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7月4日はチンクエチェント好きにとって特別な1日! 噂の2台が発表されました【週刊チンクエチェントVol.11】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: Stellantis N.V.

見た目よりも広くて使える新型フィアット600e

それと較べたら間違いなく日本にも導入されるだろうと予想できるのが、新型フィアット「600e」、セイチェントeだ。これまた第8回での予想とほぼ一致してる感じだった。なかなかやるじゃん俺……と自画自賛したいところだけど、これは大半の人が予想ついてただろうな、きっと。

600eは、日本でも販売されてる「500e」の姉にあたるモデル、フィアットのBEVラインナップに誕生したBセグメントのSUVだ。新しくデザインを起こしたクルマでありながら内燃エンジンを積む「500X」と同じベクトルのスタイリングであること、全長4171mm、全幅1781mm、全高1523mmとサイズもほとんど同じくらいであることから、おそらくカーボンニュートラルを目指すフィアットが500Xの後継的な存在として考えてるだろうことが推測できる。まぁ、500Xも少しの間は併売されることになるんじゃないかな、とは思うのだけど。

e-CMP2プラットフォームを使い、54kWhのバッテリーを搭載。156psと260Nmを発生するモーターで前輪を駆動する。そこは先にヨーロッパで発売されていたジープ「アベンジャー」と同じ構成だろう。航続距離はWLTPの複合モードでグレードによって406〜409km、シティモードで同じく591〜604km。シティモードではアベンジャーよりおよそ50kmほど長い数値だ。いずれにしても、日常的な使用には問題はないし、ちょっとしたロングドライブにも乗って出かけられそうな足の長さだろう。

100kWの急速充電システムが搭載されていて、ゼロから80%までの充電にかかる時間は30分未満、11kWのオンボード充電器と自宅や公共の場での充電に便利なモード3ケーブルも備わっていて、6時間以内に100%の満充電が完了するという。

内燃エンジンの500Xには何度となく試乗をしているのだけど、美点として、じつは日本の環境でものすごく使いやすいサイズだということが挙げられる。時代とともにクルマの大きさにまつわる常識も変化しているわけだが、Bセグメントはだいぶコンパクトな部類。街中でも持てあましたりすることはまずないサイズ感だ。

500Xもそうなのだけど、それでも室内の居住空間にはまったく不満は感じないし、荷物もたくさん積めて実用的でもある。デビューしたばかりのセイチェントeも、おそらく同じだろう。5ドアの5人乗りで、荷室容量は後席を使った状態でも500Xより10L広い360Lだ。

後席をたたんでどれくらいのスペースに拡大されるのかは明らかになってないけど、500Xが1000Lだから、おそらくそれに近いくらいの広さは確保できるんじゃないかと思われる。見た目よりもいろいろ広くて使えるヤツ、って感じなのだ。そういうところ、先祖である初代セイチェントから受け継いでるのかもね、なんて感じてたりする。

ついでにいうなら0-100km/h加速タイムが9.0秒で、「わりと速いじゃん」と評された元気な妹分の500eとまったく同タイム。内燃エンジンの500Xの最速モデルは日本未導入のハイブリッド版で、そちらは9.4秒。そしてBEVならではの低重心/好バランスな設計であることと合わせて考えると、500X同様、いや、500X以上にスポーティな走りを味わわせてくれるんじゃないか? なんて予測も成り立つわけだ。

2代目チンクエチェントの世界観をSUVに投入したデザインをさらに発展させたスタイリング。見た目以上に広々として使い勝手のよさそうな実用性。過不足のない航続距離。そしてスポーティな走りだって期待できる。

ついでに言うなら、フィアットは宣言どおり600eからグレイの設定をやめて、用意されるのはイタリアの太陽、海、大地、空をイメージした、自然と楽しい気分になれるボディカラー4色だ。いや、もしかしたら2代目セイチェントは、僕たちが想像してる以上の明るい万能選手なのかもしれない。

個人的には間違いなく内燃エンジン派ではあるけれど、僕はBEVにはBEVの楽しさや素晴らしさがあることも経験上わかっていて、日常のアシに使うにはBEVがいいかも、くらいには考えてるのだ。このセイチェントe、選択肢としてはじつにいいポジションにいるような気がしてきた。

買い物にはトポリーノ、日常使いはセイチェントe、そして長距離を走るときには1970年式のターコイズブルーのチンクエチェント。なんだかちょっとばかり素敵な組み合わせであるように感じてる。……まぁ最後のクルマの設定にちょっと無理があるっていえば無理があるかもしれないのだけどね。

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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