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家族の歴史をともに刻む! 40年間もフィアット「128」に乗り続けるオーナーの深い愛情

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)

40年にわたり家族の歴史をともにしてきたフィアットの小さな名車に胸を打たれる

東京・芝公園で開かれた「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」で、いまや街でほとんど見かけなくなった3ボックスセダンに出会った。1970年式のフィアット「128」だ。40年近く所有するオーナーは、子供の誕生も息子の引っ越しもこの車とともに過ごしてきたという。乗り換えを考えたこともある。それでも手放さない理由を取材した。

街で見なくなった3ボックスセダン、その正体はイタリアの大衆車フィアット「128」

会場内でセダンのお手本のような端正なスタイルを見せていたのが、古いフィアットだった。オーナーである竹田さんに話を伺うと、このクルマは1970年式のフィアット 128だという。手に入れたのは今から約40年も前のことだ。当時はまだ10数年落ちの中古車であり、以来、普通のファミリーカーとして日々の生活で大活躍してきたのである。

「子供が生まれたときもこのクルマ、息子の引っ越しもこのクルマで、我が家の歴史はずっとこのクルマと一緒です」

愛車を見つめながら当時を振り返る竹田さん。もちろん、これだけ長い年月を過ごせば乗り換えを考えた時期もあるそうだ。それでも彼が128を手放さなかったのには、明確な理由がある。

「結局、128よりもいいクルマって他に見つからないんですよね」

その言葉には、スペックや新しさだけでは測れない、長年連れ添った相棒への絶対的な信頼があふれていた。

フィアット「128」は1969年登場、横置きFFを世界に広めた名車だった

フィアット 128は、1969年に登場した小型乗用車だ。フィアットの主任設計者であるダンテ・ジアコーザが車体の設計を指揮し、エンジンの開発は名匠アウレリオ・ランプレディが担当している。

四輪独立懸架サスペンション(4つの車輪がそれぞれ独立して路面をとらえる構造)を備えたモノコックボディに、直列4気筒エンジンを横置きしたFF(前輪駆動)レイアウトを採用した。ホイールベースは2445mm、セダンの全長は3850mmと4mに満たないコンパクトなサイズながら、驚くほど高い居住性と積載能力を誇っている。

特筆すべきは、エンジンとトランスミッションを直列に横置き配置するレイアウトだ。左右で長さの異なる不等長ドライブシャフトを用いたこの前輪駆動方式は、エンジンとギアボックスを横並びに配置することを可能にした。現在、世界中の自動車メーカーがコンパクトカーで採用しているFFレイアウトの原点であり、設計者の名をとって「ジアコーザ式」と呼ばれている。その革新的なパッケージングは高く評価され、1970年には権威ある欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。

ボディタイプは2ドアセダン、4ドアセダン、そしてステーションワゴンがラインアップされている。当初は排気量1116ccのエンジンのみだったが、1971年に登場した2ドア専用の「128ラリー」は1290ccのユニットを搭載した。今回取材した車両は、西部自動車によってごく短い期間のみ正規輸入された希少な4ドアセダンで、イギリス仕様と同じ右ハンドル車だ。1100ccのエンジンに4速マニュアルトランスミッションが組み合わされ、軽快な走りを披露する。

40年近く手を掛け続けるオーナーが語る”今さら手放せない”理由

竹田さんは、近所で野晒しになっていたこの128を譲り受け、以来40年近く自らの手で愛情を注ぎながら乗り続けている。しかし、つい最近になって立て続けに大きな故障を経験したそうだ。これまで当たり前のように乗っていた愛車に、あとどれくらい乗ることができるのかをあらためて考えるきっかけになったという。

それでも、竹田さんの表情はどこか明るい。128はかつての実用車であるため、現在でもパーツが豊富に流通しているからだ。古いクルマゆえに構造がシンプルで、トラブルがあっても比較的簡単に修理できるメリットもある。

「パーツの入手も、昔はイタリアへFAXを送って買っていたんです。今はインターネットで購入できる分、ずいぶんと楽になったかもしれませんね」

苦労すらも楽しむように微笑む竹田さん。専用のフィアットクラブやアフターパーツの供給業者に支えられ、サビや経年劣化に対応する部品が手に入りやすい環境も整っている。

「まぁ、それ以前の問題で、このクルマには手をかけすぎて今さらもう手放せませんけどね」と、最後は満面の笑みを見せてくれた。

1台のクルマと40年近くを過ごすという選択は、決して情熱だけで成り立つものではない。子供の誕生、息子の引っ越し、そして数々の故障と修理の連続。その一つひとつの積み重ねが、竹田さんと128の関係を「家族の歴史そのもの」へと昇華させてきたのだ。効率や燃費ばかりがもてはやされる現代において、クルマを単なる所有物ではなく、人生の時間をともに刻む伴走者として愛し抜くこと。芝公園の緑に包まれて静かに佇むイタリアの小さな大衆車は、私たちに「大人のロマン」と「内燃機関と生きる豊かさ」を力強く語りかけてくれるのである。

「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」のレポートはコチラ! 

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