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BYD「シーライオン7」を乗り比べ! 内燃機関に慣れた人にはAWDよりもRWDのほうがオススメ!? アルファ ロメオらしいラインの理由とは?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

アルファ ロメオらしいクーペ的な意匠の理由とは

現時点では自動車メディアやライフスタイル系メディアよりも、経済誌などで見かける機会の多いBYD。でも同時に、今や世界でもっとも話題を集めている自動車ブランドの一つであることに疑う余地はあるまい。

そんなBYDが送り出した「シーライオン7」は、ひと目見た瞬間から、なかなかの存在感を披露していた。BYDデザインセンターの長としてデザインワークを指揮したヴォルフガング・エッガー氏については、近年では「元アウディ」と表記されることが多いが、アルファ ロメオ好きな筆者にとっては、「元アルファ ロメオ・チェントロスティーレ」のほうが耳になじみのある経歴。このシーライオン7でも、フロントフードからキャビンに抜けるクーペ的な意匠に「アルファっぽい」エモーショナルな流麗さが感じられ、あくまで個人的嗜好ながら、なかなか好ましいスタイリングと感じられた。

今回のテストドライブは、短時間にRWDとAWDの2台を乗り比べるというもの。まずはRWDのキャビンに腰を降ろすと、ナッパレザー張りのシートをはじめとするインテリアの質感が、前述の新型クラウンにも匹敵する高級感を有していることに気がつく。

とりあえず走らせるだけなら、BEVからICE搭載車に至るまで、昨今のクルマにあるていど乗り慣れたかたなら、とくにコックピットドリルの必要もなく運転できそうということで、早々に西湘バイパスへと走り出すことにした。

合流車線でスロットルを踏み込むと、車両重量2230kgというヘビー級ウェイトをほとんど感じさせない、気持ちの良い加速を披露する。そのかたわら、フロント3面のウインドウを防音・熱線吸収ガラス製としたとアピールされているとおり、窓を閉めれば外界の雑音は大幅にシャットダウン。EVでは気になるロードノイズも抑えられていることもあって、底意地の悪い予測を大きく覆す、快適で上質な空間が実現されていた。

そのかたわら、路面の荒れたところでは同じSUVでもスポーツ系モデルを思わせるようなごつごつとした当たりを感じるものの、すぐに収束するのはボディ剛性の高さとダンパーのセットアップが巧妙であることの証ともいえよう。

課題もあるけど、お値段以上のコストパフォーマンスは確定?

そのあとAWDに乗り換え、それまでのRWDの記憶を残したままスロットルを踏み込むと、後頭部でヘッドレストを逆頭突きさせられるように強烈な加速感に襲われる。たしかに速さという一点においてはAWDが明らかに優れていると認めざるをえまい。

ただ、身体に染みついてきた内燃機関自動車の二次曲線的加速感とはまったく異なる、無音・無振動のまま直線的に猛然と加速する走りに、自立神経を逆なでされてしまいそうな高性能BEVが好きになれない筆者にとっては、RWDのナチュラルで品の良い加速フィールが、ずっと好ましいものと感じられてしまう。

ともあれ、AWD版のトルクデリバリーの調律がいささか乱暴であることや、ゴツゴツ感がついて回る足さばき。あるいはレーンキープアシストが気まぐれで、しかも効くときには強力過ぎることなど、細かい点ではいくつか改善を期待したい項目もあるものの、今回のテストドライブのように、総走行距離にして数百kmていどの新車状態で乗るぶんには、申し分のないクロスオーバーSUVであることは間違いあるまい。

あとは長年の「愛車」として使用したのち、たとえばバッテリーや車体、内外装の経年劣化、そして何よりサービス体制の継続性など、一定の年月を経ないと分からない項目については、これから数年の時を経て明らかになることだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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