ワインディングロードを攻め込んでも汗ひとつかかない
東名高速に入る。料金所を通過し路面が安定したところを見計らって、アクセルペダルを踏み込んだ。もちろんフルスロットルではない。完全に目覚めたエンジンのご機嫌をうかがってみようと少し踏み込んだだけだった。
驚くべき加速をみせた。低回転域からモーターの圧倒的なトルクに助けられたのも束の間、エンジンのNAフィールを感じた時にはすでにとんでもない速度域に達しようとしていた。ストラーダモードではそれほどサウンドに迫力がないため速度感を失ってしまったのだ。裏を返せばそれほどこの新しいボディ&シャシーはよくできている。おそらく1500psくらいまでは対応できるのだろう。
制限速度周辺でクルージングしていてもレヴエルトの持ち味を堪能することはできる。エンジンと電気モーターのコンビネーションは驚くほどスムーズで、しかも十二分に力強い。余裕は常に十二分で、いつ何時でも好きな速度域まで行けるという自信があるから、ゆっくり落ち着いて走っていても気分がいい。
「どーぞどーぞ、追い越してってくださいな。その気になればいつでも追いつけますから」
という感じだ。
試しにスポルトモードに入れてみる。エンジンのキャラが変わったことはラウドに激しくなったサウンドでわかるのだが、それでも扱いづらそうな印象はない。獰猛になったというのに従順なまま。なんだこの違和感は!
そう、レヴエルト全般についても同じことが言える。1000kmに及んだテストの間、この明らかな矛盾=洗練と野蛮が同居する背反的なパフォーマンスのありかたに感心することしきりだった。この感覚こそがランボルギーニが新時代において目指すパフォーマンスであることがわかった。おそらくはテメラリオも、もう少しスポーツ寄りだとしても、そうだろう。
休憩することも忘れるほどに快適なグランドツーリングを楽しむ。ミッドシップの12気筒スーパーカーでこれほど安楽だったことは過去にあっただろうか? 否、あった。1970年代の、タイヤがまだ太くなる前のスーパーカーは安楽だった。よくできたGTカーだったのだ。
ホームワインディングではクルマが喜んで曲がっていく
スーパーカーで京都を目指す。しょっちゅうだ。たいてい京都インターを降りた時にホッとする。無事に帰ってきたという安堵に浸る。ところがレヴエルトは違った。ワインディングロードにノーズを向けようと思ったのだ。そんなことは、かつての「マクラーレン GT」以来のことだった。
ホームワインディングに入る。もちろんモードはスポルト。V12エンジンの咆哮が山間にこだまする。驚くべきはそのコーナリングスピードで、速度を上げていけばいくほどノーズは内を向き、クルマは喜んで曲がっていく。ドライバーの技量はそこそこで良く、それよりも勇気が必要だ。クルマをとことん信じるという勇気……。
車重が2トンに達するとはとてもじゃないが思えない。アヴェンタドール SVJよりも圧倒的に軽快に走ってくれるからだ。そして、ワインディングロードをどんなに攻め込んでみても汗ひとつかかない自分にさらに驚く。脇の下ににじみがない。
なんと恐ろしいパフォーマンス領域に達したことか。ようやく休憩する気になってクルマから降り、少し離れて背筋を伸ばす。スタイルは確かにランボルギーニ、それもドアを開けた姿はカウンタックの末裔だ。けれども中身にはもうカウンタックらしさは、12気筒エンジン以外に残っていない。レヴエルトに比べればアヴェンタドールだってカウンタックに思えてきた!






































