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R34より売れたのに何故「失敗作」と言われるのか? R33スカイラインGT-Rが「仲間外れ」にされる真相

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TEXT: 酒呑童子  PHOTO: 日産自動車/自工会/GT-Rマガジン編集部

高いボディ剛性と先進技術で大幅に性能アップ

 ボディは大きくなった。ホイールベースも長くなった。それに伴って車重も標準車ベースで100kgも重くなった。しかし、そのスペックから想像される純重な動きは感じない。

 ボディは大幅に強化され、カタマリ感の強いボディ剛性を身につけていた。R32GT-RではメカニカルLSDのみだったが、R33GT-RのVスペックには電子制御化されたアクティブLSDが装着され、自慢の電子制御4WDシステム「アテーサE-TS」との統合制御で「アテーサE-TS PRO」に進化した。さらにサスペンションのマルチリンクも進化を遂げ、より剛性の高いサスペンションアームの構成になった。R33GT-Rはメカニズム面でも先代のR32GT-Rから大きく正常進化を遂げていたのである。

 N1耐久レースではその強さを発揮し、R33GT-Rのワンメイクの様相を呈するほどだった。また、チューニング業界でも格好の素材として多くのチューナーが手掛けている。筑波サーキットのラップタイムも日々更新され、「誰が最初に1分切りをするか」に注目も集まった。そしてスカイラインGT-Rとしては初めてとなる、ル・マン24時間レースにも挑戦した。

限定モデルやコンプリートカーなど話題が豊富

 ル・マン参戦を記念して1996年6月には日産自動車から、ブルーも鮮やかなLMリミテッドという限定車が発売された。

 一方、ニスモではル・マン24時間レース参戦のためのホモロゲーションモデルともいうべきNISMO GT-R LMが1995年に製作された。さらにニスモ製コンプリートカー第2弾となるNISMO 400Rも1996年1月に発売し、大きな話題となった。

 オーテックジャパンからは、スカイライン生誕40周年を記念して「スカイラインGT-Rオーテックバージョン 40th ANNIVERSARY」という4ドアセダンのGT-Rを1998年1月に発売。このようにR33GT-Rは、そのモデルライフの中でじつに話題が多かったスカイラインGT-Rでもあったのだ。

 そのR33GT-Rも1998年12月には販売を終了。翌1999年の1月以降は後継のR34GT-Rにその座を譲ることになった。後継のR34GT-Rはボディをダウンサイジングし、トランスミッションは、ゲトラグ社製6速トランスミッションを採用した。空力デバイスとしてフロントのアンダーカウルやVスペックに装着されたリヤディフューザーなども注目ポイントだった。自慢の4WDシステムやマルチリンクサスペンションはR33GT-R時代のものを継承している。

実は決して重くない! R33GT-Rは名車である

 そして中古車市場に参入することになったR33GT-Rは、デビュー前のネガティブな印象のせいか不人気車だった。その理由は、やはり大きくなったボディ、ロングホイールベース、重くなった車重とともに、優しいたれ目の顔つきだと言われていた。ハイパフォーマンスカーは、釣り目の怒り顔が人気とされていた当時、R33GT-Rの柔和な表情はあまり受け入れられなかったのかもしれない。実際、同時期にデビューしたS14シルビアは初期型はたれ目だったが、マイナーチェンジで釣り目の怒り顔に顔面成形手術を施した。一方、R34GT-Rはダウンサイジングとともに精悍な顔つきになっていた。

 そういう意味においても、R33GT-Rは初期のネガティブな印象が、モデルライフを終了した後も付きまとってしまったのかもしれない。しかし、進化の度合いで見れば、筆者はR32GT-RからR33GT-Rへの進化のほうが、R33GT-RからR34GT-Rへの進化の度合いよりも大きいと思っている。

 やはりイメージというものは大きい。車重を比べてみるとR32GT-Rは1430kg。R33GT-Rの標準車は1530kg、R34GT-Rの標準車は1540kgと、R34GT-Rはダウンサイジングしたにも関わらずわずかに重い。また、生産台数でみるとR32GT-Rは43934台。R33GT-Rは16520台でR34GT-Rは12175台という結果。R32GT-Rが群を抜く台数だが、強烈なインパクトで登場したということと、時代がバブル景気の真っ盛りだったということも影響しているだろう。イメージ的にはR34GT-Rのほうが生産台数は多いように感じるが、実際はR33GT-Rのほうが多い。実際に良いクルマだったのだが、いまだ第2世代GT-Rの中では「不人気」というレッテルを貼られているのが残念でならない。

 

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