フィアット500たちの熱い戦い、幸田サーキットで再び
小型イタリア車による本気のレースは、観る者を魅了する白熱のバトルばかりです。このようなレースで小排気量車は、パワーを最大限に引き出すことが重要になります。今回は、幸田サーキットyrp桐山を舞台に開催された「幸田ピッコロレース2025」にエントリーした、ジャンニーニ仕様のフィアット「500」を駆る“bianco武内さん”の情熱にフォーカスしました。
全国から参加者が集まるように画策中
愛知県にある幸田サーキットyrp桐山を舞台に、2025年4月20日に「幸田ピッコロレース2025」が開催された。おなじみのフィアット ヌォーヴァ 500をはじめ、小型のイタリア車たちが繰り広げる白熱のレースは、観ている側もつい熱くなるほどの迫力であった。
併催された「幸田レンタルカートスプリントレース2025」とあわせて、いずれも本気でありながらもクリーンでフェアなレースばかり。入場・観覧・駐車すべて無料という開かれたイベントで、会場2階の「Café de KOTA 7(nAnA)」からコース全体を見渡せるのも魅力のひとつである。
2025年は福岡、和歌山、兵庫、大阪、京都、奈良、岐阜、三重、愛知と、西日本の各地から“走りたいオーナーたち”が参加。今後は東日本からの参戦も期待されており、創設者は全国展開を視野に入れているようだ。
九州から走ってきたジャンニーニ仕様
そんなピッコロレースに福岡から愛車を持ち込んだのが、bianco武内さん(取材時46歳)である。彼が運転したのは1972年式のフィアット 500 Fタイプ。イタリアの名チューナーブランド、ジャンニーニ仕様に仕上げられた1台である。
「ジャンニーニ仕様ですが、自称ホンモノ。足まわりにはオートマイスター・オリジナルの前後スプリングを装着。エンジンは650ccで軽量ビックバルブとハイカムをセットしています。トランスミッションは126用のシンクロ付きに換装していて、そこに500用ノーマルキャブレターを組み合わせているのがこだわりのポイントです」
武内さんによれば、この仕様のクルマは6年前に入手したとのこと。しかし、フィアット 500との付き合いはもっと長く、初めて購入したのは26年前だという。
「ジャンニーニ仕様は見た目が気に入って手に入れました。さすがに真夏や雨の日には乗りませんが、それ以外は気分次第で走らせています。幸田ピッコロレースのようなイベントにも積極的に参加していますよ。いちばん思い出深いのはやはり、このレースですね。今年も最高に楽しかったです。もちろん、また出たいです」
「苦労はない」の理由は専門ショップオーナーだった!
「これだけ手を入れていて、維持するのは大変なのでは?」
と著者が訊ねると、意外な答えが返ってきた。
「じつは、とくに苦労したことはありません。近所のコンビニへの買い物から、愛知への遠征まで、なんでもこなせるんです。それがこのクルマの楽しさですね」
えっ、そんなことが? と驚いて話を掘り下げると、武内さんは“bianco”というクラシックフィアット専門店の代表を務めている人物であった。
「じつはこのジャンニーニ仕様、もともとは買取車両でした。ボディ以外はほぼ手が入っていて、納車前のテストも兼ねてレースに持ち込みました。すでに売却済みですが、新しいオーナーにもたくさん走らせてもらえたら嬉しいですね」
幸田ピッコロレースへの出場は今回が2回目。フィアット 500が主役のレースは希少であり、
「また絶対に出たい」
と語ってくれた。
なお、武内さんは2023年に2006年式のルノー カングー(5速MT仕様)を所有していて、「楽しく運転できて、人も荷物も積めるクルマ」として重宝している。クラシックカーショップのオーナーという立場もあり、今後も“運ぶ足”として活用していく予定だという。
「出会いとタイミングが合えば増車も考えますが、しばらくはカングーが活躍しそうです」






















































