フェラーリ初のATモデル
その一方で大きな魅力だったのは、400から選択可能になった3速ATの存在だ。フェラーリとしては初の採用となるこのATは、ゼネラルモータース社製のターボ・ハイドラマチック400で、400iではさらにV型12気筒エンジンとのマッチングは改善されたとされる。ちなみに日本市場に導入された400、400iはいずれもこの3速AT仕様のみ。400iで実現された240km/hの最高速度は、もちろん当時のGTとしては非常に魅力的な数字である。
シャシーのメカニズムや装備も、フェラーリの作品らしくじつに凝ったものとなっていた。セルフレベリング機構付きの独立リアサスペンション、パワーアシスト・ステアリング、パワーウインドウ、オプションではエアコンの装着も可能だった。内装に使用されるレザーはもちろん最高級のクオリティを持つもの。当然のことながらハンドメイドによる工程も多く、その生産は1年間で200台を超えることはなかった。
出品車は1980年9月にラインオフされ、ドイツでファーストオーナーに納車された400iオートマチックは、過去10年間は中東の現オーナーのもとにあった。さらに最近イギリスの有名なスペシャリスト、ストラットン・モーター・カンパニーによるメンテナンスが行われ、そのコンディションは上々といったところ。ボナムズが提示した予想落札価格はリーズナブルだ。
しかし、入札はそのレンジを超え、最終的に9万2000ユーロ(邦貨換算約1470万円)という価格で止まった。そのハンマープライスが高いのか、あるいは安いのかは、あくまでも個人の判断によるところだろう。































































