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もっとも遅くて安いブガッティが1060万円で落札! そもそもは創設者エットーレが息子の誕生日にプレゼントしたジュニアカーがはじまり

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

現代ブガッティの公式ジュニアカーには、早くもプレ値が……?

いっぽう、今回のRMサザビーズ「PARIS 2025」オークションに出品されたブガッティ・ベベII(ベビーII)は、現代の「ブガッティ・オトモビル(Bugatti Automobiles SAS)」社と、ジュニアカーのスペシャリスト「リトル・カー・カンパニー(Little Car Company)」社のパートナーシップの賜物。エットーレが息子ローランに贈ったオリジナル「ベベ」へのオマージュであると同時に、ブガッティという世界最高のブランドの創立110周年を祝う記念プロジェクトでもあると説明されていた。

元祖ベベが、オリジンである「タイプ35」の2/3スケールに縮小されていたのに対して、3/4スケールで作られたベベIIは、その分よりT35に対して正確なプロポーションと、最高品質の部品をふんだんに使用して、ディテールの再現度アップを図っている。

現代に蘇ったベベIIは、オリジナルに匹敵する500台がハンドメイドで製作され、オフィシャルのプロダクトであることを示す、本物の銀製ブガッティ・バッジが付けられた。シリアルナンバー043/500というこの個体は、T35のデフォルト的なカラーリングだった「フレンチ・レーシングブルー」に、黒い本革レザーのインテリアの組み合わせで仕上げられている。

パワー&ドライブトレーンは、最高出力4kWの電動モーターを後輪側に置いた後輪駆動で、リミテッド・スリップ・ディファレンシャルや油圧ブレーキを標準装備するのに加え、制御システムには選択可能なドライビングモードも組み込まれている。このシステムにより、スピードは原則として20km/hに制限されているが、「エキスパート」モードでは45km/hまで出すことができるという。

コックピットも細かく再現

コックピットでは、オリジナルT35と同じ「エンジンターンド(きさげ仕上げ)」を施したアルミニウム製ダッシュボードを装備。当時風のスイッチとT35のレプリカメーターがダッシュパネルを飾る。

くわえて、象徴的な4本スポークのステアリングホイールも忠実に再現されているのだが、クイックリリース機構を備えているため、たとえドライバーが成長したとしても、ドライバーズシートへのアクセスを容易なものとしたうえに、ソリッドアルミニウム製ペダルも調整可能で、理想的なドライビングポジションを保証する、とアピールされた。

またこの個体には、取扱説明書や2基のバッテリーチャージャー、スペアキー、ブガッティ純正キーリング、ナルディ社製の専用ステアリングホイールのためのカバーが付属するとのことであった。

RMサザビーズ欧州本社は、公式オークションカタログにて「エットーレ・ブガッティの自動車作品の愛好家であれば、必ず手に入れたい1台」と謳うとともに、現在の所有者との協議のうえ、4万ユーロ~7万ユーロ(邦貨換算約644万円〜1127万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定。

そして2月4日に行われた競売ではエスティメート上限に近い6万6000ユーロ、現在のレートで日本円に換算すれば、約1060万円というけっこうな高価格で競売人のハンマーが鳴らされることになった。

この落札価格は「新車」として発売された当時のプライスを大きく上回るもの。つまりは、誕生から6年しか経っていない「ベベII」は、早くもコレクターズアイテムとして、いわゆる「プレ値」がついていることをうかがわせるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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