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便乗値上げで高騰する前に買うのが吉! 一度は味わっておきたい輸入旧車4選

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典/Porsche/Stellantis/Mercedes Benz

いま狙い目のドイツ車

 イタフラを紹介したので、ドイツ車もピックアップしておこう。

ポルシェ928

 まずはポルシェ 928だ。もはやポルシェと同義語となっている「911シリーズ」よりも上級のマーケットをターゲットとしていたポルシェ 928は、1977年にデビューしたラグジュアリーなグランドツーリングカー。911よりも快適性が重視されていた。911のように空冷水平対向6気筒エンジンをリヤエンドに積むのではなく、928は新開発された水冷V型8気筒エンジンをフロントに搭載し、FRレイアウトを採用。水冷V型8気筒エンジンの排気量は、初期モデルの4.5リッターから最終的に5.4リッターにまで拡大された。ポルシェ928

 928は当時ポルシェ社の社長であったエルンスト・フールマン氏の主導により、同社にとって象徴ともいえる911の代わりになるモデルとして開発されたともいわれている。発売当時よりAT車が用意されるなど、ポルシェのラインアップにおいてはひと際高級なグランドツーリングカーとして位置づけられていた。車両本体価格自体も、911より高額だった。ポルシェ928

 次世代を担うグランドツーリングカーとして、1978年モデルから量産が開始された928の開発では、まず、軽量化が重要視された。具体的に説明すると、ドア、フロントフェンダー、ボンネットのマテリアルとして、スチールではなくアルミニウムを採用。ボディに一体化されたプラスチック製バンパーの背面には、アルミニウム素材のパーツが組み込まれ、8km/h以下の速度で衝突した場合には損傷することなく復元できるようになっている。ポルシェ928

 928の丸みを帯びたフロントセクションには、丸型の電動ポップアップヘッドライトを装備。フロントと同じように丸みを帯びたハッチバックスタイルのリヤには、大型のウインドウ(リッド)が備わっていた。ポルシェ928

 また、928はFRレイアウトであっても前後の重量配分にこだわって設計されており、トランスミッションとデフと一体にしてリヤアクスル側に搭載したトランスアクスル方式(セントラル・チューブでエンジンとトランスミッションをつないでいる)を採用。分かりやすく説明すると、トランスミッションとデフをリヤアクスルの手前にレイアウトし、センタートンネル内のプロペラシャフトを介してエンジンと接続することで、車重の理想的な前後配分を可能にしていた。

 さらに928のリヤアクスルには、全体的に新設計が施された。ヴァイザッハ・アクスルと呼ばれるサスペンションの特徴は、トーインを安定化させる機能だ。このメカニズム(パワーオフと制動時のトー角をイン方向に変化させ、クルマの姿勢を安定させる)はパッシブ・リアホイール・ステアリングとして機能し、優れた安全性を確保するために大きく貢献してくれる。

 モデルごとの特徴も列記しておこう。928/1978-82年モデルのリヤスポイラーの無い丸みを帯びたリヤエンドは、928ならではの特徴だ。またこのモデルは後の派生モデルとは異なり、フロントスポイラー、リヤスポイラーを装備していない。928の4.5リッターエンジンは、240psの最高出力を誇っている。

 928 S/1980-86年モデルは、ブラックのフロント/リヤスポイラー、ボディカラーと同色となるサイドプロテクションストリップ、サイドインジケーターライトを装備している。エンジンの排気量は初期の4.7リッターから5.0リッター(1986年モデル)まで拡大された。最高出力は300psで、1984年モデルでは310psを実現。触媒コンバータが採用された1986年モデルでは288psとなっている。1984年にS2、S3へと発展した。ポルシェ928

 928 S4/1987-91年モデルは、エアインテークを備えた丸みのあるフロントエプロンが印象的だ。傾斜したリヤエンドでは、フラッシュサーフェスデザインのワイドなテールライトや、後方に突き出たブラックのリヤスポイラーが印象的である。5.0リッターエンジンを搭載し、最高出力は320psだ。

 928 GT/1989-91年モデルは、928 S4よりもさらにスポーティな仕様で、トランスミッションは5速MTのみが設定された。5.0リッター、V型8気筒エンジンの最高出力は330psまで増大。独創的なデザインのホイールも特徴である。

 928 GTS/1992-95年モデルは、928が進化し、最終発展型として結実したグレードである。928 GTSは、張り出したリヤフェンダー、レッドのリヤライトパネル、ボディカラー同色のリヤスポイラー、カップ・デザインのドアミラー、17インチのカップ・ホイールを標準装備。搭載された5.4リッター、V型8気筒エンジンは、最高出力350psを誇った。ポルシェ928

 911シリーズの生産が継続されたことにより、924、944、968、928といったトランスアクスル系のポルシェ製水冷FRスポーツカーはフェードアウトしていった。どのモデルのデザインも洗練されていて旧さを感じさせないので、この機会にボスキャラ的な928に乗ってみるとオモシロイだろう。ユーズドカーは、500万円ほどの軍資金があればゲットすることができる。

メルセデス・ベンツ 560SL(R107型)

 最後に紹介するのは、メルセデス・ベンツ 560SL(R107型)だ。ガルウイングドアで有名な300SL、縦目で人気の2代目SL/W113型、それに続く3代目の2シーターオープンカーとして1971年に登場したのがR107型SLである。ソフトトップおよび着脱式ハードトップを備えていた。メルセデス・ベンツ 560SL

「SL」とは、ドイツ語で軽量スポーツカーを意味する「Sport Leicht(シュポルト・ライヒト)」の頭文字。初代SLこそ、その方程式で造られていたが、2代目SLからサーキットとは決別した雰囲気となり、北米マーケットの富裕層をターゲットとしたR107型SLは、Sport LeichtからSuper Luxuryへと転身した。メルセデス・ベンツ 560SL

 V型8気筒エンジンを搭載していたR107型SL(直6仕様も存在)のボディは先代よりも大きくなり、装備も豪華になった。そして、優雅さとパワフルさも増していた。1971年から1989年までの18年間にわたって生産され、総生産台数が23万7000台にも上るといわれている。1980年にマイナーチェンジ、1986年にビッグマイナーチェンジを行い、このタイミングで導入されたのが560SLだ(最大排気量のトップグレードだが、ドイツ本国ではラインアップされず、日本、アメリカ、オーストラリアのみで販売)。メルセデス・ベンツ 560SL

 エレガントなボディに大排気量かつパワフルなエンジンを搭載していた560SLは、あらゆるシ―ンで質感と走りのよさを実感できる。新車当時は、間違いなく世界最高級の2シーターオープンカーだったが、今日的な視点で見ても全方位的に優れているので、560SLはオーナーに「メルセデス・ベンツが考えるSuper Luxuryの世界とは、どういうものなのか」を教えてくれる。

メルセデス・ベンツ 560SL 定期的にしっかり整備すれば、実用車としていまでも日常の使用に耐えられるので、ノスタルジックな雰囲気を毎日楽しみたい自動車趣味人は、メルセデス・ベンツ 560SL(R107型)をチョイスするといいだろう。こちらもユーズドカーの流通価格が500万円程度だ。今回ピックアップしたいずれのモデルも、メジャーな存在になる前に購入しておいてほしい。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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