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【いまだから明かせる開発秘話】「ミスターシビック」こと伊藤博之さんにインタビュー「宗一郎は空冷が好きだったね!」

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人/本田技研工業

3代目「ワンダーシビック」では4つのボディタイプを新しく表現できた

──そして3代目のシビックは、2代目とは打って変わって斬新に……。

「そう。3代目では新しいことをやろう! ということに。アメリカから来たデザインで『これだ!』と、ロングルーフでコーダトロンカのフルドアを採用した3ドアを作ることにした。一方で4ドアはホイールベースを伸ばしてキチンと座れるように。シャトルはシティと同じように背の高いフォルムとし、このクルマもホイールベースは違った。CR-Xは、アメリカの50マイル燃費世界一のクルマにしようと、あのスポーティな形で出した。エンジンはシティのそれがベースで、やれることは全部やってボンネットは低くし、トーションバーストラットも採用した。3ドアはロングルーフのおかげでリアシートの100mmスライドも実現でき、とにかく、他のクルマがやっていないことをやったのが3代目でした」

──とにかく3代目シビックは存在感からしてカッコよくて、バラードスポーツCR-Xを含め、どのボディタイプも乗りたい! と思わされる魅力を感じるクルマでした。

「初代シビックで評判だったトレイ状のインパネも3代目では復活させ、背の高いシャトルではポップアップ式のエアアウトレットもやった。シャトルではキャンプに行って使えるようにシートを外せるようにしたものの、当時いろいろあって実現できず……」

──4つのボディタイプのアイデアはすべてアメリカから来たものだったのですか?

「いやアメリカからもらったのは3ドア。あとはすべて日本で、フラッシュサーフェスを基本にしたセダン、シャトルと、燃費のために徹底的に空力をよくしたCR-Xをやった。お金も未曾有に使って(笑)。普通から言うと、なんでホイールベースが違うんだ? となるが、いや4ドアは3ドアより長くするんだ、良いものは良いんだ……とやって、ホイールベースを一緒にする気なんてまったくなかった。国内では初代シティが爆発的に売れて、アメリカでアコードがうまく行きはじめた背景があったから、シビックは勝負ができた。3ドアは2ボックスだから『23L』、セダンは3ボックスだから『35G』、シャトルは5ドアで『55i』と数字を使って、共通のシビックであることを超えてまったく新しく表現するのも、したいことだった」

元気なクルマを作らないとホンダじゃない

──その3代目、ワンダーシビックといえば『What A Wonderful World』のあのCMが印象的でしたが、あれも伊藤さんのアイデアだったのですか?

「あれはクルマが出来て有ちゃん(宣伝を手がけておられた有澤さん)に見せたら『サッチモでいこう』となった。あの人は、世の中にどうやれば受けるかと考えたときに、あまりしつこく何かをしないほうがいいと考える人だった。3代目シビックも、『ワンダーシビック登場とサッチモの歌だけでいい』と。その前にプレリュードのボレロも、シティもやっていましたから彼のことは信頼していたよ」

──一世を風靡したCMでしたよね。

「シティが世の中にちょっと違う息吹を出せた経験から、やっぱり元気なクルマを作らない限りホンダじゃないね、というのがあった。ホンダが元気にならないとお客さんも元気にならない。変な話かもしれないけれどわれわれはそう思っていました」

今のシビックはタイプRがあってこそ

──ところで最新のシビックは、伊藤さんはどう評価されているのですか?

「私は全然乗っていないからなんとも言えないけれど、やっぱりこのクルマでどれだけお客さまが満足してくれるのか? ということでいうと、ちょっとわからない。だからタイプRに乗れば、シビックというクルマがどれだけ良いかということがわかるのだと思う。タイプRがないと……というのが私の感覚」

──シビックはクルマとしては素晴らしいと思いますが……。

伊藤さん:ガワ(外見)がね、って言いたいんでしょ?

──あ、はい。歴代シビックを並べて見たときに、初代からこの最新型への連綿と繋がっている感じが受け取りにくいというか……。

「そう、だからタイプRがあれば、ベースのシビックはタイプRの兄弟だと思えるようになる、それだけで済む」

──タイプRはシビックにとって必然ということですね。

「そう。そのためにニュルブルクリンクまで行って走っているんだから」

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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