F50新車価格の27.2倍で落札!元オーナーはラルフ・ローレン氏
30年の時を経て、フェラーリ「F50」の価値が驚異的な高騰を見せています。生産台数わずか349台のこのモデルは、F1由来のカーボンモノコックとV12自然吸気エンジンを備え、今なお圧倒的な運動性能を誇ります。そんなF50の希少性と技術的背景に加え、世界的ファッションデザイナー、ラルフ・ローレン氏が所有していた1台が2025年8月15日〜16日に開催されたRMサザビーズのモントレー・オークションに登場。F50の歴代最高落札価格を更新しました。
フェラーリ創立50周年を記念したスペチアーレ
1984年に発表された「288GTO」に始まる、フェラーリの「スペチアーレ」が持つコレクターズアイテムとしての価値は圧倒的だ。ちなみに、その最新モデルは2025年から2027年にかけて799台のみが生産される「F80」である。最後の1台はフェラーリの創業80周年にあたる2027年にデリバリーされる予定だ。参考までに、その価格は約350万ユーロ(発表時のレートで約5億6350万円)だが、既にソールドアウトの状態にある。
これまでフェラーリが生み出してきたスペチアーレのなかでも、ここ最近コレクターからとくに注目を集めているのが、1995年に発表され1997年にかけて349台が生産されたF50だ。最後の1台を創業50周年の1997年にラインオフするというプランは、前述のF80と共通している。
このF50が歴代スペチアーレのなかで大きな人気を集めている理由は、生産台数の少なさに加え、その先進的なエンジニアリングにあった。F50の前身である創立40周年記念モデルの「F40」は、フェラーリ伝統の鋼管スペースフレームを継承し、ミッドに最高出力478psを誇る2.9LのV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。先進的な軽量素材を積極的に導入し、1100kgというドライウエイトを実現した、きわめてスパルタンなモデルだった。
F1マシンに由来する技術をロードカーに惜しみなく投入
F50の開発時にフェラーリが強く意識したのは、当時のF1マシンに採用されていたエンジニアリングを惜しみなく導入することだった。それは、フェラーリが創業時に生産していたコンペティツィオーネ(レースカー)とストラダーレ(ロードカー)の両方のキャラクターを究極的に両立させることにあった。
F1マシンに由来するカーボンモノコックを基本構造体として採用し、そこに4.7LのV型12気筒自然吸気エンジンを剛結(リジッドマウント)した。エンジンそのものにも走行中のストレスを負担させる構造を採るなど、その設計はまさにF1マシンそのものだ。前後のサスペンションもプッシュロッド方式と、これもまたF1譲りの技術だった。
F50が実現した運動性能は、現代においても驚異的だ。0→96km/h加速3.6秒、最高速325km/hといった数字がそれを物語っている。
フェラーリはこのF50の生産台数を349台に限定した。これは、市場が望むよりも1台少ない数を生産すべきだという、創業者エンツォ・フェラーリの哲学に基づくものだった。しかし、現実にはF50の購入を求めるカスタマーは350人をはるかに超えていた。










































































































































































































