クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • LIFE
  • マセラティの歴史を辿る旅で知った「パルミジャーノ・レッジャーノ」の精神性が日本で匠の「道」として展開! 五感で感じた「チーズ道」とは
LIFE
share:

マセラティの歴史を辿る旅で知った「パルミジャーノ・レッジャーノ」の精神性が日本で匠の「道」として展開! 五感で感じた「チーズ道」とは

投稿日:

TEXT: 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)  PHOTO: 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)/パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会

  • パルミジャーノ・レッジャーノの品質検査は、ひとつひとつ専用の器具で叩いて確認(2018年のイタリア取材にて)
  • パルミジャーノ・レッジャーノは、12カ月から48カ月以上熟成、乳牛の品種や熟成期間によって異なる風味が楽しめ 、味わいはナッツのような香りと旨み、豊かなコクがあり、熟成期間が長いほど濃厚で深い味わいになる(2018年のイタリア取材にて)
  • 牛の飼育には、主に地元で採れる草や干草などの飼料が用いられ、輸入飼料や発酵飼料(サイレージなど)の使用は厳しく禁止されている(2018年のイタリア取材にて)
  • アチェットバルサミコと合わせると、さらに楽しめる(2018年のイタリア取材にて)
  • パルミジャーノ・レッジャーノは、12カ月から48カ月以上熟成、乳牛の品種や熟成期間によって異なる風味が楽しめ 、味わいはナッツのような香りと旨み、豊かなコクがあり、熟成期間が長いほど濃厚で深い味わいになる(2018年のイタリア取材にて)
  • イベントの締めくくりには、厳選されたパルミジャーノ・レッジャーノのテイスティング(24ヶ月熟成と36ヶ月熟成)を、イタリアのフランチャコルタや抹茶のモクテルなどと合わせて楽しんだ
  • イベントの締めくくりには、厳選されたパルミジャーノ・レッジャーノのテイスティング(24ヶ月熟成と36ヶ月熟成)を、イタリアのフランチャコルタや抹茶のモクテルなどと合わせて楽しんだ
  • 駐日イタリア大使ジャンルイジ・ベネデッティ氏は、「パルミジャーノ・レッジャーノは、その独特な形状と風味によりイタリア料理の基盤を支える重要な食材です。厳格な製法で守られ、ヨーロッパの原産地呼称(DOP)制度により品質が保証されています。2019年の日本・EU経済連携協定によって日本でもその価値が認められ、伝統と品質を重んじる日本とイタリアが、本イベントを通じて一層の結びつきを強められることを期待します」と挨拶
  • トークセッションは協会ブランド&コミュニケーション担当のイラリア・グレコ氏、ジャパンPRコンセプターのティツィアーノ・アランプレーゼ氏、特別ゲストのMEGUMI氏によって行われた
  • 書家・中塚翠濤氏が創作したJapanロゴ「円相」にインスピレーションを受け、能楽師・辰巳滿次郎氏が特別創作能を披露
  • 書家・中塚翠濤氏が創作したJapanロゴ「円相」は、千年にわたり伝統を守り続ける「パルミジャーノ・レッジャーノ道」の精神を現代的な感性で表現した作品
  • パルミジャーノ・レッジャーノは専用のアーモンドナイフで割ると、粒状の組織をさらに楽しむことができる(2018年のイタリア取材にて)
  • マセラティで訪れたパルミジャーノ・レッジャーノの生産地は広い牧草地が広がっていた(2014年のイタリア取材にて)
  • パニーニ家が運営しているマセラティの私設ミュージアム(2014年のイタリア取材にて)
  • パルミジャーノ・レッジャーノは、最低でも12カ月以上の熟成が必要となる(2018年のイタリア取材にて)
  • パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会(本部:イタリア)は、2025年6月6日に東京・銀座の観世能楽堂にて、ブランド価値のさらなる浸透を目的とした特別イベントを開催
  • パルミジャーノ・レッジャーノ(24カ月熟成と36カ月熟成)を、イタリアのフランチャコルタや抹茶のモクテルなどと合わせてのテイスティング

チーズにも「道」がある!

「パルミジャーノ・レッジャーノ」というハードチーズをご存知ですか? イタリアの特定の地域(パルマ県、レッジョ・エミリア県、モデナ県、マントヴァ県、ボローニャ県の一部)でのみ生産されるPDO(原産地保護呼称)認定のチーズのことなのですが、なんとこの度「パルミジャーノ・レッジャーノ道」なるものが日本で発足しました。その精神について触れてきました。

マセラティの歴史を追っていたらパルミジャーノ・レッジャーノに行き着いた!

ブルーのマセラティ・ギブリでパニーニ家が所有しているマセラティの私設博物館を訪ねたのは、ちょうどマセラティ誕生100周年の2014年であった。そのムゼオにはとても気になる歴代の名車が並んでおり、それはそれで印象に残ってはいるのだけれど、取材が終わって同じ敷地内にある販売所で購入したパルミジャーノ・レッジャーノが、帰国後にたいへん印象に残るものとなった。

取材当時、その販売所はパニーニ家が経営していた牧場で生産したパルミジャーノ・レッジャーノをはじめとする乳製品やハムなどがずらりと並んでいた。マセラティの私設ムゼオを訪れたら、こちらの販売所でお土産としてチーズなどを購入するのがお決まりのようであった。

無農薬の牧草で育てられた乳牛のミルクから作られたパルミジャーノ・レッジャーノは、それまで私が経験したどのチーズよりも芳醇で、舌触りと鼻に抜ける香りが秀逸であった。牧場とパルミジャーノ・レッジャーノづくりを取材するために再訪したのは、最初に取材したときから4年後のことである。

このパルミジャーノ・レッジャーノは、イタリアのエミリアロマーニャで生産される特産品である。原料は生乳と塩と酵素のみ。製法はいたってシンプルではあるが、昔ながらの製法を伝統として今に受け継いでおり、これまたかつて取材したことのある日本酒の酒蔵を思い出した。パルミジャーノ・レッジャーノをつくる職人と杜氏の姿がオーバーラップしたのである。

よく、日本料理とイタリア料理の共通性が指摘されることがあるが、それはシンプルな調理法で素材の良さを活かすことに集約されていると思う。つまり、どちらも素材そのもののよさが第一条件にある。そして、その道を極めた職人の手によってうみだされるものだ。

常々、そんなことを考えていたら、なんと「パルミジャーノ・レッジャーノ道」なるものが、この日本で発足されたのである。日本人はよく何にでも「●●家」とか「●●道」というものを作りたがるが(かつて「編集家」と名乗った人もいたはず。「オタク道」となれば、相当のマニアということになるだろう)、実はこのコンセプトを作ったのは日本在住のイタリア人、ティツィアーナ・アランプレーゼ氏である。

日本特有の精神と文化と共鳴する生産プロセス

発表会場はGINZA SIXの観世能楽堂。発表会には駐日イタリア大使ジャンルイジ・ベネディッティ氏が登壇して挨拶。トークセッションは協会ブランド&コミュニケーション担当のイラリア・グレコ氏、ジャパンPRコンセプターのティツィアーナ・アランプレーゼ氏、特別ゲストのMEGUMI氏によって行われた。そこで、ティツィアーナ・アランプレーゼ氏は、「パルミジャーノ・レッジャーノの生産プロセスが、日本の道場精神や伝統文化と深く共鳴していることに着目し、『パルミジャーノ・レッジャーノ道』というコンセプトを確立いたしました。書家・中塚翠濤氏によるロゴや5つのキーワード『おいしい』『本物』『伝統』『健康』『楽しい』により、本質を日本の皆様に丁寧に伝えていきたい」と語った。

私がかつてパルミジャーノ・レッジャーノの生産地を訪れて感じた日本文化との共通性を、当のイタリア人にも感じていた人がいたということである。

さて、能楽堂でのイベントのあとは厳選されたパルミジャーノ・レッジャーノ(24カ月熟成と36カ月熟成)を、イタリアのフランチャコルタや抹茶のモクテルなどと合わせてのテイスティング。特徴的なじゃりじゃりとした食感は、長期熟成によってタンパク質が分解されてできた、チロシンというアミノ酸が結晶化したもの。このアミノ酸の粒が独特な食感と芳醇な香りを生んでいるのだが、さすがに36カ月モノは、食感・風味・香りともに際立っていた。

話は冒頭に戻る。パニーニを取材した当時、「日本でここのパルミジャーノ・レッジャーノ」を購入することはできないのかを尋ねたところ、かつてある日本の商社が取り扱っていたこともあったようだが、思うように販路をつくることができず撤退したということであった。今回発足した「パルミジャーノ・レッジャーノ道」が日本で認知され、広く浸透することになれば、いまよりももっと気軽にパルミジャーノ・レッジャーノを手に入れることができるようになるだろう。そうすれば、同じパルミジャーノ・レッジャーノでも生産家によっての微妙な味の違いを楽しめるようになるはず。いつか、イタリアでお土産として購入したパルミジャーノ・レッジャーノを日本でも気軽に手に入れられる日が訪れることを楽しみに待ちたい。

すべて表示
  • 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)
  • 西山嘉彦(NISHIYAMA Yoshihiko)
  • 大学卒業後、ドキュメンタリー映像の助監督を経て出版業界へ。某建築雑誌の版元で編集技術をマスターし、クルマ系雑誌編集部のある版元へ移籍。その後、版元を渡り歩きながら興味の赴くままにカメラ雑誌、ガレージ雑誌、グラビア誌のほかにBMWやランボルギーニの専門誌などを立ち上げ、2017年までスーパーカー専門誌の編集長を務める。愛車はBMW E30 M3。日本旅行作家協会会員。近況は、個人ブログ「ART LIFE mag.」にて。
著者一覧 >

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS