オートクラフトが新戦力を投入!
長年にわたり東北660ターボGPに参戦している埼玉のプロショップ「オートクラフト」が、2025年の開幕戦からニューマシンを投入。いきなりポールトゥウィンを飾っただけでなく、コースレコード(3クラス:新規格軽自動車)も記録したのは、スズキHA36型「アルトバン」にワークスの部品をフル移植した仕様です。チューナー兼ドライバーである日向繁美によれば、プロジェクトの構想はすでに2024年からあったといいます。
型式共通で載せ替えもスムーズ
HA36カップ用としてNAのベース車両を準備していたところ、偶然、サーキットでクラッシュしたHA36型アルトバンを入手。エンジンやミッションを降ろしてしばらく保管していたが、ふと「これでNA改ターボを作れば面白そう」と思いついた。もともとは同じクルマなので載せ替え自体は比較的簡単で、車検証の型式はどちらもHA36型アルトのため、公認車検を取得する必要もない。
しかし、実際に始めてみると苦労の連続。降ろしたエンジンはワークスに移植するのが前提だったため補機類がいろいろと足りず、それらを集めるのが大変だったと話す。さらに大半のパーツがCAN通信のため、当初はエンジンの始動すら難しかったとか。それらを解決し、シェイクダウンできたのはレース直前。当日の練習走行も、まだまだ手探りという状態だった。
グレードやミッションにより差はあるものの、HA36型アルトのNAとターボでは50kg以上の重量差がある。また、リアのアクスルビームも異なっており、走らせてみるとNAのほうが接地感が高く、それも好タイムの要因だろうとのことだ。
軽量化でサーキット仕様へ変貌
マシンのチューニング内容を紹介しよう。オリジナルのECUは東北660ターボGPの3クラスに的を絞ったセッティングで、インジェクターなど燃料系はノーマルのブーストアップ仕様とあって費用対効果も高い。サスペンションはオリジナルだが、フロントがワークス用でリアはNA用のアクスルビームに合わせた暫定バージョン。今後はスポーツランドSUGOをはじめ、ほかのコースでもセッティングを煮詰めていく予定だ。
従来の参戦マシンと大きく変わったのは軽量化。以前はストリートユーザーを意識して軽量化を避けていたが、今回はサーキット仕様と割り切って内装を取り外している。とはいえ、問題なくナンバーを取得できるレベルであり、ようやくライバルたちに追いついたといったところだ。
目指すは完全優勝&2クラス挑戦
当面の目標は、残る東北660ターボGPの2戦、エビスサーキット西コースとスポーツランドSUGOを制しての完全優勝。そして次はタービン交換で2クラスへのステップアップも狙う。オートクラフトではかねてよりR06A用のビッグタービンを開発しており、ブーストアップ以上のパワーを求めるユーザーから大いに期待されている。

なお、同じ仕様を作るなら、ターボのエンジンやミッションだけでなくクルマが丸ごと1台あれば、CAN通信による問題はほぼ起こらないはず。タイミングよくワークスの事故車を手に入れられる可能性は低いかもしれないが、いま乗っているワークスの走行距離が増えて“ハコ替え”するシチュエーションなら、ボディのヘタリが少なく中古車の価格も安いNAを買って移植するのもアリだろう。
次の東北660ターボGPは少し間が空いて2025年11月23日、そして最終戦は同年12月7日と、いずれも涼しいシーズン。優勝はもちろん、3クラス&新規格でのコースレコード更新にも期待したい。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)















































