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むかしの「ル・マン」は24時間以上の戦いだった!? 自走でファクトリーからサーキットまで向かっていたころを再現する「ジャガー」を取材しました【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

  • ジャガー Cタイプ:1951年〜1953年に53台が製作された
  • ジャガー Cタイプ:パワーアシストがない時代のステアリングはこのように大径でリムが細い。サイドポンツーンの上にはスペアのプラグが並ぶ
  • ジャガー Cタイプ:フランスの国道をコンボイで流すCタイプ。今では1台億単位といわれるクルマが並ぶ姿は壮観だ
  • ジャガー Cタイプ:ユニオンジャックを振るのは当時のジャガー社長、ビル・ヘイデン
  • ジャガー Cタイプ:ル・マンで初優勝した時のジャガー Cタイプ
  • ジャガー Cタイプ:本来の名称であるXK120CのXKはこの直列6気筒エンジンの呼称でもある
  • ジャガー Cタイプ:シルバーストーンで見つけたCタイプ

昔のル・マンは24時間以上走っていた!?

モータージャーナリストの中村孝仁氏が綴る昔話を今に伝える連載。2023年で開催から100周年を数えた「ル・マン24時間レース」。今回は、1991年にジャガーに招待され、初めて行ったル・マンでの出来事を振り返ってもらいます。

歴史に残る1991年のル・マンを取材!

1991年、生まれてはじめてル・マン24時間レースを見に行った。と言ってもレースを見るためだけにル・マンに行ったわけではなく、元々はジャガーの取材に呼ばれて行ったものだった。しかも、この年はジャガーがル・マンで初優勝してから40周年の節目の年だった。そこで、初優勝した「Cタイプ」を、40年前と同じような形でル・マンに送り込もうという計画が持ち上がり、それを実践したのである。

1991年といえばご記憶の読者もいるだろうが、マツダ「787B」が日本車として初優勝した年である。しかも、並みいる強敵のメルセデスやジャガーを制しての優勝だった。24時間を全力で走ることが、これほど過酷なことかとあらためて思い知らされた。しかし、私はその時点よりも40年前のル・マンはさらに過酷で、実質的には24時間以上を走らなければならなかったことを知っていた。

当時と同じようにサーキット目指しスタート

今でこそ、レーシングカーはサーキットを走るために作られたいわゆる専用のマシン。だが、1951年当時はそうではなかった。1950年代や1960年代のGTカーは、日常的にスポーツドライビングを楽しみ、たまにはそれをサーキットに持ち込み、飛散防止用のテープをヘッドライトに貼ってレースを戦い、そのクルマでまた家に帰る……というのがごく当たり前だったのだ。バックヤードでクルマを作り、あるいはジャガーのような高度にチューンされたクルマを購入して、レースを楽しむジェントルマン・ドライバーにとって、サーキットに赴くのはレース用のクルマ、と相場は決まっていたようである。

だから、ジャガー・ワークスとて、ワークスの工場からドライバーたちがマシンを操り、コースまで走り、ル・マンの場合は24時間のレースを戦い、そしてまた元来た道を工場まで戻るのである。

そんなある意味とてもロマンチックなイベントを、ジャガーは1991年に実践したのである。1991年6月20日。当時本社のあったブラウンズレーンの工場には、2台の「XK120」を含む、17台のCタイプが集合していた。まさに当時と同じように(と言っても当時はワークスカーだけだったと思うが)、ブラウンズレーンの本社工場からレーシングカーを自走させ、一路ポーツマスを目指し、そこからクルマをフェリーに載せてシェルブールに。さらにそこからル・マンまで走ったのである。

つまり、当時のレーシングカーは24時間どころの騒ぎではなく、すでにル・マンを走る前に軽く1泊2日のロングツーリングをこなし、それでレースに出て涼しい顔をして勝っていたのだから恐れ入る。40年たって、彼らは再び同じようにCタイプをル・マンまで走らせ、私はその一群を追いかけて会場入りしたというわけだった。

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