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「クルマ、用意するから」「えっマジすか!?」フィアット500との生活は突然始まりました【週刊チンクエチェントVol.2】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之/Stellantis N.V.

トントン拍子で決まったターコイズブルー号

名古屋の「チンクエチェント博物館」が所有するターコイズブルーのフィアット500L(1970年式)を自動車ライターの嶋田智之氏が日々のアシとして長期レポートをする「週刊チンクエチェント」。第2回は「この色が似合うと思うんだよね」をお届けする。

フィアット500は後世に残すべき文化的な遺産

2020年の12月6日。僕は愛知県大府市にある、あいち健康の森公園にいた。チンクエチェント博物館が主催する“あいちトリコローレ”という毎年恒例のイベントの開催日だったからだ。3月以降、クルマの世界でもコロナ渦でさまざまなイベントが中止・延期となり、クルマで走ることはできても仲間と集まることができず、フラストレーションが蓄積してた時期。営利目的のイベントじゃないから中止にしちゃうのも簡単なのに、“みんな退屈しちゃってるだろうから”と、余計な手間と予算を割いて開催したのは素晴らしいことだったと思う。

このトリコローレというイベントは、今では他国生まれのクルマでも参加できるようになってるが、もともとはフィアット500をはじめとするイタリア車のユーザーがロケーションのいい場所に集まって、休日をのんびり過ごしながら交流を深めよう、というような趣旨で2010年にスタートしたもの。

コロナ渦以前は東北・富士・あいち・関西・九州と5カ所で開催されるところまで広がっていたが、中でもあいちトリコローレはいつも200台の募集台数が速攻で埋まってしまうほどの盛況ぶりを見せる。普段は遠いところに住んでるからなかなか会えないけど年に一度このイベントで会う、という楽しみ方を仲間同士で続けてる人もいたりするほどだ。

だからということもあったのだろうが、当日はマスクをしててもそうとわかるくらい楽しげな表情をしてる人が多かった。いつも以上に笑顔の花があちこちで咲いていた。そんな中でポカ〜ン……とした阿呆ヅラをぶら下げてたのは、毎度ながらこの日もトークのゲストとして呼んでいただいてた僕だけだっただろう。

「おもしろそうだから、クルマ、用意するね」

と言葉をかけてくれたのはチンクエチェント博物館の代表、伊藤精朗さんだ。何がどうしてどうなったのか、東京のデモカーを管理してるサイモンくんが何かを伝えたのか、1カ月ほど前のチンクエチェントEVの取材のときにこんなことがあったと僕があれこれ報告したのだったか、そのあたりのことは記憶がはっきりしてないのだが、予想すらしてなかったお言葉に、とにかくポカ〜ン……だったのだ。

「何か希望はある? ディーがいいとか、エフとかエルとか。あと、ゴヒャクかロッピャクかロッピャクゴジューか。どうする?」

御存知ない方にはいったい何語でしゃべってるんだ? みたいなお話だろうから、これについてはあらためてちゃんと紹介しようと考えてるのだけど、簡単にいうなら1957年から1977年まで20年間生産された2代目フィアット500はその間に細かな改良が繰り返され、バリエーションもいくつかあって、その中のどれがいい? と僕は訊ねられたのだ。

遡ることその数カ月前、コロナ渦に突入してから少ししたあたりから、チンクエチェント博物館がイタリアでリフレッシュ作業をさせたフィアット500を日本に輸入し、販売するということをはじめていた。それもレストアもしくはほぼそれに近い作業を受けたクルマばかりだというのに、“えっマジで?”と軽く驚いちゃうくらいリーズナブルな値付けで。

チンクエチェント博物館が“フィアット500は後世に残すべき文化的な遺産”という想いからずっと保護・保存にも力を入れてきてるのは僕も知っている。その一環としてイタリアにある車両をこの先も“現役のクルマ”として乗り続けていけるレベルまで現地のフィアット/アバルトのスペシャリストに再生させ、日本のファンに大切に乗ってもらおう、それが保護・保存につながる、ということから踏み切ったと聞いてもいた。

でも、だからといってこの値段じゃ儲からないのでは? と訊ねると、伊藤さんは“里親さがしみたいなものだからね”なんて笑っておられた。昔と較べたら少なくなったけど、たしかにイタリアのどこの街角にも1台くらいはチンクエチェントがポテッと落ちてるもんなぁ。ときにはFOR SALEって書いた紙とか窓の内側に貼られた状態だったり、朽ち果てそうな個体だったりもっていうのもあったし……なんてことが頭をよぎったものだった。そのときのことを思い出した。

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