大型ディーラーから転用した最高の設備と熟練の旧車メカニックたち
レストアガレージの要である整備工場は、3台分の二柱リフトを備えるほか、平置きで作業できるスペースも10台分ほど確保されている。また、工具や設備も最新のものから使い込まれた貴重なものまで充実している。元が新車ディーラーだったことから、美しく快適なショールームも併設。現在は顧客から預かった国内外のクラシックカーたちを展示し、山形周辺のクラシックカー愛好家にとっても、憩いの場として認知され始めている。
さらに「CRGカスタマイズファクトリー」では、トヨタ旧車だけでなく、ベテラン整備士たちが長年向き合ってきた英国車やドイツ車などの社外ブランドや、近年注目されている「ヤングタイマー・クラシック」の整備も積極的に展開していくという。
どのジャンルに属する旧車であっても、修理用パーツはすでに一般流通していないケースが多い。専門店やオークションを通じて部品を探すほか、場合によっては顧客に部品取り用車両の用意を依頼することもあるという。それでも入手困難な場合は、部品の自作を検討し、ベテランの力を結集して顧客の要望に応えていくそうだ。
分解整備の経験が乏しい若手整備士にとって、旧車は未知の領域。ベテラン世代への期待が大きい一方で、CRGの工房を率いる阿部義春GMは
「若い整備士に技術を伝えたい」
と想いを語る。
山形トヨタ自動車の鈴木吉徳社長も「整備士不足で整備技術の継承が危ぶまれるなか、旧車の点検整備やレストアの専門店を出す意義はある。クルマを大切にする人にとって役立つ店にしたい。同時に、CRGカスタマイズファクトリーを愛好者が集い、旧車文化を育む場所にすることも目指す」と夢を語っていた。
しかも第1回「ジーロ・ディ山形」では、同社からフォルクスワーゲン「カルマン・ギア・カブリオレ」とオースティン「ヒーレー スプライト Mk-I」の2台体制で、スタッフたちが正式にエントリー。自らラリーに参加し、これまで接点のなかったエンスージアストたちとの親交を深めようという真摯な姿勢を見せた。
このような取り組みを目の当たりにするにつれ、今後CRGカスタマイズファクトリーが東北地方のクラシックカー文化における中核、すなわち“ハブ”のような存在になっていく可能性が確かに感じられた。
今後はレストアを手がけた車両の販売や、ショールームを活用した自社イベントの開催など、さまざまなプロジェクトが企画されているという。さらなる発展に期待したい。














































