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ホンダ「N360」の実用性と機能性を求めた思想は「N-ONE」にも通じていた! 軽自動車にすべてを込めて

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: AMW編集部

N360は今日なお誉れ高い軽自動車だった

ホンダ「N360」は、ホンダ(本田技研工業)が4輪へ進出するため最初に取り組んだ「T360」や「S500」などに次いで、より多くの消費者へ向けた軽乗用車の第1弾だ。当時すでに、国内ではスバル360が9年前に発売され、確かな地位を築いていた。

居住性と馬力の重要性を強く主張した本田宗一郎

スバル360がリアエンジンで後輪駆動であったのに対し、ホンダN360はフロントエンジンで前輪駆動を採用した。エンジン搭載や駆動方式で違いはあるが、スバルとホンダで共通した考え方もあった。ひとつは、人間中心にした室内広さである。

本田宗一郎は、N360の開発に先駆け「自動車が小型になっても、人間は小型にならない。自動車だけを小型にするのは難しい」と述べた。その上で、N360を特徴づけるのが高性能だ。宗一郎は、「今まで数々作られてきた軽自動車は、決して日本の道路に適していない。その理由は馬力がないからで、馬力は感情を支配するものであり、馬力がないと加速しないためスピードが出ず、走っていても追い越しができず事故が多発する原因にもなる」と語ったという。居住性と馬力の重要性を強く主張したのだ。ホンダN360

マン・マキシマム・メカニズム・ミニマムの考え方が生まれたN360

試作段階でのガソリンエンジンは、軽自動車なので排気量はもちろん360ccだが、V型4気筒で強制空冷方式であったと伝えられる。わずか360ccで4気筒というのは、高回転型エンジンで馬力を稼ごうとした様子をうかがわせる。サスペンションは、4輪ダブルウィッシュボーンであった。これが量産N360の原点の構想となった。

居住性を確保するためクルマの空間を3つに分け、機械部分はできるだけ小さく、客室はできるだけ大きく、そして荷室を設けるという、今日につながるマン・マキシマム・メカニズム・ミニマムの考え方が生まれている。

そうした実用性や機能に加え、重視されたのは外観だ。本田宗一郎は、完成間近だった造形に自らカンナを持って手を入れ、外板製造のための金型を作り直すことになったという逸話も残されている。

運転席と助手席の足元の広さが印象的だった

当時は軽自動車限定の運転免許制度があり、16歳から軽自動車に乗ることができた。まだ中学生であった私は、先輩が手にしたN360の運転席に座らせてもらい、フロアシフト的操舵でありながら、インストゥルメントパネルからレバーが出ている、のちのインパネシフト的な運転席の様子に新しさを覚えた。また、前輪駆動による運転席と助手席の足元の広さも今日なお記憶に残っている。

N360は、発売とともにたちまち人気を得た。しかし、前輪駆動ならではのトルク特性によって、転倒するといった悪評も広まった。ちょうどそのころ、米国を発端とした日本車のリコール問題が浮き彫りにされた。N360については、ホンダ自らが調査し、タイヤ空気圧の不適正など、整備の不完全、あるいは限界を超えた無理な運転が原因と結論付けた。

当時のタイヤはバイアス構造で、グリップが低かった。また、左右でドライブシャフトの長さが異なる前輪駆動では、トルク特性が出る傾向があるのは今日でも変わらず、無理な運転をすれば悪影響も出る。前輪駆動車をまだ扱いなれていない時代の経験不足がさまざまにあったのではないか。

そうした試練を乗り越えながら、N360は今日なお誉れ高い軽自動車であり、最新のN-ONEも、当時を思い起こさせる姿が人気を呼んでいる。

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