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タミヤのプラモデルから採寸して1/1スケールの「ティレルP34」を製作【自動車変態列伝】

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TEXT: フェルディナント ヤマグチ(FEDINAND Yamaguchi)  PHOTO: 増田貴広(MASUDA Takahiro)

タミヤのプラモデルをノギスで測って拡大して原寸大F1マシンを製作

そして冒頭にお話したティレルである。

綿引「自分が手がけてキレイに仕上げたレストア車のご縁で、いろんなイベントに呼ばれるようになりました。“何かイベントの目玉になるようなクルマを持ってきてよ”と言われたので、それならうんと目立つクルマが良いだろうと思い、前から好きだった6輪のティレルの原寸大モデルを作ろうと。もちろん図面なんかありませんから、12分の1のプラモデルを元にして。ノギスで寸法を測って、それを12倍にすれば型紙ができちゃう(笑)」

しかしプラモデルは原寸に忠実ではなく、見栄えを良くするためにデフォルメしているのではないだろうか?

綿引「僕もそれを心配したのですが、確認したら何と当時タミヤはティレルP34の図面を持っていたと言うんですよ。当時タミヤはティレルのスポンサーをしていて、F1日本GPのときには、ボディにタミヤの星型マークを入れるよりも、平仮名で入れたほうが面白いということで、本当に「たいれる」と入れたりして。シャレが効いてますよね。タミヤのプラモデルはそのころから世界的に有名で、“図面を渡すからウチのマシンのプラモデルを作ってくれ”なんて依頼もあったそうなんです。おおらかな時代でしたね。だからその12分の1のプラモデルは正真正銘、正しい縮尺のモデルです。ということで、それを12倍にしたこのクルマは、正しく“原寸大”というわけです。

原寸大モデルのティレルは、どこのイベントに行っても大人気。走り屋でもある綿引さんは、ガワだけでは飽き足らず、中身のセッティングも詰めていく、そして「自分で乗って楽しめる」までにティレルの完成度を高めていく。

綿引「200ps近いエンジンを積んでいますからね。アルミボディで軽量だし、踏めばメチャ速い。じつは先ごろ開かれたヒルクライムでちょっとイキったら、田んぼに落っこちちゃって、腰を痛めてしまいました」

アルミの魔術師は、そう言って頭をかくのだった。

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