一歩一歩ゴールへ向かう競技の奥深さ
ただただ移動の手段としてであればクルマは、自分で運転しないでもいい自動運転車も現れはじめ、ほとんどがAT式である時代となっています。がいっぽうで自分で操作して運転する楽しみがあるのは確かです。それを感じたとき、以心伝心的にクルマを操作するMTシフト車に行き着くのは必然かもしれません。
オーナーなりの個性が愛車に漂うのは当たり前。コンフォートには教習車の面影がほのかにありながら、昭和のマイカーブーム時やタクシーによく見られたレースのシートカバーがあり清涼感を漂わせ、シフトノブには操作への思いやりを包み込むようなカバー。足もとは出しゃばらずフラットに固く収まった感のエンケイホイール、リアビューのステッカーチューンにも「ゆっくり走ろう百恵ちゃん」というやる気を静かにまとめ上げたものが貼られてました。これぞデイラリーのおもてなし仕様かもしれません。
「時間と距離をきっちり測りながらドライバーにアベレージ走行の指示をしているつもりですが、自分のクルマのオドメーターの距離と競技を設定したクルマの距離との差、補正はだいぶあり……。結局、正解をさぐりながら競技は終わってしまいました。でもまずはミスコースなく完走できるようになり、これでようやくスタートに立った感じです。今シーズンはこれからまだまだタイムを極めていかなければならない。こんな厳しさは、マラソンに似ているのかもしれません」
と和也さん。なるほど、ドライバーとコドライバーとのコミュニケーションで状況に応じた操作をクルマに施しながら遠くのゴールを目指す競技のラリーには、マラソンのように完走に向かうなかでの尽きることのないタイム認識があります。

デイラリーはそんなスポーツの根底にある大切な時間そのものを、誰でも参加し味わえるモータースポーツでした。ちなみにエントリーフィーは1台2万円とお手頃で、表彰式では地産の名物ものが景品として振舞われたり、アットホームなシリーズイベントです。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)



































