AMG製フルエアロキットを装着
シャンパン・イエローのボディペイント。当時のAMG車を象徴するかのようなブラックアウトされたフロントグリルやバンパー、そしてエクステリアトリム。ホイールはこれもブラックとシャンパン・イエローのカラー・コンビネーションで仕上げられたBBS製のメッシュタイプで、フロントスポイラーを始めとするエアロパーツはこれもすべてAMG製。しかもフルキットでの装着である。
これまで出品者であるアメリカのバリー・テイラー・コレクションの1台として室内保管されていたこともあり、内外装はやや使用感も見られるものの、全体的なコンディションは良好な状態。一度リフレッシュされれば、このクルマはさまざまなイベントで注目の的となることは間違いない。
そして何より注目すべきは、フロントに搭載されるエンジンだ。それはアフォルターバッハのAMGで確かなチューニングを受けたM110型2746cc直列6気筒DOHCで、ボッシュ製の燃料噴射との組み合わせで228psの最高出力を発揮したと推定されている。
組み合わされるトランスミッションは4速AT。このパワーに対応するために4輪独立式のサスペンションもAMGによって強化され、そのフォーマルで端正な印象を与える外観からは想像もできないほどにスポーティな走りを、280E AMGは実現してみせたのだ。AMG製のエンジンに大きな価値を見出すことのできるこの出品車には、オークション前からエンスージアストからの多くの視線が集まっていたのだろう。入札は予想落札価格のレンジを超えても止まることはなく、最終的に3万9100ドル(邦貨換算約624万円)という数字を記録することになった。
AMGはその後1990年にはモータースポーツに関してメルセデス・ベンツとの提携に合意。1999年には当時のダイムラー・ベンツがAMGの株式の過半数を取得して子会社化されるとともに、ロードカーの高性能モデルの開発にも深く関係していくことになる。
AMGがまだAMGとして独立していた1980年代の作品は、エンスージアストにとっては最も魅力的に見える存在なのかもしれない。
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