『風と共に去りぬ』の名レストランでクレオール料理を
その夜は、1840年創業のクレオール・レストラン「アントワーヌ」に出かけた。『風と共に去りぬ』ではスカーレットとレットが、新婚旅行の際にこのレストランで食事をするシーンが出てくる。それほどの名店だ。
ところで、クレオール料理とケイジャン料理はいずれもニューオリンズの名物だが、よく混同される。実際、観光客相手に出される料理は、素材も名前もごちゃ混ぜになっているのが現状だ。しかし、もちろんオリジナルはまったく違うものだ。
クレオールはフランスから西アフリカやカリブ海の植民地を経て渡ってきた、いわばリッチなエリート。一方のケイジャンは、カナダに入植したもののイギリスとの戦いに敗れて追い出され、ほうほうの体で逃げ延びてきた貧しい人たちだった。
当然、食べるものも違う。クレオールは牡蠣やカニなどのシーフードを好み、故郷への郷愁を隠さない高級料理。それに対してケイジャンは、ジャンバラヤ、ガンボ、クローフィッシュパイなどがその代表。ザリガニ(クローフィッシュ)やオクラ、ソーセージ(アンドゥイユ)などを素材とする、ジャンクというか、ソウルフードなのだ。こちらは安食堂やフードコートで食べるのがよく似合う。
バーボンストリートの老舗ライブハウスは最高!
アントワーヌで格調高いディナーをいただいた後は、もちろんジャズ・ライブだ。ぼくたちは一番の繁華街、バーボンストリートの老舗ライブハウスに繰り出した。やはり、生の演奏を聴かなくては話にならない。
すると偶然にもステージに現れたのは、日本人の女性。サックス奏者でバンドリーダーの男性と結婚し、バンドに加わったのだという。彼女の担当はダンスで、チャールストンをベースにしたオリジナルの踊りを披露してくれた。演奏もダンスも最高でした! ビールとジャズを満喫し、ニューオリンズの夜は更けていった。
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>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)
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