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【独占取材】バブル期に市販を目指した幻のスポーツカー「アフガン」は、ひとりのカーガイの夢だった…斬新なボディスタイルに注目!

【独占取材】バブル期に市販を目指した幻のスポーツカー「アフガン」は、ひとりのカーガイの夢だった…斬新なボディスタイルに注目!

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TEXT: 犬塚直樹(INUZUKA Naoki)  PHOTO: 犬塚直樹(INUZUKA NAOKI)

  • KOGA CARS アフガン:ロングノーズ、ショートデッキのシルエットに流麗なボディラインが与えられる
  • KOGA CARS アフガン:ルーフを取り外してオープンカーのスタイルも楽しめる
  • KOGA CARS アフガン:クーペ時のリアスタイルには、古賀氏が好きだったシェルビー コブラ デイトナクーペの面影も残る
  • KOGA CARS アフガン:クーペのシルエットとはまた別の表情を見せるオープンカー状態。サイドの窓はそれぞれ差し込み式になっている
  • KOGA CARS アフガン:クーペ時のリアスタイル
  • KOGA CARS アフガン:オープン状態にするとリアの表情も大幅に変わる
  • KOGA CARS アフガン:シャシーは角パイプをトラス状に組んだパイプフレーム構造
  • KOGA CARS アフガン:流麗なフロントフェイスは欧州スポーツカーをも彷彿させる
  • KOGA CARS アフガン:代々7頭も飼うほど好きだったアフガンハウンドを車名に。堂々とした愛犬のシルエットをシンボルに。量産も意識してか七宝焼とされたオーナメントは今も光を放つ
  • KOGA CARS アフガン:アメリカではホイールセンター部にスピンナーが奢られていたが、日本では違法となるため今は外されている
  • KOGA CARS アフガン:クラシックな面持ちのヘッドライト
  • KOGA CARS アフガン:憧れのデイトナコブラのボンネットにもあったパワーバルジ
  • KOGA CARS アフガン:フロントフェンダーには大きなエアダクトが備わる
  • KOGA CARS アフガン:スポーティかつスタイリッシュな収納式のドアノブを採用
  • KOGA CARS アフガン:アメリカン・マッスルカーのイメージが濃いサイド出しのマフラー
  • KOGA CARS アフガン:エンジンは前輪とバルクヘッドの間にレイアウトされるフロントミッドシップとなる
  • KOGA CARS アフガン:心臓部にシボレー5.7L V8エンジンをチョイス
  • KOGA CARS アフガン:フロントのダブルウィッシュボーンを用いた足まわり
  • KOGA CARS アフガン:ドアは複雑な立体構造で、内側はレザー張り
  • KOGA CARS アフガン:ひとつひとつ手作り感の漂う、頑丈なドアのヒンジ部
  • KOGA CARS アフガン:向かって左側が速度計(マイル表示)、右が回転計。ダッシュ中央部には4連メーターを装備
  • KOGA CARS アフガン:4連メーターは全てオートメーター製で、左から油圧、水温(華氏表示)、電圧、燃料計と並ぶ
  • KOGA CARS アフガン:助手席側のダッシュには車名とブランド名を記すバッジ
  • KOGA CARS アフガン:日本で登録後しばらくしてエンジンを同じものに載せ替え時、トランスミッションはMTからATに変更している
  • KOGA CARS アフガン:ドライバー、パッセンジャーそれぞれのシートベルトはシンプソン製4点式を装備
  • KOGA CARS アフガン:左ハンドルながらサイドブレーキのレバーを左側に置くレイアウト
  • KOGA CARS アフガン:日本で登録後しばらくしてエンジンを同じものに載せ替え時、トランスミッションはMTからATに変更している
  • 現在はナンバー登録を切っているが、登録更新最後の車検証。車名がアフガンとなっている。当時の2Lクラスの車重に5.7L V8の組み合わせがマッスルスポーツカーを物語る
  • KOGA CARS アフガン:プロジェクト始動後まず取り掛かったのが1/10サイズのクレイモデルを作ること。これを持って渡辺氏の元に渡米した
  • KOGA CARS アフガン:古賀氏が自ら描いたアフガンの真横の輪郭図そのままを再現すべく、プロジェクトが進んでいった
  • KOGA CARS アフガン:完成時のスナップ。SEMAショー出展時に泊まったホテルでは玄関前の良い位置に停めてもらった。このクルマの存在感が優れていた証だろう
  • 左上が大学3年の時に作った古賀スペシャル1号車、右下がいすゞ社員時代に作った古賀スペシャル2号車
  • KOGA CARS アフガン:屋根からハッチバック部まで一体で脱着でき、別に用意されたトランクの蓋を装着すればオープンカーにチェンジできる
  • KOGA CARS アフガン:エンジンは前輪とバルクヘッドの間にレイアウトされるフロントミッドシップとなる
  • 今となっては幻となったスポーツカーメーカー「KOGA CARS」代表の古賀 卓氏と、1台だけ製造された「アフガン」

知られざる日本のバックヤードビルダー、古賀 卓氏

自動車愛好家の間でもほとんど知る人のない幻のスポーツカー、KOGA CARS「アフガン」は、日本の一個人が構想・デザインし、1990年にアメリカ・カリフォルニアで完成。当時は本気で量産・販売を目指したプロジェクトでした。AMWでは現在日本でひっそり保管されているこのクルマと、生みの親である古賀 卓氏への取材に成功。知られざるストーリーを紹介します。

カーアクセサリー・メーカーの納屋に眠っていた謎の個体

このクルマに初めて出会ったのは、かれこれ11年あまり前のことだ。当時、とある車種専門誌の撮影でカーアクセサリー・メーカーの敷地にお邪魔して取材している最中、屋根つきの納屋兼ガレージの前を通りかかると、薄暗い中に、曲線美をまとった1台のスポーツカーが埃をかぶって無造作に置かれていたのに気づき、取材終わりにお願いしてそのクルマを見に納屋に戻ったのだ。

典型的なロングノーズ、ショートデッキというシルエットから、アメ車のクーペかと思ったのだが、フロントのオーナメントを見て、見たことのない車名に驚いた。「AFGHAN(アフガン)」という初めて見る車名と、その下に「KOGA CARS(コガ カーズ)」と記されたオーナメントを見て「これは何? オリジナル?」との疑問を、お邪魔していたメーカーの方に伺ったところ、昔社長がご自身でスケッチを起こして、イチから作ったクルマだと教えてくれた。

その時は残念ながらその場に社長がおられなかったので、こクルマに関してそれ以上のことが聞けずにいて、「いずれ取材させてください」とその場を去ったのだが、それから今に至ってしまった。意を決して、その時に訪れた「ズームエンジニアリング」の現社長の吉田氏に連絡し、当時の社長であり「アフガン」の生みの親である古賀 卓氏に、お話を聞きながらクルマの取材をすることが叶うこととなったのである。

大学生時代から自作スポーツカーをガレージで製作

まず「アフガン」を語るうえで、古賀氏のプロフィールを伺うことにしたのだが、聞き入るにつけ、古賀氏なくして、アフガンは誕生していないとの思いに至る。

まだ世の中に自家用車というものが普及する前の1950年代後半、古賀氏は大学生だった。この頃はスポーツカーのロータス「セブン」に憧れていたが、輸入車のスポーツカーなど高嶺の花で、一般の大学生にとって夢のまた夢。普通だと憧れのまま終わる話だが、古賀さんは「買えなきゃ作ろう」と思い立って、「ダットサン セダン」(おそらくダットサン112型)のシャシーフレームや860ccサイドバルブエンジンを使って、セブンに模した自作のスポーツカーを自宅のガレージで製作し始める。

知り合いに陸運事務所の方がいたので相談しながら書類を作りつつ、大学3年のとき完成させたクルマ「古賀スペシャル1号」は無事ナンバー取得となり、実際に通学で乗っていたので、当時のテレビ番組(NHK『私の秘密』)にも出演するほどの話題となったそうだ。

その後、大学卒業と同時にいすゞ自動車に入社し、購買部配属となる。その間も古賀スペシャル1号で通勤していたが、その後、請われて会社の後輩に譲ることとなる。

古賀氏自身は、いすゞに勤めながら次なるステップへ想いを巡らし、ホンダ「N360」の空冷エンジンを使って、独創的なデザインを用いた箱型の軽自動車を製作。「古賀スペシャル2号」が完成する。じつは当時、軽規格の手作り車はナンバー取得のハードルが非常に低く、古賀スペシャル2号車をマザーに量産化を目論んで、当時行われていたショーイベントにも出展していくほどの意欲をお持ちだったそうだ。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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