フランス・ストラスブールへ1泊2日の旅
ドイツ・ミュンヘン在住の池ノ内みどりさんは、フランス・ストラスブールへ1泊2日の小旅行へ。アウトバーンを途中で降りて偶然立ち寄った町で出会ったのは、67年続く家族経営のレトロ喫茶店でした。昔ながらの陶器に盛られたハンガリー風のシチュー、ふんわり甘いイチゴオムレツ⋯⋯。高速道路の料金所と混雑事情なども含めて、旅の様子をお伝えします。
アウトバーンを降りて地元のお店を探すことに
まだ少し肌寒さが残る春のある日、友人たちと一緒に思いつきでフランスのストラスブールへ1泊2日の旅に出かけてきました。フランスと言うと、少し遠いイメージがありますが、自宅のあるドイツのミュンヘンからストラスブールまでの距離は約350km。頑張れば日帰りも可能なんです。いつもル・マン24時間レースの帰りにストラスブール近辺を通過していたのですが、その際は真っ暗で何も見えないまま通り過ぎていました。今回はようやく、初めて訪れることができました。
道中、軽く昼食を食べられるお店を探すことに。ドイツのアウトバーンのサービスエリアには、美味しくて手頃なものがほとんどないのが実情です。少し面倒ではありますが、一度アウトバーンを降りてみると安くて美味しい食事ができることが多いです。
思い付きで立ち寄ったのは、小さな町。お店が少なくランチタイムも終わりかけの時間帯でしたが、小さくてレトロな喫茶店が目に入り、入ってみることにしました。ドイツのケーキ屋さんを兼ねたカフェでは、軽食も扱っているところがあります。このお店でもサンドイッチやスープがありましたので、グーラッシュ(ハンガリー風のシチュー)を注文することに。すると、ホカホカのパンと一緒に提供されました。
減少する個人経営のレトロ喫茶店でランチ
お店の中はまるで昭和レトロな喫茶店の雰囲気がムンムンで、大当たり! 私の好きな感じの喫茶店です。ドイツでも個人経営のレトロな喫茶店はチェーン店に押されて随分と減りましたので、このような場所に出会えたことはとても嬉しかったです。陶器類も何十年も使われているようなレトロ柄が素敵でした。食後にはコーヒーとエルトベアオムレッテ(イチゴオムレツ)を。懐かしい素朴な甘さのふわふわの生地に、甘酸っぱいイチゴのクリームがサンドされたこのケーキは、昔スタイルそのもの。最近のオシャレ系カフェでは絶対に出会うことができないものなので、迷わず選びました。本当に美味しかったです。
お手洗いは地下にあり、そこへ向かう階段には数多くのマイスターブリーフ(菓子職人のマイスターの称号)が額縁に入れて壁全面に飾られていました。創業67年の家族経営のお店だそうで、帰り際に3代目の美しい女性と少しお話しました。このような古き良きドイツのお店は少なくなってきているので、偶然でも訪れられたことを嬉しく思いますと伝えたところ、「とても光栄です!」と素敵な笑顔を見せてくださいました。
日本では若者たちの間で昭和の純喫茶ブームが起きているそうですが、ドイツでも流行るといいなと思います。私も今後、旅先や地元のミュンヘンでレトロな喫茶店を見つけたら、ぜひ立ち寄りたいです。
高速道路の料金所と混雑事情
その後、ドイツのアウトバーンを走り、フランス方面へ進みました。一度下道に降り、フランスの高速道路に入ると景色は大きく変わりませんが、フランス語の道路標識を見るとあらためて外国にいることを実感します。
国境付近の一部の区間は高速料金が無料ですが、その他の区間では料金所があります。バカンスシーズンにはどのレーンにも長い行列ができることもありますが、この日はかなり空いていました。私は運転していなかったのですが、普段自分で運転しているときは、この料金所が少し苦手です。とくに混雑しているときに、もたもたしていると後ろからクラクションを鳴らされて焦るんですよね。そんな冷や汗から解放されたくて、愛車にはイタリアやフランス、ポルトガル、スペインで使えるテレパス(ETC)を取り付けています。
何やかんやであっという間にストラスブールに到着。じつはストラスブールはライン川を挟んでドイツの向かい岸に位置しているため、とても気軽に「ボンジュール」の国に行くことができるんです。まだ春の旅行シーズン前で平日を選んだので、中心地にあるホテルの宿泊料もお得で助かりました。以前、クリスマスマーケットに行きたくて宿泊料を調べたときのイメージとはまったく違い、今回は数分の1の価格でした。観光シーズンを外すと、かなり割安に旅行ができますね。