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350GTと400GTの狭間で生まれた超稀少車ランボルギーニ「400GT インテリム」の価値を問う!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2026 Courtesy of Broad Arrow  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

初期のランボルギーニをレストアできる世界的名匠ロレンツィーニが徹底的フルレストアを施す!

歴代ランボルギーニ生産車の登録履歴を記録する「インテルナッツィオナーレ ランボルギーニ レジストリ」によれば、今回出品された400GT インテリムは1966年6月20日に新車販売された個体だという。北米ロードアイランド州プロビデンスの「ランボルギーニ イースト」社を介して販売された。

同レジストリでは、1966年秋に400GT系の生産がカロッツェリア マラッツィに移管される前に、カロッツェリア トゥーリングが完成させた最終期の車両のひとつであるとも記録している。工場からラインオフした当初のボディカラーは「グリージォ サン ヴィンチェンツォ メタリック」と命名されたグレーメタリック。インテリアは「タバコ」色の本革レザーで設えられていた。

くわえて特筆すべきは、3929ccのV12エンジンと自社設計のトランスミッションを搭載しながらも、旧式な英国のソールズベリー製ディファレンシャルを継承していること。さらに米国市場向けとして当初製造された400GTが丸型4灯ヘッドライトを採用していたのに対し、この個体では350GTのオリジナルを継承した、大型一体型のオーバルスタイルヘッドライトを保持しているのも特徴的だ。

さらに驚くべきは、400GTでは2+2の後部座席を作るためにルーフが高くなり、ボディがスチール製に変更されたが、このインテリムではまだ「スーパーレッジェーラ(超軽量)」工法によるアルミニウムボディを維持している個体が多く、最も純粋でパワフルな初期ランボルギーニと言われている。

アメリカに輸出され、1987年までイリノイ州内で生息したあと、デイビッド F ポーターが入手。彼のもとで2年間を過ごしたのち、1989年5月にフランス・パリ在住の愛好家に譲渡された。そして2000年代後半には、ポルトガルに本拠を置く「ロレンツィーニ オートスポーツ」のスペシャリストたちとともに、徹底的なフルレストアが開始される。

綿密な写真記録を残しつつ進められていたレストア作業中に、現オーナーがこの個体の販売情報を発見。詳細な点検を経て購入を決断したあとにも修復は継続された。ボディは完全に剥離されてブラックへと再塗装され、内装はベージュの新品レザーでリニューアル。エンジンのフルオーバーホールも実施された。ほぼ完成間近だったこの修復作業は、名匠ルイ ロレンツィーニ(世界的に著名なフェラーリやランボルギーニのレストアラー。特にインテリムに関しては突出した腕を持っていた)が2012年5月に急逝したことにより、結果として彼の最後の傑作となったのである。

レストア完了ののち米国に戻ったこのインテリムは、数々のコンクールやツアーに参加してきた。直近では2022年の「グリニッジ コンクール デレガンス」に出展され賞を受賞。2025年の「オードレイン ニューポート コンクール デレガンス」では3位入賞を果たしている。

超軽量アルミボディにして320馬力のハイパワー、さらにロレンツィーニのレストア付きの価値は!?

ブロードアロー オークションズ社は今回の出品に際し、公式カタログ内で

「フェルッチオ ランボルギーニの初期ヴィジョンをもっとも刺激的かつ収集価値の高いかたちで具現化したモデル」

とPRしつつ、50万〜60万ドル(邦貨換算約8000万〜9600万円)という強気のエスティメート(推定落札価格)を設定した。昨今の「400GT 2+2」の相場価格よりも明らかに高価な設定である。

ところが、2026年3月7日に行われた競売では思いのほかビッド(入札)が伸びず、現オーナーが出品者として設定したリザーブ(最低落札価格)に届くことなく、流札に終わってしまった。

ただ、今回はたまたま落札には至らなかったものの、1億円に近い今回のエスティメートが決して無謀なものではなかったことは、ここ数年の市場の傾向から見ても十分にご理解いただけるだろう。しかも350GTから400GTに移行する過渡期のごく稀少なインテリムというだけでなく、ランボルギーニの公認レストア部門である「ポロストリコ」ができる以前から職人技で遺産を守り続けてきたルイ ロレンツィーニ最後のレストア車両というダブルでの希少価値車両なのだから。

※為替レートは1ドル=160円(2026年4月3日時点)で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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