久しぶりのテント泊でリフレッシュ
午後はマンモスケーブ国立公園に立ち寄った。ぼくはアメリカの国立公園を訪ねることをライフワークにしている。せっかくケンタッキー州まで来たのだから、リストに書き加えない手はない。
午後3時、巨大洞窟ツアーに参加。家族連れが多くにぎやかだ。ひんやりする地下洞窟を多くの人と散策した。
「どこにマンモスがいるんですか」と、子どもが質問。
「マンモスは、とても大きいという意味なんだよ。だから、ベリー・ビッグ・ケーブ国立公園と同じ意味なんだ」と、レンジャーが答える。
「じゃあ、マンモスはいないんだ。つまんない」
一同、爆笑。
久しぶりに自然のなかを歩いたら、国立公園内のキャンプ場に泊まりたくなった。考えてみれば、ニューオリンズ以来、ずっと街の生活が続いていた。体が自然を欲している。聞いてみると、ラッキーなことにわずかだがサイトが空いているという。さっそくチェックインしてテントを設営した。夕食は残っていたキャンプ飯。旅の緊張がやわらいだ。
次に目指すはブルーグラスの街
翌日はケンタッキー州オーエンズボロのブルーグラス殿堂博物館を目指す。カントリー・ミュージックのルーツは前回紹介したが、ブルーグラスは何が違うのだろう。
ブルーグラスは同じくスコッチ・アイリッシュの音楽をルーツに持つが、ビル・モンローが1939年に発表した新しい音楽ジャンルを指す。ジャンル名は、彼のバンド「ブルーグラス・ボーイズ」から名づけられた。速いテンポと技巧的な即興演奏、それにボーカルのハーモニーが特徴だ。映画『俺たちに明日はない』でも効果的に使われていた。カントリーが他のジャンルの音楽と融合して幅を広げたのに対し、ブルーグラスは今もオリジナルのスタイルを守っている。
ビル・モンローの出身はオーエンズボロの近くのロジーンという小さな田舎町。そこに私設のビル・モンロー博物館と、彼の生まれた家(バース・プレイス)がある。日本ではマイナーな存在だが、ブルーグラス・ファンには聖地だ。リラックスした展示を見学して、ロジーンを後にした。オーエンズボロは、もうすぐだ。
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このミシシッピの旅で筆者が取材した内容を1冊にまとめた本が2025年3月13日に発売となった。アメリカンミュージックのレジェンドたちの逸話とともに各地を紹介しているフォトエッセイ、興味のある方はぜひチェックを。
>>>『アメリカ・ミシシッピリバー 音楽の源流を辿る旅』(産業編集センター)
■「ミシシッピ川ブルース旅」連載記事一覧はこちら
























































