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オジサンの「昔の車はよかった」という理由とは? アナログ世代には現代のクルマは「ハイテク」すぎて使いづらい!?

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TEXT: 近藤暁史(KONDO Akifumi)  PHOTO: AMW

  • MTもシフトチェンジはコツが必要だった
  • 足踏み式サイドブレーキは「カチカチ」と音がするので、利いている感じがした
  • アナログのサイドブレーキは引っ張るだけでOK
  • スイッチ式のキーがメインとなっているが、昔はキーを回すだけでドキドキした
  • 「昔のクルマはよかった」というのは、運転自体がよかった
  • パワステが付いていてもそこそこ重たいステアリングを回していた
  • コーナーでアクセルを踏むとステアリングは暴れるし、そもそもスムースに曲がることも難しかったりした
  • クルマの運転は操っているからこそ楽しいと感じた

乗せられているではなく、クルマに乗っている感があった

現代のオジサン世代の口癖と言えば「昔はよかった」と、昭和や平成初期を懐かしむセリフです。懐古主義のオジサンのような言葉だけは発したくなかったと思っている人もいるかもしれませんが、クルマに関しては、たしかに昔はよかったという面がありました。どんなところが現代のクルマよりよかったのでしょうか。

操る楽しさこそクルマを運転する醍醐味

クルマに限らずだが、歳を取ると「昔はよかった」とつぶやきがち。今ももちろんいいし、昔に戻るつもりはないけど、でもあの頃が懐かしいといったようなニュアンスを含む感じだ。ことクルマに関しては「昔のほうが使い勝手が楽だったり、操作が簡単だったのに」的な意味も多分に含まれているだけに、なんで進化した今よりも昔のほうがいいと感じてしまうのか、非おじさん世代には実感できず、理解不能な部分が増す原因だったりもする。

そこで、昭和に生まれ、平成初期をクルマ好きとして駆け抜けてきたおじさんど真ん中のワタクシが考えるに、結局のところ、大筋としておじさんたちはアナログがいいと思っているのは間違いない。

たとえば、最近増えている電動サイドブレーキは最たるもので、押すのか引くのかどっちかわからないし、利いた感も希薄。アナログのサイドブレーキは引っ張るか、足で踏めばOKで、カリカリカリと音がするのはなんとも利いている感満載だ。

同様のパターンはいろいろとあって、ACCなんぞは使えば便利だろうが、自分でアクセルとブレーキを踏んだほうが早いし、自動駐車システムも「さっさと目で見て自分で入れてこそクルマに乗る資格あり」なんて思っていたりする。それゆえ、「昔はそんなものなくてよかった」というわけだ。

もっと言ってしまえば、「昔のクルマはよかった」というのは、運転自体がよかったのだ。パワステが付いていてもそこそこ重たいステアリングを回して、利かないブレーキをギューっと踏む。FFなんてコーナーでアクセルを踏むとステアリングは暴れるし、そもそもスムーズに曲がることも難しかったりする。MTもシフトチェンジはコツが必要などなど。これのどこがよかったのか? これこそが操る楽しみ、駆け抜ける歓び、人馬一体感だ。

最近のクルマはキャッチコピーでは操る楽しみを謳うものの、やっぱりその感覚は薄くて、誰でも乗れてしまう。となると、温泉に浸かったときのうなりみたいな「ああ〜、昔のクルマはよかった」なんて言葉が思わず出るわけ。書けば書くほど、コジレた感じだけど。

ただ、先進技術はおじさんでなくても、「使い方がよくわからない」などの意見をよく聞くので、おじさん特有ではなくて、いくつかの先進技術は先に行き過ぎただけとも言えるだろう。いずれにしても、結局のところこの繰り返しで、今の若者もそのうち「昔のクルマはよかった」なんていう時代はやってくるのだ。「自動運転はつまんない、昔は自分で運転したもんだ」なんて。「そんなことはない」と思うかもしれないが、自分もそう思っていたから、間違いない。

AMWノミカタ

同じようなセリフとして「近頃の若者は……」というのがありますが、これなんて古代ギリシア時代から言われ続けていたりする。「昔は……」という懐古主義もそれと同じであることは、まず間違いないでしょう。

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