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“六本木のカローラ”がきっかけで出会った赤坂サニーに乗る謎の美女【ぼくたちのバブル考現学:第5話】

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TEXT: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)  PHOTO: 青山尚暉(AOYAMA Naoki)/BMW/ Mercedes-Benz AG

ボクのBMWと謎の190Eの美女

すでに自動車業界にいたボクとしては、6気筒エンジンにこだわってE30 BMW 325iに乗っていたわけだが、ガチライバルでもある190Eが気にならないはずがない。正規輸入が開始されたばかりの190Eにも乗ってみたいもんだ……と思っていた矢先、BMW 3シリーズとメルセデス・ベンツ190Eにまつわる、バブル期のとんでもない経験をすることになったのである。

ある日の夜、友人と待ち合わせのため、青山通りに面したブラッセリーの前に我がBMWを止めていたら、すぐ前に漆黒の190Eが止まっていた。どんな奴が乗ってるんだろーと、漆黒の190Eのまわりをウロウロしていたら、ブラッセリーから妙齢の美女が190Eに向かって歩いてきた。当然、ボクが190Eを食い入るように見ていたから、声をかけられた。

「なぁに」

黒の190Eに10歳は年上の黒づくめの美女の組み合わせである。とっさに、返答(するしかない)。

「いやぁ、黒の190E、カッコいいですよね、見とれてました」

 

クルマ談義で男女が意気投合するバブル的展開

すると彼女から意外な反応が。まだ、BMW 3シリーズがボクのクルマだとは知らない彼女は

「私、じつはこのベンツ、あまり好きじゃないの。ほら、すぐ後ろに止まっているBMWのほうが好みなの」

ときた(BMWのことをベーンベーと言っていたような)。これは知り合ういいチャンス(通称、ナンパ!?)とばかりに

「それ、ボクのBMWなんだ」

と返答(事実です)。

すると彼女から

「ブラッセリーに戻ってお茶しない?」

と誘われ、クルマ話で意気投合。

ここからがウソのような本当の話なのだが、数日間、会ったばかりの見ず知らずの女性とクルマを交換することになったのである。ボクも190Eに乗りたかったし、彼女も3シリーズに乗りたかったからだ。

盗難!? の不安を乗り越えて

しかし、今考えれば、携帯電話もない時代に、恐ろしいことをしたものだ。彼女が女詐欺師、190Eが盗難車で、ボクの3シリーズが盗まれたかもしれない……。でもね、約束の夜に無事、青山のブラッセリーで再会。お互いのクルマを誉めあってお別れしたのだった(その後、何度かお会いして、ドライブしましたけど)。

1980年代後半から1990年代初頭、バブルの波にかろうじて乗れた、ある意味、クルマの楽しみ方も多様な、そして平和な、輸入車がまだ「ガイシャ」と呼ばれていたいい時代だったと、今でも振り返るのだ。あぁ、懐かしい……。そんな無謀とも言えるクルマの交換、“遊び方”も、やがて泡と消えることになるバブルのなせる業だったのだろうか。

ちなみにその女性、どんな人、どんな職業の人だったか、のちに知ることになり、驚いたのだけど……言えないです。

連載「ぼくたちのバブル考現学」をまとめて読む

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  • 青山尚暉(AOYAMA Naoki)
  • 青山尚暉(AOYAMA Naoki)
  • 学生時代からプロミュージシャンとして活動し、ある日突然自動車専門誌、輸入車専門誌の編集者に転身。その後、モータージャーナリストに。新車試乗記やクルマコラムの執筆だけでなく、1台のクルマに対して20カ所以上を独自開発ツールで計測する車両パッケージ解説にもこだわりまくる性分。また、ドッグライフプロデューサーとしても活動し、愛犬とのドライブ術、ペットと泊まれる宿について情報発信。Web、専門誌、一般誌、ラジオ、TV、インターペット、キャンピングカーショーなどで「愛犬との快適安心な旅スタイル」を提言。小学館@DIME、PETomorrowなどでは愛犬とのライフスタイル、ドッグフレンドリーカー記事を展開中。カートップの連載「CT DOG」をまとめた『愛犬と乗るクルマ』はドッグフレンドリーカー選び、愛犬とのドライブ旅行のバイブルとなるムック本。著書に「ぼくたちの外車獲得宣言」「ムリしないで外車が買える本」「すごい海外旅行術」など。輸入車の純正ペットアクセサリーの企画、開発、デザインにも携わっている。趣味はスニーカー、バッグ、帽子の蒐集。今も音楽をいい音で聴くことにこだわり、愛車のサウンドシステムは総出力400W 10チャンネル9スピーカーで構成されるデンマークの「DYNAUDIO」。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(1994年~)。
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