えないほど硬質な印象を受ける。

20万km超えで疲れも出てきたがリフレッシュで新車以上に復活

 オリジナルから初めて変更したのは、ECM(エンジンコントロールモジュール)とTCM(トランスミッションコントロールモジュール)。2013年10月、12万4000km走行時に『ニスモ』の「スポーツリセッティング」を施した。ただし、同社の“スポリセ”は『日産自動車』が指定するGT-R特別指定部品であり、エンジンやトランスミッションはニスモの保証が適用されるメニュー。チューニングというよりも、リファインと呼んだほうがいいかもしれない。

 これとほぼ同時期に、ニスモ直営の『大森ファクトリー』でエンジン/シャシーの分解フルリフレッシュを実施。何か不具合を抱えたからではなく、12万km走行における各部の状態を確認するのが最大の目的だった。走行10万kmオーバーのR35は当時まだ稀で、大森ファクトリーにも入庫したことがない時代。故に、先行トライアルの意味も含めて本誌R35を一度徹底的にバラし、内部の状態を徹底的に検証することになったのだ。

 結果的にはエンジン内部の消耗はほとんど見受けられず、駆動系のドライブシャフトやハブベアリングなども継続使用が可能なコンディション。第2世代Rに対してR35の作りが相当タフであることが証明された。

 エンジンはピストンリングとメタル類のみ交換し、シャシーはブッシュ類とサスペンション(MY13バージョンアップキット)を新調した。その後は16万7000km時にニスモのスポーツキャタライザーを装着し、17万2000km時に同社のスポーツチタンマフラーをセット。排気系をオリジナルから変更している。

ワークス仕立てのアップデートで進化中

 そして、23万1000km時に大森ファクトリーで2度目のエンジン分解オーバーホールを敢行。最初のリフレッシュから10万km強を走行したため、その後の経過を確認すると同時に、分解リフレッシュを前提としたニスモの「S1エンジンメニュー」を施工することとした。

 最初の分解時の消耗の少なさを目にしていただけに、23万kmでも「大したことはないのでは?」と楽観的に捉えていた。だがしかし、実際に開けてみるとバルブガイドの磨耗やクランクシャフトの曲がり、メタル類の磨耗など、かなりの箇所が日産の基準値を超えてしまっていた。

 結果、シリンダーブロックとコンロッド以外は要交換との診断。仕様や乗り方にもよるが、R35のVR38DETTは10万km程度ではまったく問題ないものの、20万kmを超えてくるとさすがにエンジン内部の劣化も進むことがわかった。

S1エンジン

 シャシーのほうで言うと、ボディ自体は今もガシッとしており、剛性が落ちたと感じることはない。各ブッシュ類は第2世代Rに比べてもともと硬度が高く、圧入されているゴムの量も少ないため、それほど劣化はしないようだ。ただ、純正のビルシュタイン製ダンパーは5万kmを過ぎてくると抜けを感じるため、長く乗るならある程度の距離で新品に交換したほうがよさそうだ。

 現在本誌R35に装着しているダンパーは新車時のモノから数えると4セット目だ。S1エンジンメニューを施工する前に、ニスモの「MY17サスペンションバージョンアップ」を投入しMY17の純正スプリング/ダンパーに交換。またキットに含まれるアッパーリンクやロアリンク、スタビライザーなども新品に変更している。

 普段のメンテナンスは、エンジンオイル&フィルター=5000km、トランスミッション&デフオイル=3万kmごとに交換している。また一年ごとに「GT-R特別点検」を実施。これはアライメント調整や左右バンクの吸気量合わせ込みなどを行うメニューで、R35のコンディション維持には欠かせない整備と言える。

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