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フェラーリ「308」が4000万円オーバー!? 高額落札の理由は「ヴェトロレズィーナ」だったからでした

フェラーリ「308」が4000万円オーバー!? 高額落札の理由は「ヴェトロレズィーナ」だったからでした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

パリ・サロン出展車両を忠実に再現した個体に、4100万円のプライスが!

第24回RMサザビーズ“AMELIA ISLAND”オークションに出品されたフェラーリ308GTBヴェトロレズィーナは、1976年6月、ローマのフェラーリ正規ディーラーである“モトールs.p.a ローマ”社を介して、新車として初登録・納車された個体とされる。

ミッドシップに横置き搭載されるのは、ヨーロッパ仕様のドライサンプ潤滑式V型8気筒エンジン。この時代の北米カリフォルニア向け仕様のように、パフォーマンスを阻害する排気ガス対策が施されていないのが魅力的である。

ヨーロッパで10年ほど使用されたあと、1985年にミシガン州在住のフェラーリ愛好家によってアメリカに輸入され、2000年代初頭までこのクルマは彼のもとで管理されることになる。そしてユタ州在住のオーナー2人を経て、同州ソルトレイクシティの“キャヴァリーノ・イクイップメント・グループ”に売却された。

ここで同社オーナーのマイケル・コール氏は3年間にわたる本格的なレストアを開始。2017年末にこの個体の次なるオーナーによって完成された。このフルレストアに関する何百枚もの写真と請求書は、今回添付されたドキュメントに含まれている。

いっぽうメカニズム系の作業としては、エンジンとトランスアクスル、サスペンション、ブレーキコンポーネント、およびすべての付随的なシステムを完全に再構築した。また、メーターや電気系統もフルコンディショニングされ、インテリアはイタリアの“ルッピ・タッペツェリア”社から、純正スペックのレザーとウィルトンウールのカーペットを調達した。

メカニカルな部分をすべてリビルドしたのち、オリジナルの“アズーロ・メタリッツァート(明るいブルーメタリック)”で再塗装。内装はベージュの本革レザーで設え、ダークブルーのパイピングに縁どられたウィルトンウールカーペットに変更された。このカラーリバリーは、308GTBを世界に紹介した1975年のパリモーターショーの車両を忠実に再現したものである。フェラーリ308GTBヴェトロレズィーナ

2019年にフェラーリ・クラシケを取得

このフルレストアに要した総費用は20万ドル以上と言われている。そのうえ、車体とエンジン、ギアボックスはすべてナンバーマッチングのまま残されているこの308GTBヴェトロレズィーナは、2019年にフェラーリ・クラシケによって正式認定を受けた。

また純正のツールロール、サービスブックレットと保護レザーウォレット付きのオーナーズマニュアル。そしてフェラーリ・クラシケの“レッドブック”が付属している。

ヴェトロレズィーナは生産台数が712台と少ないこともあって、もとより国際マーケットにおける評価は308GTBの中でも最高のもとなるが、さらに今回のオークションに出品された個体はハイエンドに属するコンディションと、たしかな来歴を持つ一台。

3月4日に行われた競売では、31万3000ドル(邦貨換算約4100万円)という、これまでの308GTBの市場価格を大きく上回るプライスで落札に至ったのである。

今後もフェラーリ308GTBの市場は高まる傾向にあるが、まずは今回のハンマープライスが、ある意味2023年における市況を占うことになるのは間違いあるまい。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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