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キッカケは高校時代に観たYouTube!? 免許取得後すぐにホンダ「S660」を買ってレースに出た若手ドライバーがチャンピオンを獲得するまで

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: Photo&report/東北660シリーズ大会事務局  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • ホンダ S660:2025年の東北660ターボGP、2クラスは阿部と松山のバトル。1ポイント差のシリーズチャンピオンが戦いの熾烈さを物語っている
  • ホンダ S660:ヒューズボックスのステーまで軽量化している。ここまで突き詰めるのも松山とカプチーノという好敵手の存在があってこそだろう
  • ホンダ S660:ボンネットフードはなんと自作。軽さと強度は十分に確保しており、エアインテークの形状にもこだわった
  • ホンダ S660:ボンネットなどの主要な軽量パーツはすでに装着済み。2クラスでカプチーノと戦うには微に入り細を穿つような軽量化が必須となる
  • ホンダ S660:内装の不要な部分をカットすると同時に、ハーネス類も限界まで間引いて軽量化している。エアコンはおろかオーディオも取り外した
  • ホンダ S660:不要なステーをすべて外すだけでなく、余分なコーキング剤まで削ぎ落とす。軽さへのこだわりは東北660シリーズでもダントツだ
  • ホンダ S660:フェンダーもご覧のとおり。ほとんどの軽量化は根気さえあれば自分でできるため、費用対効果に優れたチューニングといえるだろう
  • ホンダ S660:カプチーノとの戦力差を埋めるために投入したのがファイナルギヤ。勾配の激しい東北のサーキットで、強力な武器となった
  • ホンダ S660:バンパーの安全性や強度に影響がない部分は穴開け加工。ひとつ当たり数gの軽量化にしかならないが、積み重ねこそ大切というわけだ
  • ホンダ S660:東北660ではターボGP以外のカテゴリーにも積極的に参戦し、経験値を高めている阿部。今年の活躍にも期待したい!

DIYで軽量化したS660で軽自動車レースで優勝する若手ホープ登場!

東北660ターボGPは、軽自動車ターボ車による福島県と宮城県の4コースで開催されているローカルレースシリーズです。その東北660ターボGPの2025年シーズンで2クラス(100馬力以下のタービン交換クラス)を制したのが、オートリサーチ米沢所属の若手ドライバー・阿部優翔選手です。重量で不利なS660を駆り、DIYによる徹底軽量化と巧みなレース運びで軽量カプチーノとのバトルを制し、わずか1ポイント差で逃げ切った若手ドライバーの激闘をレポートします。

YouTubeで軽自動車レースに出会い、免許取得後すぐにS660でサーキットデビュー

若いドライバーが多く参加する東北660シリーズ。昨シーズンの東北660ターボGPにおいて2クラスを制した24歳の阿部優翔もそのひとりだ。高校のときにYouTubeで東北660の動画を見たことがきっかけでハマり、運転免許を取得してすぐにS660を購入し、サーキットを走り始めた。

東北660ターボGPは2021年に純正タービン限定の3クラスからスタートした。阿部は2023年に初優勝を遂げ、翌2024年にはシリーズチャンピオンを獲得した。そして2025年には、タービン交換が認められる2クラスへ順調にステップアップした。

HKSタービン換装、1gを削るDIY軽量化とファイナルギヤ変更でライバルに挑む

選んだタービンはHKSのGT100Rで、パワーは2クラス上限の100psだ。同クラスで最大のライバルは、3クラスでもバトルを繰り広げた松山雄大の愛機EA11Rカプチーノだ。公式レースの経験も豊富な強敵である。パワーこそ拮抗しているが、明らかに異なるのはボディの軽さだ。カプチーノは旧規格ということもあり、カタログ値で比較するとS660の850kgに対してカプチーノはわずか700kgと、圧倒的な差がある。

そこで阿部はDIYによる徹底的な軽量化にチャレンジした。ボンネットやエンジンフードはすでにFRP化済みで、エアコンやオーディオといった快適装備も潔く取り払っている。残すは「塵も積もれば山となる」で、ボディ各部を1g単位で削るのみだ。

しかし東北660シリーズでは、安全性に悪影響を及ぼす軽量化は一切NGだ。フロントドアの変更やアクリルガラスの使用などはすべて認められていない。できることは、ステーにホールソーで穴を開けたり、使わないハーネスを間引いたりといった細かな作業だけだ。そこまで削っても車重はカプチーノに届かず、最終的に6.3のファイナルギヤまで投入した。純正ギヤ比の4.875から大幅なローギヤード化となり、コーナー脱出や上り勾配で特に効果を発揮した。

1年を通したシーズンをわずか1ポイント差でタイトル獲得!

それでは2025年シーズンの戦いを振り返ろう。開幕戦は松山がまだ純正タービン仕様だったこともあり、阿部がポール・トゥ・ウィンで幸先よい滑り出しを飾った。第2戦では大幅にパワーアップした松山を相手に、予選でポールポジションを獲得するも、決勝で逆転を許し2位でフィニッシュした。第3戦も同様の展開となった。決勝結果だけを見れば、阿部が1勝なのに対し松山は2勝を挙げている。

シリーズランキングの行方を左右したのは、ボーナスポイントが付与されるポールポジションとファステストラップだ。ポールポジションの2Pはすべて阿部が獲得し合計6P、ファステストラップの1Pはすべて松山が獲得し合計3Pとなる。決勝順位のポイントだけでは阿部が32P、松山が34Pとなるが、ボーナスを加算すれば阿部がわずか1ポイント上まわる計算だ。これほどの僅差でシリーズチャンピオンが決まったのは、16年目を迎える東北660シリーズでも初のケースだろう。

ちなみに阿部の活躍は東北660ターボGPだけにとどまらない。プロショップ「オートリサーチ米沢」のドライバーとして東北660選手権、HA36カップ、耐久レースにも参戦し、いずれもシリーズチャンピオンなどの実績を残した。また今年はタイムアタックイベント「attack筑波」にも出場し、自己ベストには届かなかったが1分7秒463をマークした。チューニングに多額の資金を投入せずとも、DIYで知恵を絞り、ドライビングの分析も突き詰める。阿部と初めての愛車S660のレーシングヒストリーは、まだ序章にすぎない。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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