LP5000 QVがアップデートされた箇所とは
アルフィエーリの考えたカウンタックの進化策は、リアミッドに搭載されるV型12気筒エンジンをさらに強化することから始まった。前作LP500Sの4754cc仕様のV型12気筒エンジンをベースに、85.5mmのボアはそのままに、ストロークのみを75mmに延長したことで得られた排気量は5167cc。これはじつに413ccもの排気量拡大となる。組み合わせられるキャブレターもそれまでのサイドドラフト式からダウンドラフト式のウェーバー製44DCNFに変更された。そのためにエンジンフード上には大きなバルジが設けられることになった。したがってキャビンのミラーからの後方視界はほとんど皆無に近いものになった。
さらにアルフィエーリは、V型12気筒エンジンに、DOHC 4バルブヘッドを与えている。「LP5000」という車名に添えられるクアトロバルボーレとは、イタリア語で4バルブを示すもの。LP5000 QVは、最高出力ではテスタロッサに対して80psものアドバンテージを持つスペックを得ることになったのである。アルフィエーリは開発初期にはV型12気筒エンジンのターボ化なども考慮したというが、それは耐久性等の問題で断念されている。
LP5000QVには、ほかにもいくつかの進化の跡がある。フロントフードとエンジンフードは、軽量化のためにいずれもケブラー製となり、1988年モデル以降ではブレーキダクト付きのサイドスカートをオプション選択できるようになった。そしてもうひとつ忘れてはならないのは、ランボルギーニはLP5000 QVにおいて、ボッシュ製のKジェトロニックや触媒と排出ガス回収装置を搭載したことだ。
さらに灯火類やバンパーなどを法規に合わせた、正式な北米仕様を初めて設定したこと。LP5000 QVの生産台数はトータルで610台と、今回のモナコ・オークションを主催したRMサザビーズは解説しているが、それにはこの北米仕様の貢献度も大きい。出品車はブレーキダクト付きのサイドスカートを備えた、いわば後期型のモデル。走行距離はわずかに4万473km、年間に5000kmしか走行していない計算になる。
1988年7月にランボルギーニから出荷されたこのモデルは、その後ドイツにおいて新車で販売され、1年後にはイギリスの現オーナーの手に渡った。また今回のモナコ・オークションに出品するためのサービスを含めた、以後のサービス記録のすべてが保管されていること、そしてスペアホイールとツールロールが付属していたことも、高評価へとつながる材料だった。
実際にオークションで決着したプライスは、45万5000ユーロ(邦貨換算約7600万円)。カウンタックの人気は、これからまだまだ上昇しそうな気配だ。

































































































