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ウッドパネルは衝突の際に安全なのか? メルセデス・ベンツの細部に至るまで徹底した「安全性」へのこだわりを解説【メルセデス安全性Q&A】

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz AG/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

  • 歩行者の安全性をさらに高めるため、Eクラス/W212に初めて「アクティブボンネット」を採用。歩行者と衝撃が発生すると、フロントバンパー内のセンサーが感知し、スプリング式のエンジンフードの後端が瞬時にして約5cm持ち上がる
  • 歩行者の安全性をさらに高めるため、Eクラス/W212に初めて「アクティブボンネット」を採用。歩行者と衝撃が発生すると、フロントバンパー内のセンサーが感知し、スプリング式のエンジンフードの後端が瞬時にして約5cm持ち上がる
  • 歩行者の安全性をさらに高めるため、Eクラス/W212に初めて「アクティブボンネット」を採用。歩行者と衝撃が発生すると、フロントバンパー内のセンサーが感知し、スプリング式のエンジンフードの後端が瞬時にして約5cm持ち上がる
  • フロントに輝く「スリ-ポインテッド・スター」のマスコットも歩行者を傷つけないように「可倒式」になっており、安全のために頭を下げる
  • フロントに輝く「スリ-ポインテッド・スター」のマスコットも歩行者を傷つけないように「可倒式」になっており、安全のために頭を下げる
  • フロントに輝く「スリ-ポインテッド・スター」のマスコットも歩行者を傷つけないように「可倒式」になっており、安全のために頭を下げる
  • サイドミラーも可倒式になっている。写真は350SE/W116
  • ボディ前後は衝撃吸収式構造、客室は堅牢な設計にし乗員を守る。仮にフロントに10の衝撃のエネルギーが加わったとしたとすると、客室のフロントピラーには1の衝撃エネルギーしか伝わらない構造にしてある。つまり、フロント部分で9の衝撃エネルギーを吸収し、客室の乗員を守っている
  • ボディ前後は衝撃吸収式構造、客室は堅牢な設計にし乗員を守る。仮にフロントに10の衝撃のエネルギーが加わったとしたとすると、客室のフロントピラーには1の衝撃エネルギーしか伝わらない構造にしてある。つまり、フロント部分で9の衝撃エネルギーを吸収し、客室の乗員を守っている。写真はCクラス カブリオレ/A205
  • ボディ前後は衝撃吸収式構造、客室は堅牢な設計にし乗員を守る。仮にフロントに10の衝撃のエネルギーが加わったとしたとすると、客室のフロントピラーには1の衝撃エネルギーしか伝わらない構造にしてある。つまり、フロント部分で9の衝撃エネルギーを吸収し、客室の乗員を守っている
  • ボディ前後は衝撃吸収式構造、客室は堅牢な設計にし乗員を守る。仮にフロントに10の衝撃のエネルギーが加わったとしたとすると、客室のフロントピラーには1の衝撃エネルギーしか伝わらない構造にしてある。つまり、フロント部分で9の衝撃エネルギーを吸収し、客室の乗員を守っている。写真はその構造図
  • 1974年に正面衝突の約75%がオフセット衝突であるという事故調査結果を受け、その事故形態を再現する衝突実験を開始
  • 1974年に正面衝突の約75%がオフセット衝突であるという事故調査結果を受け、その事故形態を再現する衝突実験を開始
  • 1979年のSクラスから採用した三叉(さんさ)式緩衝システムは、まさにオフセット衝突実験を繰り返して開発された
  • フロント衝撃吸収能力は、主に4エリアに分散して吸収する構造になっている。写真図面は2013年のSクラス/W222
  • 側面は、フロントの衝撃吸収能力に比べて衝撃力を吸収するスペースがないので、より強度に優れる高張力鋼板を使用することで衝撃力を分散し客室を保護。このため、メルセデス・ベンツは頑強なドア、多層構造のピラー、高強度のルーフレールやサイドメンバー、高剛性のフロアー構造などを開発し、側面からの衝撃にも変形しにくい客室の強さを保っている。写真図面は2013年のSクラス/W222
  • サイド衝撃テスト。写真はCクラス カブリオレ/A205
  • サイド衝撃テスト。写真はCクラス カブリオレ/A205
  • 後方からの追突に対して、トランク部全体で衝撃を吸収し、しかも乗員の生存空間の変形を最小限に抑えるため、安全な後部構造
  • 燃料タンクは気密性/耐久性を高め、そして衝突の影響を受けにくい位置であるリアシートの下に設置。写真はリア下側より見た燃料タンク全体部品で、センターの凹みにはプロペラシャフトが収まる(W211)
  • 燃料タンクは気密性/耐久性を高め、そして衝突の影響を受けにくい位置であるリアシートの下に設置。写真はリフトアップしアンダーカバーを外した状態で、リア左側後方より撮影
  • 1986年にSLにオートマチックロールバーを搭載することによって新しい横転安全基準を設定。車体の傾斜が一定速度以上(4G)になるとセンサーがその状況を検知し、ルーフの開閉状態に関係なくスプリングによってロールバーを押し上げ5tの力に耐える強度で、横転保護する
  • 1986年にSLにオートマチックロールバーを搭載することによって新しい横転安全基準を設定。車体の傾斜が一定速度以上(4G)になるとセンサーがその状況を検知し、ルーフの開閉状態に関係なくスプリングによってロールバーを押し上げ5tの力に耐える強度で、横転保護する。写真は横転テストとテスト後に作動したオートマチックロールバー
  • 1986年にSLにオートマチックロールバーを搭載することによって新しい横転安全基準を設定。オートマチックロールバーは0.3秒で立ち上がる
  • 1989年のSL/R129には新開発のシートベルト一体型シートとオートマチックロールバーが採用
  • 1995年のSL600/R129のオートマチックロールバー
  • 堅牢なAピラー構造によってさらに横転保護を高め、その筒状構造は高荷重に耐えるように設計されており、ルーフ・ドロップテストで証明。このテストでは、軽く傾けた車体を50cmの高さから落とすことで、Aピラーの一方だけに全重量を掛ける
  • 規定で許されるAピラーの変形はごくわずかなもので、三点倒立の概念を採用した安全システム
  • 1967年にはすでにメルセデス・ベンツはセーフティステアリングを標準装備。以前のステアリングコラムはテレスコピックタイプ式で望遠鏡のようにしか伸縮しなかった
  • ステリングコラムは橫方向の衝撃も吸収するコルゲートチューブに改良された
  • さらに壊れやすくし、提灯を折りたたむように縦・横の衝撃を吸収するコラプシブルシャフトを採用
  • 新時代を迎えたウッドフェイシア。裏表の木目板の中にアルミを挟み、サンドウィッチの多層構造にし、衝撃を受けた時には「アルミが柔軟に変形」してくれるので安全。中央の白い部分がアルミ・サンド
  • ウッドフェイシアを筆者が解剖し、鉛筆で示した部分がアルミ・サンド。写真は1983年380SELリアドアのも
  • 1983年380SELリアドアのアルミ・サンド(白い部分がアルミ・サンド)
  • 以前には1958年に特許を取得した「セーフティ・コーンタイプのドアロック」を使用。この特殊形状のドアロックは太いピンがドア側に装備
  • ポスト側でこれを受ける頑丈なボックスは、中央にドアロックピンをはめ込むテーパー付きの穴が開けられていた
  • 以前にはドアの内側には独特の「カウンター・バランス・ウェイト(錘)」が付けられていた。写真上は1982年380SLで、写真下は1983年380SEL
  • 最近のメルセデス・ベンツは、ドアをリモコン・キー操作で簡単に開閉でき、ずいぶんと便利
  • 最近のドアロックの形状はドア側に「大型のカギ状ロック」がある
  • ポスト側は「大型キャッチ」になり、しっかりとドアが閉まる
  • シートをスライドさせるガードレールをモノコックボディの強化された部分に取り付け、そのガードレール上に非常に頑丈な鋼鉄製「シートサブフレーム」を設置。フロントシートバックの角度を調整するリクライニングシステムも、ギアシステムを左右・両側に備えて強度を高めている
  • ブレーキペダルは強い衝撃を受けると、前方に移動してドライバーの足元から離れるように設計
  • ブレーキペダルは強い衝撃を受けると、前方に移動してドライバーの足元から離れるように設計。ピボットペダル・アッセンブリーにより、できるだけ、脚や足首のケガを軽減
  • ブレーキペダルは強い衝撃を受けると、前方に移動してドライバーの足元から離れるように設計。ピボットペダル・アッセンブリーにより、できるだけ、脚や足首のケガを軽減
  • 足元のカーペットの下にはポリスチレン・フォーム製の厚いフロアパッドが敷かれている。前方からの激しい衝撃、床・フロアパネルが盛り上がる激しい衝撃でも、この衝撃吸収パッドが足首やふくらはぎなどに加わる衝撃を軽減し、ケガを防ぐとともに車外への脱出を可能する
  • メルセデス・ベンツのサイド衝撃テスト。写真はEクラス/W124が190/W201のサイドに衝突テストした状態

86年にわたるメルセデス・ベンツの安全性への取り組み

メルセデス・ベンツでは1939年から安全性の研究をスタート。数々の独自の技術を開発して「安全なクルマ」というブランド価値を確立するとともに、それれ特許を無料で公開してきました。40年にわたり正規ディーラーで活動した筆者が現役時代にユーザーたちに説明してきた、メルセデス・ベンツの独自の安全性をQ&A方式で具体的に解説していきます。

歩行者や自転車の安全性は、どう対策している?

ボディ全体は丸みを持たせ、しかも突起物は可倒式にし、道路使用者である歩行者や自転車の安全性を重視しています。フロントバンパーは歩行者と最初に接触することが多いため、発泡材を詰めた埋め込み型の衝撃吸収構造を採用しダメージを少しでも軽減し、負傷を最小限に抑えるようになっています。くわえて合わせガラス製のフロントガラス、可倒式サイドミラー、丸みを帯びたドアハンドル、埋め込み式フロントワイパー等があり、長年にわたって優れた歩行者保護を提供しています。

また、事故調査によると、歩行者はボンネットで頭部を強打して負傷するケースが多いことが判明しました。例えば「Cクラス/W204」では、歩行者の頭部がボンネットに当たった場合は、ある程度変形するように設計しています。ボンネット内の変形部分は、エンジン、ストラットタワー(フロント・サスペンション上部)、各リザーバータンク、制御ユニットの位置を下げ、ボディまでの空間を確保することで拡大しています。

さらに「Eクラス/W212」には、歩行者の安全性をさらに高めるため、初めて「アクティブボンネット」が採用されています。歩行者との衝撃が発生すると、フロントバンパー内のセンサーが感知し、スプリング式のエンジンフードの後端が瞬時にして約5cm持ち上がり、エンジンフードとエンジン間の空間が広がり、歩行者が受ける衝撃をさらに緩和しています。しかも、倒れかかる歩行者をソフトに受け止めるように、全体的に丸みを帯びたデザインとなっています。

あのフロントに輝く「スリ-ポインテッド・スター」のマスコットも歩行者を傷つけないように「可倒式」になっており、安全のために頭を下げます(現在、このマスコットはSクラスのみで、他モデルは黒の下地でラジエターグリルの中央に位置し、その機能は革新技術の各センサーがぎっしりと埋め込まれている)。

ボディ前後は衝撃吸収式構造にし、客室は頑丈に造り乗員を守る設計とは?

ボディ前後の部分は潰れやすくする(クラッシャブルゾーン)ことで衝撃を吸収し、客室への影響を最小限度に止めます。逆に客室(パッセンジャーセル)は激しい衝撃にも決して壊れることのない堅牢な客室設計にし乗員を守ります。

仮にフロントに10の衝撃のエネルギーが加わったとしたとすると、客室のフロントピラーには1の衝撃エネルギーしか伝わらない構造にしてあるわけです。つまり、フロント部分で9の衝撃エネルギーを吸収し、客室の乗員を守っています。

前面衝突の衝撃吸収分散エリアとは?

メルセデス・ベンツは1974年に正面衝突の約75%がオフセット衝突であるという、事故調査による事実を受け、その事故形態を再現する衝突実験を始めています。そして1979年のSクラスから採用した三叉(さんさ)式緩衝システムは、まさにオフセット衝突実験を繰り返して開発されたものです。1995年には、インテグラルサポートフレームがEクラス/W210に最初に採用されました。

今や、このフロント衝撃吸収能力は、主に4エリアに分散して吸収する構造になっています。例えば、2013年のSクラス/W222では、【1】サイドメンバー上部、【2】クロスメンバーとサイドメンバー中間部、【3】インテグラルサポート、【4】フロントホイールとサイドスカートの4エリアです。

側面に対する剛性はどのようになっている?

乗員が極めて大きなダメージを負った事故の約43%が側面衝突で、これは実際の事故調査から判明した事実です。側面は、フロントの衝撃吸収能力に比べて衝撃力を吸収するスペースがないので、より強度に優れる高張力鋼板を使用することで衝撃力を分散し客室を保護しなければなりません。

このため、メルセデス・ベンツは頑強なドア、多層構造のピラー、高強度のルーフレールやサイドメンバー、高剛性のフロア構造などを開発し、側面からの衝撃にも変形しにくい客室の強さを保っています。

とくにBピラーは4つの異なる鋼板シェルで構成され、このうち2つは極超高張力鋼板を使用し側面を保護。頑強なドアは、外部からドアが容易に開けられる救助対応性も備えています。

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