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モーターショーのオワコン化が止まらない!? 華やかだった演出はいずこに…昔はどうして取材が大変だった?【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

試乗会を併設するモーターショーもあった

会場の広さも問題である。一番狭いのは恐らくデトロイトとジュネーブ(私が行った中では)。これがフランクフルトやパリになると始末が悪く、会場内には巡回バスが走っているほど広い。それも冒頭のように荷物を持って回るのだから、体力とモチベーションが無いとやっていられないわけである。

おまけに昔のモーターショーは試乗会を併設するケースもあった。私が参加したのはフランクフルトの試乗会と、デトロイトの試乗会。フランクフルトの場合はプレスデイが終了した後に、場所をホッケンハイムに移して本格的な高速ドライブが楽しめた。

一方のデトロイトは、会場の地下に車両が止められていて、思い思いの(クルマは種類が非常に豊富)のモデルに乗ることができたが、大抵は最新モデルの試乗が多かった。彼の地は毎年冬に行われ(それも1月3日から)、極寒の地だけに、降雪というケースもある。試乗どころではなかったこともままある。

モーターショーは根本的なアイデア変更がない限り現状維持?

最新事情は知らないが、今なら携帯ひとつで、写真を撮り、プレスカンファレンスを録音、録画すれば、あとはQRコードかURLを貰うだけで、原稿も書ける。場合によっては、生配信されるプレスサイトのビデオを見れば、行った気分にもなれるし、原稿も多分書ける。だから行かなくても原稿が書ける。

そんなこんなで徐々にモーターショーそのものの価値も下がり、新車発表という大イベントも、モーターショーを外して独自にやるケースが増えた結果、先進国のモーターショーはその地位が大きく低下した。

東京の場合はモーターショーではなく、モビリティショーに名前が変わった。長くフランクフルトで開催されたIAAと呼ばれたモーターショーは、名前こそそのままだが、今はミュンヘンで開催されているし、ジュネーブショーはコロナの影響で2021年と2022年がキャンセル。2023年はカタールのドーハでジュネーブショーが開催された。

そして2025年もカタールで開催されるようである。旧来のまま開催されているのは、どうやらパリサロンだけのようだ。どうしてこのようにモーターショーが縮小傾向にあるかと言うと、ひとつは各自動車メーカーが自国優先の戦略を取り始めたから。東京モーターショーも年を追うごとに海外からの出展が減った。自国に自動車産業がほとんどないスイス、ジュネーブの場合、それは顕著だったようだ。

日本ではまた、モーターショーのようなイベントが多くなり、とくに東京オートサロンの来場者はモビリティショーのそれを上回るほどだから、相対的にモビリティショーの地位が低下するのは致し方ない。それにエンタメ性も落ちている。かつてデトロイトショーでは、ショーの正面玄関のガラスをクルマが突き破って入ってくる演出をしたり、会場内にスプリンクラーを使ったのか、雨を降らせたり、さらにはプレス会場を表に移し、カウボーイとおびただしい数の牛の(ホンモノ)中を、クルマが通ってくるという、とてつもなく手の込んだ演出をしたものだが、今はそんな演出は皆無のようである。やはりモーターショーは根本的なアイデア変更がない限り、まさにオワコンの気がする。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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