高速道路だけなら九州・鹿児島に到達できる
VW広報部のSさんから、「新型パサートのガソリン・マイルドハイブリッドは燃費が良いですから、ぜひテストしてください!」とありがたい挑戦状をいただいたので、東京~大阪間の1000kmロングドライブを行いました。好燃費といえばディーゼルを思い浮かべる人も多いと思いますが、今回のテストでは驚きの結果が出たのです。
「マイルドハイブリッドでしょ」と甘く見ていた
ちょうど10年前の2015年。メルセデス・ベンツが500NmというV8エンジン並のトルクとJC08モード燃費20.7km/Lというコンパクトカーレベルの好燃費を両立したディーゼルハイブリッドシステムを搭載した「S300h」が、東京~鹿児島・佐多岬までの1540kmを無給油で走破したことが話題となった。
カタログ燃費の20.7km/Lに燃料タンク70Lを掛ければ、机上の走行可能距離は約1450km。これを上まわる走行距離を記録して燃料タンクには約15%、さらに270km走行可能な燃料が残っていたという。
筆者はこれまでさまざまなクルマでロングドライブを行っているが、満タンで1000kmを走破できるクルマのほとんどがディーゼル車だった。しかし、今回ロングドライブを行ったVW「パサート」は、ガソリンエンジンのマイルドハイブリッドでしょ! という誤った考えを払拭する金字塔を打ち立てたのだ。
結論を先に言ってしまうと東京~大阪を往復し、自宅到着時のトリップメーターは1028km。そして走行可能距離は480kmを示していた。じつに満タンでの航続走行可能距離は約1500km。また実燃費も21km/Lと駆動方式が異なるとは言え、先代のパサートオールトラックでロングドライブを行った際の17.7km/Lを大きく上まわったのだ。
9代目となる現行型VWパサートは、2024年11月に日本市場に導入された。先代モデルまではセダンとステーションワゴンが用意されていたが、欧州市場のトレンドに則り、ワゴンのみとなった。
シャシーは従来のMQBアーキテクチャーの進化版となるMQB evoアーキテクチャーを採用。ボディサイズは全長4915mm×全幅1850mm×全高1500mm。ホイールベースは2840mmとなり、先代モデルから、全長は+130mm、全幅+20mm、全高−10mm。ホイールベースは+50mmとサイズアップしている。
このサイズアップにより居住空間が拡大されただけでなく、ステーションワゴンに求められるラゲッジ容量は、5人乗車時が690L(先代から+40L)、リアシートをすべて倒すと1920L(先代から+140L)とユーティリティも向上している。
ベーシックからR-ラインまで幅広く展開
新型パサートは3種類のパワートレインを用意。最高出力150ps、最大トルク250Nmを発生する1.5L 直4ガソリンターボエンジンに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせるeTSI。最高出力193ps、最大トルク400Nmを発生する2L直4ディーゼルターボエンジン。そして、満充電時でバッテリーのみの走行可能距離142kmという1.5Lエンジンのプラグインハイブリッドだ。
組み合わされるトランスミッションは、PHEVが6速DSGで、その他は7速DSGとなる。駆動方式はガソリン車が2WD(FF)、ディーゼル車が4WDとなり、燃費性能はWLTCモードで、1.5Lマイルドハイブリッド車が17.4km/L、ディーゼルターボ車が16.4km/L。PHEVは18.0km/Lとなっている。

グレード構成は3つのパワートレインそれぞれにエレガンスとR-ラインを設定。さらに1.5LエンジンのeTSIにはエレガンスベーシックを用意し、全7グレードとなる。車両本体価格は524万8000円~679万4000円だ。
今回ロングドライブを行ったのは、車両本体価格553万円のパサートeTSIエレガンス。メーカーオプションとして17万6000円のレザーシートパッケージ、同じく17万6000円のDCC proパッケージが装着されていた。



























































