娘への想いとDIYが形になった、昼と夜で表情を変えるデリカD:5
娘さんへの想いとDIYへのこだわりが細部にまで息づく、三菱「デリカD:5」。白と黒のモノトーンでまとめたスタイルは、街乗りに馴染むクリーンな佇まいを見せる一方で、夜になると一変する。車両各所に仕込まれたLEDが存在感を放ち、昼と夜でまったく異なる表情を描き出すのだ。さらに給油口には、娘さんの好きな世界観をさりげなく落とし込むなど、家族のストーリーも織り込まれている。機能と感情が重なり合い、一台のクルマとしての奥行きを生み出していた。
昼夜で表情を変えるモノトーンスタイル
昼はクリーン、夜は神々しく…。白黒で魅せる三菱「デリカD:5」は、細部に宿るDIYへの執念が生み出した一台だった。三菱 デリカD:5といえば、リフトアップやオフロードテイストを前面に押し出したワイルドなスタイルが定番。しかし、オーナーの“ばっチョコダディ”さんが目指したのは、その真逆ともいえる世界観だった。
「4WDらしいゴツゴツしたカスタムではなく、街乗りを意識したスタイルですね。白と黒だけでまとめたかったので、それ以外の色はできるだけ使わないようにしています」
シンプルだからこそ難しいモノトーンコーディネート。しかし、この三菱 デリカD:5の本当の魅力は、日が沈んでから姿を現す。
「昼は白黒でスッキリ見せていますが、夜になると前も後ろもLEDが一気に主張します。昼と夜でまったく違う表情になるよう意識しました」
夜の姿をオーナー自身は「神々しい」と表現する。フロント周りはホワイトとアンバーを自由に切り替えられ、グリルマーカーも連動。昼間のクリーンなイメージそのままにオールホワイトで撮影を楽しむこともできれば、アンバーへ切り替えれば一気にオフロードテイストが際立つ。まさに1台でふたつのキャラクターを楽しめる仕様となっている。

塗料の特性まで操るDIYへの執念
しかし、このクルマの本当の見どころは、完成したスタイルだけではない。じつは、各部にオートフラッグス製のアイテムを装着しているものの、それ以外の細かなカスタムの多くはオーナー自身のDIYによって作り上げられている。
「ショップ任せではなく、自分でできるところは全部やっています」
その言葉どおり、ラプター塗装(傷に強い、ゴツゴツ質感のカスタム用特殊塗装)が施された各部はほぼセルフ施工。フロントグリルは全面ではなくポイント使いでラプター塗装を施し、ルーフのデイライトカバーも自ら塗装。さらに、三菱エンブレムや各オーナメント類まで、自分の手で仕上げている。しかも、ただ塗ればいいという考えではない。ラプター塗装も場所によって使い分けているのだ。
「2液タイプは仕上がりが綺麗で細かな目になります。逆に1液タイプは粗めの目になり、溶岩みたいなゴツゴツした質感になります」
その特性を活かし、エンブレムなど荒々しい質感を出したい部分には1液を使用。一方で、アイラインやドアミラーカバー、LEDカバーなど美しく見せたい部分には2液タイプを採用するという徹底ぶりだ。市販スプレーだけでここまで質感をコントロールしてしまう知識と経験には驚かされる。さらに驚いたのがボンネットライト。そのまま取り付けたわけではない。普通に装着すれば片側1個ずつというパッケージになるがそれを2連で連結して片側2個ずつになるように、コーディネート。その秘訣として、なんとジープ「ラングラー」用のマウントパーツを流用している。
「無防備にステーをカットしただけではボディに当たる可能性があるので、ステーの内側を金ノコで1mmずつ削ってクリアランスを確保しました。サンダーで削る手もありましたが、それだと勢い余って薄くなりすぎて強度が落ちて、脱落してしまうと元も子もありません。ということで金ノコを使い慎重に作業を進めました」
加工後は自ら塗装まで施し、まるで専用品かのような完成度へと仕上げている。こうした細部への執念こそ、このクルマの完成度を押し上げている理由なのだろう。
家族への想いを込めた遊び心ある装飾
そして、この三菱 デリカD:5には家族への想いも詰め込まれている。ガラスリッドのなかに広がるのは、人気バレーボールアニメ『ハイキュー!!』(少年ジャンプ)の世界観だ。
「娘が好きなんですよ。娘はクルマをいじるのはあまり好きじゃないのですが、娘の好きなものをどこかに取り入れようと思って」
しかし、その表現は単なる“キャラクター装飾”にとどまらない。烏野高校と稲荷崎高校の試合シーンを漫画から切り抜き、ラミネート加工。上から見えるフィギュアと下に配置したコマがリンクするように配置され、ひとつのシーンとして成立する構成になっている。
「知っている人が見たら『おっ』となるようにしています」
娘さんから借りたチョコエッグのフィギュアも配置し、『ハイキュー!!』の名シーン「シンクロ攻撃(全員攻撃)」まで再現するという、ファンなら思わずニヤリとしてしまう遊び心も盛り込まれていた。

電装DIYが生み出す“見せるギミック”
もちろん、このガラスリッドもただの展示スペースではない。内部にはLEDを埋め込み、自ら穴開け加工を行って配線も製作。さらにスライドドアのレール部分までLEDが仕込まれている。
「電気の設計を仕事にしているので、配線はほぼ全部自分でやっています」
フロント周りのLEDもリアのライティングも、自身で設計・施工したもの。回路を組み上げ、ひとつひとつ完成させてきたという。その腕は仲間からも認められ、よく相談されるという。ちなみにリアのバックアーマー(オートフラッグ製のアイアンリアバンパー)のくりぬきロゴも「夜になるとうっすら光る程度」の上品な間接照明風に仕立てているのも、このオーナーらしい。
リアに広がる“遊びの世界観”
リアゲートにはキャンプブランドのステッカーが並ぶ。チャムス、キャプテンスタッグ、ノースフェイス、コロンビア、スノーピークなどアウトドアブランドが勢揃いしているが、じつは本人はキャンプへほとんど行かないという。
「街乗り仕様なので(笑)。雰囲気だけですね。行きたい気持ちはあるんですが、子どもも16歳になりましたし」
そんな肩肘張らない遊び心もまた、この三菱 デリカD:5らしさと言える。さらにリアには、トラック用LEDシートを加工してマリオの電飾をインストール。さらにマリオ以外にも表示パターンを変更できるという遊びまで備えている。
そして、LEDを埋め込んだリアテールは北海道の「LEDカスタムファクトリー」に製作を依頼し、本来左右で分かれている発光部分を一文字化している。
「テールランプは絶対につながっている方が一体感があっていいですよね」
最後に見せてもらったのは、リモコンひとつでLEDを自在に操るシーン。スイッチによるワイヤレス制御で、フロントやサイドの発光色をホワイトとアンバーへ瞬時に切り替えていく。
昼間は白と黒を基調にしたミニマルな街乗りスタイル。そして夜になると、光が加わることで一気に表情を変える。神々しい光をまとった、もうひとつのデリカD:5がそこに現れる。
妥協なきDIYへの追究で完成した1台
そして、そのすべてを支えているのは、徹底したDIYへの姿勢と、家族へのさりげない想い、そして細部に対する一切の妥協のなさだった。見た目のインパクトだけではない。この三菱 デリカD:5は、オーナーの人生と遊び心が幾層にも重なって構築された、“ストーリーを持つ一台”なのである。














































