M社初のDOHC傑作エンジン「M88」搭載!
ほぼワンオーナーで14万km走破の極上個体
M1はBMW M GmbH初の量産(と呼べるかはさておき)モデルとして誕生したもので、前述したような数奇な運命をたどって世に出てきた。搭載されるエンジンは「M88」のコードネームを持つ、直列6気筒3.5L DOHC。量産車のエンジンとしてはDOHCのバルブトレーンを持つのは、BMWにとってこれが初のものだった。
ブロックは鋳鉄製、ヘッドはアルミ製である。クーゲルフィッシャー製のメカニカル燃料噴射を採用し、277hpの最高出力を得ていた。プロカーに採用されたエンジンは「M88/1」と名付けられ、470hpを絞り出していた。
ボナムズ オークションに出品されたのは、シャシーナンバー「WBS00000094301097」の1981年式M1である。年式からしてほぼ最終モデルに近いと思われるが、新車でベルリン在住のオーナーにデリバリーされて以来、比較的最近までファーストオーナーのもとにあった個体である。しかも、常にベルリンのBMWディーラーでメンテナンスを受けていたという。
1996年までの走行距離は10万5000km。オークションのカタログ制作時は14万1000kmであった。1996年以前の整備記録簿によれば、19回ものスタンプが押されていた。
直列6気筒ミドシップはスーパーカーにあらず!?予想落札最低価格の約8190万円に届かず流札…
2017年にはクラッチを新品に交換し、オイルとブレーキフルードを交換、さらに新しいピレリタイヤ(フロントP7、リアPZero Asimmetrico)が装着された。M1の弱点といわれたセンタートンネルの冷却パイプは、今回の出品者によってBMWの純正品に交換されており、その周囲は徹底的に清掃され、シーリングされている。
外装色はインカオレンジ、インテリアはブラックで、当時物のクラリオン製のサウンドシステムが備わり、シートはブラックレザーで縁どられたレカロ製が装着されている。もちろんオリジナルのサービスブックやオーナーズマニュアル、ドイツの登録書類なども付属する。
エスティメート価格は45万〜50万ユーロ(邦貨換算約8190万円〜約9100万円)に設定されていた。だが、迎えた競売ではビッド(入札)が伸びず、残念ながら最低落札価格に届かず流札という結果に終わった。
レース規定の変更に泣かされ、本来の目的を果たせなかったBMW「M1」だが、今や約8190万円もの評価を受ける伝説のスーパーカーとなった。そう考えると、2026年のF1開幕戦で新レギュレーションに大苦戦したホンダをはじめとするマシンたちも、決して悲観することはない。40年後には、パリのオークション会場でとんでもない高値がつけられているかもしれないのだから。
※為替レートは1ユーロ=182円(2026年3月9日時点)で換算











































































