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ダイハツがオシャレな4シーターオープンを作っていた! 「コンパーノスパイダー」とはどんなクルマだった?【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 日本自動車工業会/AUTO MESSE WEB編集部

OHVの常識を覆す伸びのある回転フィールを味わえた

インテリアもイタリアンムードの上質な仕上げだ。ドライバーの前に丘のように盛り上げた木目のダッシュボードには、大径のスピードメーターとコンビネーションメーターを並べ、その間に小ぶりなタコメーターを組み込んでいる。セダンでは中央に置かれていた時計は、同じ大きさのまま左側に移された。

当時のオープンカーのルームミラーはダッシュボードの上に設置するのが一般的。定番と言えるナルディタイプのウッドステアリングを採用し、ステアリング形式は自然な操舵フィールのリサーキュレーティングボール式である。だが、ロック・トゥ・ロックは3.5回転で、切れ味が鋭い。シートは前席がセパレートで、シート地は黒のビニールレザーだ。

ハシゴ状にした強固なフレーム構造を採用したため、セダンからルーフを切り取ったボディでも剛性は高い。だが、ハードな走行を想定してサイドシルを補強し、クロスメンバーも追加。それでも車両重量はセダンから35kg増に収まっている。注目のソフトトップは気密性を重視した設計で、30秒で脱着できるとカタログでは謳っていたが、実際にはその時間で作業を終えることはむずかしい。

エンジンは、ベルリーナ800に積まれているFC型をボアアップして958ccに拡大したFE型直列4気筒OHVだ。スパイダーは高性能化を図るため、三国工業製のツインチョーク可変ベンチュリーSUキャブ(BSW36)を2基装着。圧縮比を9.5と高く設定し、最高出力65ps/6500rpm、最大トルク 7.8kgm/4500rpmを発生した。しかもボア&ストロークを68mm×66mmのオーバースクエアとしたため、OHVエンジンとは思えないほど高回転まで軽やかに回る。

4速フロアMTはローギヤードな設定で、0-400m加速は18.5秒。最高速度は145km/hと発表されている。リッターカーとしてはなかなかの実力だ。

ダイハツは保守的だと思われがちだが、個性的なクルマを数多く輩出しているし、エンジンなど技術レベルも驚くほど高い。その証拠に兄弟関係にあるコンパーノGTは、1967年春に2ポート燃料噴射ポンプを装着した1000GTインジェクションを追加設定。65ps/8.3kgmとスパイダーと数値はほとんど同じだが、扱いやすいエンジンだった。

また、スポーツキットも設定。エンジンのチューニングやサスペンションのキットなどが用意され、パワーは10%以上アップしたという。

ベルリーナとスパイダーは、完成度を高めるために走行実験を繰り返し、レースにも参戦。ベルリーナの空力性能を向上させ、生み出されたのがダイハツP1だ。これはさらに戦闘力を高めたP2へと発展。そして最後の作品となるのがP3である。

新開発のR92A型DOHC4バルブエンジンを積んだP3は、1966年の第3回日本グランプリに出場して総合7位(クラス優勝)を獲得。この技術を注ぎ込んだのが、ミッドシップの純レーシングカー、ダイハツP5だ。コンパーノ・ベルリーナとスパイダーが投じた一石は、大きなうねりとなり、広がった。

ダイハツ コンパーノスパイダー(F40K)
●年式:1965
●全長×全幅×全高:3795mm×1445mm×1350mm
●ホイールベース:2220mm
●トレッド(F/R):1190mm/1170mm
●車両重量:790kg
●エンジン:FE型水冷直4OHV
●総排気量:958cc
●最高出力:65ps/6500rpm
●最大トルク: 7.8㎏m(76Nm)/4500rpm
●変速機:4速MT
●サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/リーフリジッド
●ブレーキ(F/R):デュオサーボ式ドラム
●タイヤ:6.00-12-4PR
●新車当時価格:69万5000円

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