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アストンマーティン「V8オスカー・インディア」相場が4倍に高騰!約4620万円で落札された理由とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

数百万円だった相場がいつの間にやら急上昇!

RMサザビーズ「MILAN 2025」オークションに出品されたV8ヴァンテージ「オスカー・インディア」は、1984年12月に中東クウェートに新車として納車された。アストンマーティンのニューポート・パグネル旧本社工場から出荷された際には「テルフォード・ゴールド(Telford Gold)」のボディカラーに、ダークブラウンのパイピングを施した「マグノリア(Magnolia)」のコノリー製ハイドで張られたレザーシートが設えられていた。

これは車両に添付されるヒストリーファイルでも閲覧可能な、工場オリジナルの製造シートのコピーにも記載されている。

この個体で特筆すべきは、エンジンがいわゆるマッチングナンバーであること。また、1983年から1985年に生産されたV8ヴァンテージに特徴的な、見栄えのするBBSクロスレース型アロイホイールを装備しているのも魅力的な要素といえよう。

さらに中東クウェートの暑い気候に備えてだろうか、オスカー・インディアのデフォルトであるクローズドの専用フロントグリルの代わりに、標準のV8サルーンと同じメッシュのラジエーターグリルを採用しており、アグレッシヴさを抑えたエレガントなルックスとなっている。

走らせる前には機械的な再調整が必要

リペイントおよび内装張替えの時期や経緯は明らかになっていないものの、現在では純正色のグレー・メタリックとブラウンのレザーハイド+ブラックのパイピングで仕上げられており、コンディションはいずれも良好とのこと。ただし、長年の静態展示期間を経て、走らせる前には機械的な再調整が必要となるのでご注意されたい……、との但し書きも添えられていた。

今回の出品に際して、RMサザビーズ欧州本社では

「次のオーナーが、カーショーやツーリングのために完全に再整備を行う絶好の機会」

というやや苦し気な謳い文句を添えていた。いっぽう、現状ではそのまま走行するには適さないメカニカルコンディションからするとなかなか強気にも映る、16万5000ユーロ~20万ユーロ(邦貨換算約2689万5000〜3260万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

アストンマーティンDBS/V8系モデルといえば、ひところは数百万円レベル、たとえ希少な「ヴァンテージ」であっても1000万円以下まで相場価格が落ち込んでいた時期もあっただけに、このエスティメートはかなりオプティミスティック(楽観的)に過ぎると思っていたのだが、いざ競売が終わってみれば、エスティメート上限を大幅に上回る28万625ユーロに到達。

つまり、日本円に換算すると約4620万円という、たとえ現在の円安為替レートを加味して考えても、往時のマーケット相場とは隔絶したかにも映るような高価格で、競売人のハンマーが鳴らされるに至ったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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