ブレーキは日本とコラボしたカーボンセラミック
日本の曙ブレーキ工業と共同開発した独自のカーボンセラミックディスクブレーキは、放熱効果を高めるためにケイ素が注入されており、これはMC4-12Cのそれより50%も多くエネルギーを吸収することができた。ブレーキ・ステアの採用もF1の歴史に詳しい人には見逃せないポイントだろう。
ミッドに搭載されたエンジンは3.8LのV型8気筒ツインターボ。ドライサンプの潤滑方式や低位置のフラットプレーン・クランクシャフトが特徴だ。最高出力は717ps、注目のエレクトリック・モーターは高い燃費効率を得るためではなく、ギアシフト時やターボが十分に過給する以前の低回転域など、従来のエンジンがピークパフォーマンスを発揮できない時のギャップを補完し、ドライバーに常に最大限のパワーを供給する。エレクトリック・モーター自身の最高出力は176ps。システム全体では最高出力は893psという計算になる。
2013年3月にP1を発表したマクラーレンだが、その375台の生産枠はわずか8カ月ですべてが埋まった。今回出品されたプロダクトナンバー「170」のP1は、128台が新車でデリバリーされたアメリカ市場向けの1台で、2014年10月にカリフォルニア州のニューポートビーチのマクラーレン・ディーラーからカスタマーの手に新車で納車された記録が残っている。
スタンダードなP1の装備に加え、MSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)にさまざまなスペシャル・オーダーがリクエストされ、その金額は6万ドル近いものになっていたことが、車両とともにあるオプション装備リストから証明されている。
新車からの走行距離は390マイル(約624km)。過去40マイル(約64km)以内にP1に必要な7年点検も施したという出品車。そのコンディションの良さはやはり誰の目にも確かだったのだろう。最終的な落札価格は201万2500ドル(邦貨換算約2億9180万円)と高値での決着となった。
マクラーレンのアルティメット・シリーズの中でも、いまだ最も非常に高い人気を誇るとも言われるP1。このP1のコンセプトを受け継ぐニューモデルは、はたして再びアルティメット・シリーズから誕生するだろうか。マクラーレンによれば、それは何かしらの画期的な技術が搭載可能になった時の話であるというのだが。