タラテガ・スピードウェイで332.007km/hを記録
1986年3月24日。ついに最高速テストの日が訪れた。その舞台となったのは、アメリカのアラバマ州タラテガにある、タラテガ・スピードウェイ。ドライバーはインディ500で3回の優勝を飾った実績を持つボビー・アンサー。彼ならば、この世界一危険なサーキットとも称されるタラテガで、最高速記録を樹立してくれることは確実だろう。
そして彼は見事に、46秒でこのオーバル・サーキットを周回し、332.007km/hという最高速記録を実現した。彼によれば、車速が320km/hを超えてもなお、アウディの4WD技術によって車体は路面に釘付けになっているかのような印象を受けた。
その後このプロトタイプは、アメリカでタイヤテスト用の車両として使用された後、ドイツのインゴルシュタットにある本社へと戻される。ここを訪ねたアウディV8のカスタマーが、たまたまアウディのモータースポーツ用エンジンの開発に携わってきたヴェルナー・ラウレンツ博士と交流を持ったことが、それを売却する大きなきっかけとなった。
今回ボナムズが提示した予想落札価格は10万ユーロ~20万ユーロ(邦貨換算約1650万円~3300万円)。オークションでは12万750ユーロ(邦貨換算約1935万円)での落札という結果になった。落札者は、まさにアウディの進化の歴史、その記念すべき節目を手にしたことになる。






























































