トランスミッションは6速MTのみ
カレラGTの基本構造体はCFRP製のモノコックタブだが、さらに驚かされるのはパワーユニットを搭載するシェル形状のサブフレームにも同素材を採用してきたことだった。参考までにこのモノコックタブとサブフレームの合計重量は約100kg。結果カレラGTはDIN規格値においては1380kg、車両総重量でも1600kgときわめて軽量なモデルとして完成することが可能になったのである。
ミッドに搭載されるエンジンは、そもそもポルシェがル・マン24時間レースへの参戦を想定して開発を進めていた68度のバンク角を持つV型10気筒DOHC。排気量は5733ccとされ、もちろんこのエンジン本体においても軽量化策をはじめ、さまざまな技術的な特徴が盛り込まれている。注目の最高出力は612psと発表。PCCC(ポルシェ・セラミック・コンポジット・クラッチ)とともに組み合わされるトランスミッションは6速MTが唯一の設定だった。
2004年7月、ヴァルター・ロールのドライブで、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェを7分28秒でラップし、その運動性能の高さを見事に証明したカレラGT。今回RMサザビーズが主催した「デール・トゥ・ドリーム・コレクション」オークションに出品されたのは、シャシーナンバー「0162」を持つ2004年モデルで、これはカレラGTがトータルで2006年までに約1270台生産されたことを考えれば、最も初期にライプツィヒの工場から出荷された1台ともいえるものだ。
新車でカナダにデリバリーされたこの0162のボディカラーは、カレラGTのデザインにじつに巧みにマッチするシルバー・メタリック(カラー・コード=U2)。これにテラコッタ(同MZ)と呼ばれるコーディネイトのインテリアを組み合わせている。現在までの走行距離は1万1652kmとまだまだ短く、それも好評価につながったのだろう。
参考までにエスティメート(推定落札価格)は、130万ドル〜150万ドル(邦貨換算約1億8502万円〜2億1348万円)だった。オークションでの入札価格は瞬く間に100万ドルを超え、最終的には129万7500ドル(邦貨換算約1億8359万円)が落札価格となった。新車での販売から20年の時を経て、カレラGTにはスーパースポーツとしての魅力のほかに、クラシックとしての価値もまた、同様に見出されるようになったことが、この驚異的な数字には見事に証明されている。








































































