顧客のボライドは、ブガッティのレースの歴史を体現
準備万端整った「ボライド」で、オーナーはコースに出て12周にわたって、このクルマの潜在能力を最大限に引き出した。雨はさらなる難題をもたらしたが、興奮は増すばかりだった。ドライバーは自分自身と「ボライド」を限界まで追い込み、最高速度333km/hを記録した。オーナーにとって、それは単にスピードを追求することではなく、偉大なるマシンと一体となる感動であり、ブガッティのエンジニアリングの真髄を体感する機会であった。最も過酷な状況下でも、ボライドは比類なき性能で、ドライバーの体験を誰も想像できないレベルにまで高めることができることを証明したのだった。
フランスのレーシングカーを象徴するブルーに仕上げられ、車体の下部全体にノクターン・ブラックカーボンを配するなど、大胆なアクセントが施された顧客のボライドは、ブガッティのレースの歴史を体現している。そのツートーンのデザインは、伝説のレーシングカーである「タイプ35」をはじめとする、ブガッティの過去と現在のアイコンからインスピレーションを得ており、ブランドのモータースポーツにおける不変の伝統と最先端のデザイン哲学への敬意を表している。
特注の構成は、カーボン製フェンダー、ウイング、スプリッターから大胆な赤いテールフックまで広がり、すべてがボライドのサーキット走行に重点を置いたDNAを強調している。
コクピット内では、フレンチレーシングブルーとベルガブラックのアルカンターラ、そして磨き上げられたアルミニウムのアクセントが調和している。「エキップ・カーティス」と刻まれた特注のトレッドプレートが個性を添え、エットーレ・ブガッティの有名なレーシングチーム「エキップ・ブガッティ」を称えたものである。
AMWノミカタ
ボライドの商品化は2021年に発表されたが、3年後の2024年11月に予定通り1号車がデリバリーされた。400万ドルと発表された価格も驚きであったが、1450kgという車重や0-100km/h加速2.2秒というパフォーマンスにも驚かされた。3年も待たされたオーナーが自らサーキットを予約してでも一刻も早くこのモデルを体験したいという気持ちになることは十分に想像できる。
入念な納車説明とブリーフィングの後に顧客はステアリングを握るが、待ち焦がれたマシンと一体となる感動やエンジニアリングの真髄を味わえたのではないだろうか。320km/hで発生するフロント800kg、リア1800kgの強力なダウンフォース、1kg/psを切るパワーウェイトレシオ、1600Nmを発生するトルク感など、それは全世界で40人だけが味わえる特別な幸せである。
余談ながら、ボライドの全高は995mmで伝説のモデル、タイプ35と同じらしい。このあたりのこだわりもいかにもブガッティらしくてステキである。









































