1991年式964型911をベースとしたレストア内容
今回RMサザビーズがアブダビ・オークションに出品したモデルは、北米市場向けに生産された1991年式の964型911をベースに、2016年春にシンガーへレストアと改造が依頼された個体である。
通常、シンガーのレストア作業は、粘土によるホイールアーチのハンドスカルプティングに始まり、カーボンファイバー製ボディパネルの装着、リアの空冷水平対向6気筒エンジンを始めとするメカニカルなパートの修復、そしてエクステリアとインテリアのフィニッシュへと進む。このモデルもその例に漏れず、2016年末までに約4000時間を要するプロセスを経て完成されている。
オーナーによって選択されたボディカラーは、鮮やかでありながらクラシックな雰囲気も感じさせる「デリケートブルー」。インテリアはおもにサドルサンド・レザーが張り込まれ、フロントのレカロ製カーボンファイバーのバケットシートのバックレストとインサートは、やはりサドルサンド・レザーとスウェードを使用して仕上げられている。
キルティング加工されたレザーで覆われたエンジンベイに搭載されるパワーユニットは、シンガーがスタンダードで提供するコスワース製の3.6L水平対向6気筒(270ps)ではなく、F1のウィリアムズチームの関連会社がチューニングしたオプションの4L水平対向6気筒(390ps)だ。組み合わされるギヤボックスもゲトラグ製の6速MTにグレードアップされ、さらにLSDも装備される。サスペンションはオーリンズ製のアジャスタブル・スポーツサスペンション、ブレーキシステムはカーボンセラミックディスクを備える大型のブレンボ製へと強化されている。
シンガーの仕事の丁寧さを見てもわかるように、今後も多くの生産台数が期待できないポルシェ 911 リイマジンド バイ シンガー。アブダビ・オークションでもこのモデルに対しての注目度は非常に高く、RMサザビーズは事前に100万ドル〜120万ドル(邦貨換算約1億5500万円〜1億8600万円)の予想落札価格を提示。実際の落札価格も107万3750ドル(邦貨換算約1億6643万円)と見事に主催者側が提示した価格のレンジ内に収まってみせた。
ポルシェの964型911というプロダクトを完璧なまでに尊重し、そこにさらなる新しい価値を生み出すシンガー・ヴィークル・デザイン。今回のオークション結果は、彼らの企業哲学がポルシェ・ファナティックに正しく評価された結果ともいえるだろう。
※為替レートは1ポンド=212円(2026年2月3日時点)で換算

















































































