オリジナルコンディションを保った1台
2025年4月13日、ボナムズがグッドウッドで開催した「GOODWOOD Members Meeting 2025」オークションにフェラーリ「512BB」が出品されました。登場したモデルは、1979年のジュネーブ国際モーターショーに展示するために用意された個体であるとファーストオーナーは証言します。オークションレビューで追跡しました。
フェラーリの歴史を変えたBB
フェラーリがストラダーレ(ロードモデル)の基本設計をFR(フロントエンジン・リアドライブ)からMR(ミッドシップ・リアドライブ)に変更したのは1970年代を迎えてからのことだった。
正確には1973年のパリサロンで発表された365GT4BBが、その第1弾モデル。ここからさらなる進化を遂げていった一連のBB(ベルリネッタ・ボクサー)シリーズは、1970年代半ばに日本を席巻したスーパーカーブームにおいても、常にその主役の座に君臨した。
その365GTB4BBが、ここで紹介する「512BB」へとマイナーチェンジしたのは1976年のことだった。車名の512は、それまでの1シリンダーあたりの排気量ではなく、5Lの12気筒エンジンを表すものとなる。約600cc拡大された排気量は、BBシリーズの走りのキャラクターをよりラグジュアリーな、GT的な感覚を強めることを目的としたものだった。
すでに当時のスーパーカー市場には、ランボルギーニが4LのV型12気筒エンジンを横置きミッドシップした流麗なミウラが存在した。フェラーリとしてはこのミウラとの差別化も重要な開発課題だった。
最高出力は360ps、最大トルクが431Nmを発揮する512BBのエンジン。コンセプトを象徴するかのように、最高出力では365GTB4BBより20psほどプアな数字となるが、最大トルクは逆に20Nmの増強。5速のギアボックスとデファレンシャルを、180度までバンク角を開いたV型12気筒エンジンの下に配置するという設計は、BBシリーズの全モデルを通じて採用。後継車であるテスタロッサシリーズの全モデルにも継承された手法にほかならなかった。


















































































