DIYで軽量化したS660で軽自動車レースで優勝する若手ホープ登場!
東北660ターボGPは、軽自動車ターボ車による福島県と宮城県の4コースで開催されているローカルレースシリーズです。その東北660ターボGPの2025年シーズンで2クラス(100馬力以下のタービン交換クラス)を制したのが、オートリサーチ米沢所属の若手ドライバー・阿部優翔選手です。重量で不利なS660を駆り、DIYによる徹底軽量化と巧みなレース運びで軽量カプチーノとのバトルを制し、わずか1ポイント差で逃げ切った若手ドライバーの激闘をレポートします。
YouTubeで軽自動車レースに出会い、免許取得後すぐにS660でサーキットデビュー
若いドライバーが多く参加する東北660シリーズ。昨シーズンの東北660ターボGPにおいて2クラスを制した24歳の阿部優翔もそのひとりだ。高校のときにYouTubeで東北660の動画を見たことがきっかけでハマり、運転免許を取得してすぐにS660を購入し、サーキットを走り始めた。
東北660ターボGPは2021年に純正タービン限定の3クラスからスタートした。阿部は2023年に初優勝を遂げ、翌2024年にはシリーズチャンピオンを獲得した。そして2025年には、タービン交換が認められる2クラスへ順調にステップアップした。
HKSタービン換装、1gを削るDIY軽量化とファイナルギヤ変更でライバルに挑む
選んだタービンはHKSのGT100Rで、パワーは2クラス上限の100psだ。同クラスで最大のライバルは、3クラスでもバトルを繰り広げた松山雄大の愛機EA11Rカプチーノだ。公式レースの経験も豊富な強敵である。パワーこそ拮抗しているが、明らかに異なるのはボディの軽さだ。カプチーノは旧規格ということもあり、カタログ値で比較するとS660の850kgに対してカプチーノはわずか700kgと、圧倒的な差がある。
そこで阿部はDIYによる徹底的な軽量化にチャレンジした。ボンネットやエンジンフードはすでにFRP化済みで、エアコンやオーディオといった快適装備も潔く取り払っている。残すは「塵も積もれば山となる」で、ボディ各部を1g単位で削るのみだ。

しかし東北660シリーズでは、安全性に悪影響を及ぼす軽量化は一切NGだ。フロントドアの変更やアクリルガラスの使用などはすべて認められていない。できることは、ステーにホールソーで穴を開けたり、使わないハーネスを間引いたりといった細かな作業だけだ。そこまで削っても車重はカプチーノに届かず、最終的に6.3のファイナルギヤまで投入した。純正ギヤ比の4.875から大幅なローギヤード化となり、コーナー脱出や上り勾配で特に効果を発揮した。
1年を通したシーズンをわずか1ポイント差でタイトル獲得!
それでは2025年シーズンの戦いを振り返ろう。開幕戦は松山がまだ純正タービン仕様だったこともあり、阿部がポール・トゥ・ウィンで幸先よい滑り出しを飾った。第2戦では大幅にパワーアップした松山を相手に、予選でポールポジションを獲得するも、決勝で逆転を許し2位でフィニッシュした。第3戦も同様の展開となった。決勝結果だけを見れば、阿部が1勝なのに対し松山は2勝を挙げている。
シリーズランキングの行方を左右したのは、ボーナスポイントが付与されるポールポジションとファステストラップだ。ポールポジションの2Pはすべて阿部が獲得し合計6P、ファステストラップの1Pはすべて松山が獲得し合計3Pとなる。決勝順位のポイントだけでは阿部が32P、松山が34Pとなるが、ボーナスを加算すれば阿部がわずか1ポイント上まわる計算だ。これほどの僅差でシリーズチャンピオンが決まったのは、16年目を迎える東北660シリーズでも初のケースだろう。
ちなみに阿部の活躍は東北660ターボGPだけにとどまらない。プロショップ「オートリサーチ米沢」のドライバーとして東北660選手権、HA36カップ、耐久レースにも参戦し、いずれもシリーズチャンピオンなどの実績を残した。また今年はタイムアタックイベント「attack筑波」にも出場し、自己ベストには届かなかったが1分7秒463をマークした。チューニングに多額の資金を投入せずとも、DIYで知恵を絞り、ドライビングの分析も突き詰める。阿部と初めての愛車S660のレーシングヒストリーは、まだ序章にすぎない。















































