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廃部寸前だった東京農工大学自動車部が不死鳥のごとく復活! 耐久レースに初参戦にもかかわらず見事初優勝を飾りました

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 東京農工大学自動車部のメンバー
  • エンジンはノーマル、エアクリーナーも純正ボックスを活用。コイルは純正が古かったこともありリフレッシュを兼ねて社外品に交換した
  • パワステは電動化したがストラットタワーバーの取り付け部と段差が生じてしまう。ブラケットのみ残してあるのはその対策とのこと
  • フロントまわりの軽量化はかなり有効。多くのチームと同じくFRPボンネットに交換済だ。フロントタイヤへの負担も小さくなるはず
  • ヘッドライトのバルブはLED。東北660シリーズは耐久に限らずどのカテゴリーも、灯火類が正常に作動しないと出走が認められない
  • 中古のロールケージは横転した車両から外した物だったらしく、歪んでいたため安全のためフロントの左だけ交換することになった
  • スマートフォンを利用するGPSレシーバー「DG-PRO1S」でデータを取得。こうした積み重ねがチーム力をどんどん高めていくはず
  • ドライバー交代が勝敗に大きく影響する可能性もある。チームによっては10秒も違うケースがあり、その差を走りで取り戻すのは困難
  • 給油は3分間のピットストップが義務化されているので、焦らず確実な作業を心がけるのがセオリーだ。消火器を持ったスタッフも待機
  • 給油やドライバー交代の手順が遵守されているかは、近隣のチームによる相互監視制となっている。記入した書類はレース後すぐに提出
  • 並走するゼッケン385も今回が初出場の学生チーム。第2戦はさらにエントリーが増えると予想される。シリーズを制するのはどこか?
  • 見事表彰台の真ん中をゲット。東北660耐久レースは3戦すべて異なるサーキットなので、事前の練習やデータ取りが欠かせない
  • 東北660選手権の5クラスにもエントリーした岩崎悠人さん。スプリントレースの経験もドライバーとしての成長に大きく貢献するはず
  • 東北660耐久レースに投入した車両はエッセ。学生クラスは3クラスと車両規定が共通で、自動的にそちらにもエントリーされる仕組みだ
  • 2024年4月14日にスポーツランドSUGOで行われた東北660選手権。5クラスは予選落ちが発生するほど盛況だったが、3位の好成績を残した
  • デビュー戦ながら練習走行に予選、決勝と最後までトップを譲らず優勝を決めた。ドライバーの技量だけではなく車両の完成度も高い

予選から決勝までトップを譲らない完全勝利!

スポーツランドSUGO(宮城県)、エビスサーキットやリンクサーキット(福島県)にて開催されている、軽自動車だけで争われる人気レースが「東北660」シリーズです。幅広い年齢層に親しまれ、多くのエントリーで賑わっている中には、大学の自動車部として参戦するチームも多いのが特徴です。今回は、耐久レースに初参戦し、見事優勝した東京農工大学自動車部とインターカレッジレーシングチームの混成チームに注目。勝利を手にした秘密に迫ります。

マシンをチェンジして挑んだ開幕戦

若者のクルマ離れなんて言葉が陳腐に聞こえるほど、20代のエントラントが多く集う「東北660」シリーズ。なかでも「東北660耐久レース」は唯一の学生クラスが設けられ、大学の自動車部を中心に熾烈なバトルが繰り広げられている。

そんなカテゴリーに2024年の開幕戦からエントリーし、初参戦で初優勝したのが「TNUAC & ICRT エッセ」だ。東京農工大学自動車部(TNUAC)と、学校の枠に捉われないインターカレッジ・レーシングチーム(ICRT)の混成チームで、ICRTは創設した当初から東北660選手権に何名ものドライバーが参戦しシリーズチャンピオンを獲得した実績のある団体。ICRTをバックアップするプロショップ「Ztoオート」からの誘いを受け、TNUACが従来より所有するHA23型スズキ「アルト」ではなくダイハツ「エッセ」で参戦マシンを新規製作した。

学生クラスはレギュレーションで改造範囲が厳しく制限され、チューニングは足まわりやブレーキといった基本中の基本のみ。そのなかでパワステを純正の油圧式から電動式に変更し加速をアップさせたり、バッテリーをバイク用の小さく軽量なタイプに交換するといった小ワザを積み重ねている。

改造が認められている部分でこだわったのは足まわり。リバンプストロークとアライメントを煮詰め、安定感とコントロール性を追求した。さらに、吸排気系は低速トルクを損なわないよう、抜けすぎに注意してパーツを組み合わせたとか。

前日にデータ取りをしてから本番に臨んだ

クルマの準備ができチームとしての体制が整ったのはレース本番間近だったとのことだが、前日からレースの舞台である福島県エビスサーキット入りし、シェイクダウンと燃費のチェックを終えたという。

常連チームも多いなか目標を学生クラス優勝に定め、給油やドライバー交代のタイミングといった作戦を練る。当日は予選で電動パワステのコンピュータが脱落し、いわゆる「重ステ」状態になってしまい緊急ピットイン。幸いすぐにテープや結束バンドで固定できコースに復帰、2位に約1.1秒の差を付けポールポジションを獲得した。決勝では大きなトラブルもなく作戦どおりにラップを刻み、136周とぶっちぎりで見事にトップでチェッカーを受けたのであった。

バトルのシーン

なお、車両は3週間後にチームのひとりである岩崎悠人さんが、宮城県スポーツランドSUGOで開催の「東北660選手権」5クラスに使用。そちらでも初参戦ながら3位と実力の一端を見せつけた。

ふたつのカテゴリーで華々しくデビューしたTNUACだが、なんと数年前は廃部寸前になるほど寂れていたらしい。残った部員が部として存続させるべく新人を積極的に勧誘したり、ほかのサーキットで行われている耐久レースで実績を残した結果、現在では27名の部員と2台の部車を持つまでに復活を果たしたのだった。

今後はさらに活動の場を広げたいと考えており、個人や企業を問わず応援してくれる方を募集中とのこと。レース参戦だけではなく、走行会の主催まで行うICRTも新メンバーを募っているそうなので、気になる人はSNSを通して彼らとコンタクトを取ってみてはいかがだろうか。

チャレンジャーから一転して追われる立場になった東京農工大学自動車部とインターカレッジレーシングチーム。東北660耐久レースの第2戦は2024年7月14日にリンクサーキットで行われる5時間の長丁場だ。さらに成長するであろう「TNUAC & ICRT エッセ」の活躍に注目したい。

■東京農工大学自動車部
X:@TNUAC

■インターカレッジレーシングチーム
X:@ICRT_Overtakers
Instagram:@icrt_overtakers
みんカラ:https://minkara.carview.co.jp/userid/2135869/blog

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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