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超希少なバンディーニ「サロンチーノ」!クラシックカーを乗り継ぎたどり着いたのはレーシングマシンだった

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一(OKUMURA Junichi)

  • バンディーニ サロンチーノ:大径のタコメーターのほか油圧計、水温計、油温計のみを備えたバンディーニ サロンチーノ。インパネは至ってシンプルな形状になっている
  • バンディーニ サロンチーノ:スケルトンになったエンジンフード。エンジンが丸見えという流麗なフォルムを持つスタイリングのサロンチーノ。ツインチョークのダウンドラフトのウエーバーを備えた1.3L直4DOHCエンジン
  • バンディーニ サロンチーノ:スケルトンになったエンジンルームが丸見えという流麗なフォルムを持つスタイリングのサロンチーノ。ツインチョークのダウンドラフトのウエーバーを備えた1.3L直4DOHCエンジン
  • バンディーニ サロンチーノ:スケルトン部分も含めリアフードは後部のヒンジを支えとして開くエンジンルーム。骨格を含めレーシングカーそのものである
  • バンディーニ サロンチーノ:スケルトン部分も含めリアフードは後部のヒンジを支えとして開くエンジンルーム。骨格を含めレーシングカーそのものである
  • バンディーニ サロンチーノ:動力を伝えるのは、イタリアのギアボックスメーカーであるコロッティ製の5段式ミッションを備えたバンディーニ サロンチーノ
  • バンディーニ サロンチーノ:イラリオ・バンディーニが故郷フォルリに1946年に創立したバンディーニ。そのエンブレムがフロントカウルに装着されている
  • バンディーニ サロンチーノ:フロントのカウルも車両前部にあるヒンジで開閉する。現在の道路事情、使用目的に合わせてラジエータには電動ファンを追加
  • バンディーニ サロンチーノ:ドアの内側からはこのようにパイプワークによりドアスキンが貼られた構造が分かる
  • バンディーニ サロンチーノ:大径のタコメーターはイエーガー製、ドライバーの目線に合わせたステアリング右部へと配置されている。そのほかの計器は油圧計、水温計、油温計のみのバンディーニ サロンチーノ
  • バンディーニ サロンチーノ:大径のタコメーターのほか油圧計、水温計、油温計のみを備えた。バンディーニ サロンチーノのインパネは至ってシンプルな形状となっている
  • バンディーニ サロンチーノ:まさに男の仕事場といった感のコックピット、見てのとおり1度乗ったら降りたくないというくらい乗り降りもタイトだそうだ
  • バンディーニ サロンチーノ:ミッドシップにレイアウトされたエンジン、シフトは長いリンケージを通してコックピットのセンターへと導かれている、助手席には消化器を備えている
  • バンディーニ サロンチーノ:同社初となる流麗なスポーツクーペである1968年製バンディーニ サロンチーノ、トリノ国際自動車ショーにて発表。小さなサルーンという意味を持つネーミングが与えられた
  • クルマ趣味はサーキットからラリー、さまざまなフィールドでヒストリックカーを楽しんでいるバンディーニ サロンチーノのオーナー水嶋さん

さまざまな年代のヒストリックカーを楽しんだベテランオーナー

東京・汐留にあるイタリア街で毎年11月23日にCOPPA DI TOKYO(コッパ・デ・東京)が開催されています。レアなクルマと魅力的なコースレイアウトが設定され、毎年参加枠のキャンセル待ちをする人が出るほどの人気のラリーイベントとなっています。今回は、会場で最も注目を浴びていたバンディーニ「サロンチーノ」を紹介します。

ようやく路上復帰へ! 試運転もかねて参加

戦前車から少数生産の希少車までさまざまな車種が集まり自動車博物館のような様相に、それをひと目見ようと観客も含め、早朝より賑わいを見せたCOPPA DI TOKYO(コッパ・デ・東京)。そうしたなか、会場入りした1台のマシン、ミッドシップにレイアウトされたエンジンがスケルトンになったカバーで覆われている美しいスポーツカーが現れた。“バンディーニ サロンチーノ”が入場すると、観客や他エントラントも一斉に注目する。

低い車体から全身が埋もれるようなバケットシートに身を委ねているのは東京都から参加の水嶋啓一さん。
1950年代から1960年代のスポーツカーを楽しむ水嶋さんが、メンテナンスでお世話になっている工場で保管されていたサロンチーノを手に入れたのは5年前。当時の持ち主が別のバンディーニに集中するということで譲り受けた。

「じつは手に入れてから随分時間が経っているんですよ。入手前からミッションの調子が悪くて、こうしたクルマはパーツも簡単にはいかないですから、なかなか、手をつけてもらえないのはご存知ですよね(苦笑)? 入らなかったギヤの調整が、ようやくなんとかなったということで、今回は試運転を兼ねて参加しました」

このコッパディ東京を含め、小海や京都といったコッパディ・ジャポネシリーズや、GoGoラリーといったヒストリックカーラリーに約40年参加しているという水嶋さん。長年の相棒であった1926年製のオースティン セブンと入れ替えで、これからはサロンチーノで楽しみたいと話す。

これまでのバルケッタボディからクーペに変更した最初のモデル

イタリア・ロマーニャの都市フォルリにイラリオ・バンディーニが1946年に設立したバンディーニ。イラリオ・バンディーニ自らもドライバーとしてステアリングを握りつつ、主に小型エンジンを搭載したスポーツカーやレーシングカーや、自製エンジンも製造した。自国イタリアで開催のミッレミリアのみならず、1955年と1957年にはSCCAのクラスチャンピオンを、イラリオ・バンディーニのドライビングで獲得するなどアメリカでも活躍をみせる。

そして、それまでのバルケッタタイプから独創的なスポーツクーペとして1968年のトリノモーターショーで発表されたのが、サロンチーノなのだ。

時代の流れにも沿ったスポーツクーペの外観を与えられただけでなく、搭載されるエンジンは、イラリオが設計した新開発のシャシーの強度を保つ構造材となっている。それらにあわせ、フロントサスペンションもアップデートされた。

「エンジンルームがスケルトンで見えるクルマなんて、他にありませんし。これまでにない流麗なフォルムはバンディーニ ルマンとサロンチーノと呼ばれています。とくにこのデザインは気に入っていますし、エンジンも軽く吹け上がりパワーも申し分ありません」

この日はコンディションの様子見ということで、会場周辺のみの走行に留まった。クルマの持つポテンシャルには十分な手応えを感じているという水嶋さん。1946年から1992年の活動期間での車両生産数は約75台と言われているバンディーニ。当然のことながらサロンチーノも希少なモデルだ。

「いろいろなタイプのスポーツカーを楽しんできましたが、満足度が高いですね。ひとつ挙げるとしたら、乗り降りは大変です」

そう笑う水嶋さん、シフトの問題が解決し干潮を取り戻したサロンチーノの勇姿を楽しみにしている。

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