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トヨタ「カローラ」のライバルだった日産「B210サニー」とはどんなクルマだった? 北米では「フェアレディZ」を押しのける存在でした【国産名車グラフィティ】

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TEXT: 片岡英明  PHOTO: 日産ヘリテージコレクション

1.4L SOHCと1.2L OHVの2種類の直4エンジンにシングルとツインのキャブを設定

弟分のチェリーは、キャビンスペースを広く取れる合理的なパッケージングのFWD(前輪駆動)を時代に先駆けて採用した。また、ホンダもシビックをFWDで送り出している。これに対し、サニーは下にチェリーを置くから、オーソドックスな後輪駆動のFR方式を継承した。だが、先代より快適で広いキャビンを実現するためにホイールベースを延長し、カーブドガラスも採用する。

当然、エンジンは縦置きレイアウトを採用する。先代からのキャリーオーバーとなったエンジンは、1200シリーズには総排気量1171ccのA12型直列4気筒OHVを搭載。エクセレントが積むのは、バイオレットにも使われているL14型SOHCで、総排気量は1428ccだ。それぞれにシングルキャブレター仕様とSUツインキャブ仕様を設定している。これら4タイプとも環境に配慮して、燃料は無鉛レギュラーガソリン指定であった。

L14型エンジンは、シングルキャブ仕様のGLやデラックスでも85ps/11.8kgmと、ツインキャブを装着するA12型エンジン搭載のGX(80ps)よりも最高出力は上まわっている。フラッグシップの1400GXに搭載するL14型エンジンは、最高出力95ps/6400rpm、最大トルク12.2kgm/4000rpmを発生していた。

トランスミッションは3速AT、4速MTと5速MTを設定し、エクセレントはワーナータイプのオーバードライブ付き5速MTだった。これはバイオレット 1600SSSから譲り受けた5速MTだが、ファイナルギアを低めにして実用域での加速をよくしている。

1200GXが積むトランスミッションは、パワーを上手に使い切れるヒューランドタイプの5速で、ギア比は1.000の直結5速MTだ。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアはリーフスプリングを二重防振装置付きにしたリジッドアクスルだった。

1975年10月、エクセレントのL14型エンジンが昭和50年排ガス規制をクリア。12月にはA12型エンジンが、さらに難関の昭和51年排ガス規制をパスしている。しかし、この排ガス規制により、ツインキャブ仕様はカタログから消えた。スポーツモデルにとっては苦難の時代の到来だ。

1976年2月、210型サニーはマイナーチェンジを実施。このときにA12型をスケールアップしたA14型直列4気筒OHVエンジンを投入している。そこでエクセレントとしての差別化を図るために、バイオレットと同じ1595ccのL16型エンジンに換装し、51年排ガス規制も乗り切った。ツインキャブ仕様が1400GX-Tの名で復活するのは7月だ。しかし、残念ながら排ガス規制前のエンジンのような勢いはなかった。

インテリアは、華やかさに欠けた2代目サニーの反省から、動きのあるデザインを採用。ダッシュボードは人間中心に設計され、「オーバルスクープコクピット」と名付けられた。メータークラスターには無反射の3眼メーターを組み込み、GLなどのファミリー系は四角の3連タイプだ。GXは丸型メーターで、隣に補助メーターを3つ並べている。

快適装備と安全装備が充実しているのも3代目の特徴。AM/FMラジオやトランクオープナーなどを装備し、GX-LとGL-Lはヒーターコントロールパネルに照明が加わる。シートも上質なクロス織とし、エアコンやカセットステレオも選択可能。また、前席に3点式シートベルトが装備され、リアウインドウには熱線式デフォッガーが採用されている。

樹脂製パネルやグリルを積極的に使い各グレードの個性を際立たせる

エクステリアは、初代や2代目とは大きく異なる、躍動感あふれるデザインを採用した。2ドアと4ドアのセダン、そして2ドアのクーペではデザインテイストが大きく違うように見せている。動きのあるキャラクターラインを通し、ウエスト部分をホップアップさせるのは、コークボトルラインと呼ばれた流行の手法。2ドアセダンは当時の日産が好んで使ったアイラインウインドウの流れに沿った切れ長のデザインで、若々しさをアピールしている。

だが、もっとも新鮮と感じたのはファストバックのフォルムが美しい2ドアクーペだ。3代目ではリアにハッチゲートを設け、利便性を大きく向上させた。サイドビューにも見どころが多い。ベルトラインにはフラッシュラインを加え、ウインドウグラフィックはヒドゥンピラーによって、前から後ろまでガラスがつながっているように見せている。カタログでは華麗なフローティングウインドウ、リアクオーターのマジックウインドウと、オーバーに騒ぎ立てている。

インテリアと同じように、成形しやすく軽量な樹脂パーツを多く使っているのも特徴のひとつだ。フロントマスクやミラー、ガーニッシュなどにデザイン自由度の高い樹脂を積極的に採用。奥まった印象を与えるヘッドライトから続く立体感の強いグリルをスピアマスクと呼び、エクセレントは精悍な面構えだ。

リアビューもひと目で違いがわかる。1200シリーズはブラックのパネル面に長方形のリアコンビネーションランプを組み込んだ。これに対しエクセレントは丸型の3連ランプとした。ロケットの噴射口に似ていることから、ファンは「ロケットサニー」と呼んでいる。

同じ2ドアクーペでもひと目でわかるようにリヤコンビネーションランプやガーニッシュのデザインがグレードによって差別化されている。エクセレントの丸い3連テールは人気でロケットサニーの異名を持つ。

* * *

3代目のB210型サニーは、起死回生を狙った日産の意欲作だった。だが、背伸びしすぎたことに加え、排ガス規制にも影響されて存在感を欠いている。だが、北米ではブルーバードやフェアレディZを押しのけ、ダットサンの代表車にのし上がるほどの人気を博していた。

サニー エクセレント1400GL(B210)
●年式:1975
●全長×全幅×全高:4045mm×1545mm×1370mm
●ホイールベース:2340 mm
●トレッド(F/ R):1255mm/1245 mm
●車両重量:880 kg
●エンジン:L14型 直4SOHC
●総排気量:1428cc
●最高出力:85ps/6000rpm
●最大トルク:11.8㎏m(116Nm)/3600rpm
●変速機:4速MT
●駆動方式:FR
●サスペンション(F/R):ストラット/半楕円リーフスプリング
●ブレーキ(F/ R):ディスク/L&Tドラム
●タイヤ:6.15-13-4PR

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